F1スペインGPで大きな話題を集めているのが、レッドブル『RB18』に酷似した空力アップデートをアストンマーチンが『AMR22』に投入したこと。レギュレーションでライバルマシンのコピーがどこまで許されているのか、レギュレーションを見てみよう。
シルバーストンにファクトリーを構えるアストンマーチンはここ数週間、大規模なアップデートを持ち込むと公言してきた。しかしレッドブルがこれまで採用してきた空力ソリューションの多くを、このような規模で模倣すると予想している者はほとんどいなかった。
■レッドブルと激似”Bスペック”マシン導入のアストンマーチン、FIAの合法性調査をクリア
レッドブル側は疑惑の目こそ向けつつも、手本として「模倣されることは最大の名誉」だと認めている。実際、長いグランプリの歴史を振り返ってみると、秀でたパフォーマンスを発揮したライバルからインスピレーションを得たマシンを作ることは珍しいことではない。しかしF1のレギュレーションは近年、そうしたコピー行為を厳しく取り締まるようになってきている。
皮肉なことに、そのレギュレーション強化の発端となったのが、今回渦中にあるアストンマーチンの前身、レーシングポイントだった。レーシングポイントは2020年のプレシーズンテストに、前年のチャンピオンマシンであるメルセデス『W10』をそのままピンク色に塗ったかのようなマシンを登場させ、シーズン開幕前から物議を醸した。
”ピンク・メルセデス”と揶揄されたレーシングポイント『RP20』は、テストや開幕戦で速さを見せたこともあり、直近のライバルチームであったルノー(現在のアルピーヌ)が抗議。レーシングポイントはリヤブレーキダクトの設計において、メルセデスの知的財産(IP)を不正に流用したとして、40万ユーロ(約5400万円)の罰金と、コンストラクターズポイントの15点減点が言い渡された。
レーシングポイントの手法が有効的と捉えられれば、ライバルのデザインをコピーすることがF1での成功への近道だとして、後に続くチームも出かねない。各チームがレギュレーションの中で独自に設計・開発したマシンを競わせることが本質であるF1で、そうした動きがスポーツ全体にダメージを与える可能性があるのではないかとより広範な議論が展開された。
そして”クローンマシン”の誕生を規制すべく、FIAは新たなテクニカルレギュレーションを追加した。
FIAのシングルシーター担当のニコラス・トンバジスは、当時をこう振り返っていた。
「これにより、レーシングポイントが行なったような、膨大な写真を利用して他のマシンの一部を丸ごとコピーすることはできなくなる」
「ローカルエリアでのパーツ単体を模倣することは認められているが、マシン全体を根本的にコピーしてほしくはない」
チーム間でのIPの共有や、リスト化されたパーツの”リバースエンジニアリング”が禁止された2021年から導入されたこのレギュレーションは、2022年の新テクニカルレギュレーションにも引き継がれた。
チームは「ライバルのデザインやコンセプトからインスピレーションを得る」ことはできるものの、そのインスピレーションは「全てのチームが潜在的に入手可能な情報」に限定されている。
つまり、グランプリ会場や公式テストでの情報収集しか許可されておらず、サーキットを離れた場所でこうした作業を行なうことは禁じられているのだ。
2022年のテクニカルレギュレーション17.3条では、チームが行き過ぎたコピーを行なわないよう次のように禁止事項を記載している。
1. 写真や画像を点群や曲線、表面に変換するソフトウェアと組み合わせて使用し、写真や画像の上にCADジオメトリを重ねて、(形状や寸法などを)抽出したりすること。
2. 写真測量や3Dカメラ、3D立体視技術の使用
3. 接触、非接触を問わないあらゆる形態の表面スキャン
4. リバースエンジニアリングを容易にするための、表面の点または曲線を投影する任意の技術
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