もともとは、メルセデス・ベンツにおけるエントリーモデルという任を担っていたのがCクラス。現在では、よりコンパクトなシリーズが登場したことによって立ち位置は変化したものの、そのフォーマルかつプレミアムな存在意義は現在でも基本的に変わっていない。セダン、ステーションワゴンに加えて登場した新たなる「オールテレイン」の価値観に、さらに注目する。本企画は前編・後編に分けてお届けしています。前編を見逃した人はこちら。(Motor Magazine 2022年7月号より)
ますます重要性を増すCクラスという存在価値
日本では、フォルクスワーゲン ゴルフとともに「最もポピュラーな輸入車のひとつ」と紹介できるメルセデス・ベンツ Cクラス。そのルーツである190シリーズの日本正式導入が1985年に開始されてから、ブランド初となるFFレイアウトを採用したAクラスが導入される1998年までの長きにわたり、サイズ的にも価格的にもエントリーモデルとしての立場を担ったCクラス。
オールテレインが広げるCクラスワールドの魅力(前編)「メルセデス・ベンツ C220d 4マティック オールテレイン」
それは、かつて「高嶺の花」だったメルセデス・ベンツを多くの人に「もしかしたら手が届くかも・・」と感じさせる身近な存在へと一気に引き寄せた、何ともエポックメイキングな立役者だったと言っても良い。
現在では、Aクラスやその派生モデルとしてスタートしたBクラス、SUVバージョンのGLAやGLBなどいわゆる「コンパクトメルセデス」と総称される多彩なモデルがラインナップされ、Cクラスをエントリーモデルと受け取る人は以前よりも少なくなった。
しかし、折しもこれからのメルセデス・ベンツはさらなる収益性アップのためにブランド全体のラインナップを見直し、高価格帯モデルの充実に力を入れて低価格帯のモデルからは撤退する方向にある、といった見方もされるようになっている。現在でも紛れなきコアモデルであるCクラスシリーズの重要性はこの先、今までにも増して高まる可能性もありそうだ。
分類上、ファミリーの一員としてクーペやカブリオレが位置付けられたりもするものの、いつの時代もCクラスのベンチマーク的な存在は、4ドアセダンとステーションワゴンという2タイプのボディが担う。そのステーションワゴンをベースに年の秋に姿を現したのが、現行型で第三のボディとなる「オールテレイン」だ。
欧州ではステーションワゴンに設定される4マティックを謳う4WDバージョンが日本では用意されず、やはり欧州には設定があるガソリンエンジン搭載のオールテレインが用意されないこともあり、セダン/ステーションワゴンとオールテレインの日本での価格には明確な差が設けられている。
たとえば、同じ2L直4ディーゼルターボエンジン+マイルドハイブリッドシステム+9速ATというパワートレーンを持つステーションワゴンとの価格差は90万円以上。4WDは不要で、ベーシックなステーションワゴンとしての機能性を備えていれば事足りる、という価値観のユーザーには、そのエクストラコスト分は「無用な出費」と捉えられても仕方がない。
さらにオールテレインが、ステーションワゴン本来の設計に対して「無理やり車高を上げて」さらにSUV風味の演出を意識した「ファッション性重視のタイヤ&ホイール」を履かされたという捉え方をすれば、なるほどベースとなったステーションワゴンの方がバランスに長けて洗練された走りのテイストが味わえると、そう解釈できる印象が皆無ではなかったことも記しておく必要はあろう。
上質でこなれている好印象。ベストなステーションワゴン
今回、オールテレインとともに連れ出したC220dステーションワゴン アバンギャルドには「AMGライン」というパッケージオプションが装着されていた。その走りのテイストに影響を及ぼす可能性が考えられる装備では、標準仕様では前後とも225/50サイズの17インチタイヤ&ホイールに換えて、フロントが225/45、リアは245/40サイズとなる18インチタイヤ&ホイール、スポーツサスペンションが含まれる。
そのようなセッティングが施されたこのステーションワゴンの走りのテイストは、率直に言って実はオールテレインはもちろんのこと、前述したような走りに関連する一切のオプションアイテムを装備していないセダンのC220dアバンギャルドに対しても、より上質でこなれた印象を提供してくれるものだと感じられたのだ。
時にタイヤ&ホイールまわりの重さを意識させられるオールテレインに比べれば、ばね下の動きが全般により軽快と受け取れるシーンがあったし、わずかな差ではあるもののセダンに対しても、サスペンションのストローク感がよりスムーズ、という感触を受ける場面も存在した。
半導体不足に代表される昨今のご時勢ゆえ、現在では「注文いただくことができません」とアナウンスされる現行Cクラスデビュー時の大きなトピックでもあったリアアクスルステアリング(4WS)の有無も含め、装着オプションの違いなどから見極めが難しかった現行Cクラス各バリエーションの乗り味の中で、個人的に「これこそがベスト!」と実感できたのが、今回のステーションワゴンであった。
単独で乗る分には不満を覚えることのなかったオールテレインの動力性能だが、このステーションワゴンはオールテレインに勝るとも劣らずと実感。同じパノラミックスライディングルーフをオプション装着するも、なおという差が残る重量の違いが微妙に影響を及ぼしていたと考えれば納得できる部分で、フットワークのテイストも含めてより身軽でひと皮むけた走りの印象を享受できた。
近年、流行の主軸がSUVに移ったとはいえ、長きにわたりラインナップされ続けているだけのことはあると改めて納得させられた次第。ユーティリティ性の高さはもちろん、こうしてバランス感覚に長けた走りのテイストも実現されていることが、あえてベーシックなステーションワゴンを選ばせる原動力になっていると、そう感じさせられることにもなった。
独立したトランクの価値。端正な姿が愛おしいセダン
一方のセダンは、キャビン部分から完全に独立したトランクルームを備えるというパッケージングが、やはりこうした形態のモデルならではの特徴だ。セダン派生のステーションワゴンにおいては、より大きな積載能力のために全長やホイールベースを延長する事例も見受けられるが、Cクラスの場合は全長もホイールベースも両ボディで同値。
それでも車両重量で40kgほど軽いのは、ボディそのものの造形の違いや、後端部にステーションワゴンのような大きな開口部を持たないことで、よりシンプルな構造を採用することができるといった理由が考えられる。
率直なところ今回、そうした違いがもたらす結果を動力性能の差や静粛性面での違いとして明確に実感することはなかった。だが、それでも感覚的に「キャビン内に荷物は置きたくない」と思う人はいるだろうし、荷物の出し入れのために解放されたテールゲートから、空調の効果が瞬時に逃げ出してしまうのを嫌うユーザーも存在するだろう。
そもそも、フォーマルな場面にはやはりこちらの佇まいの方が似合うから、という理由でセダンボディを好む人は、いつの時代になっても絶えることはなさそうだ。むしろSUVが隆盛を極め、世の中のスタンダードをそうしたモデルが占めるようになるほどに端正なセダンの姿が愛おしく思えてくる、という意見もある。
ちなみに、もはや走行中の車内では一切、注文を付ける気にならない優れた静粛性を提供してくれるものの、それでもある程度の差が認められるのがガソリンモデルとディーゼルモデルでの車外ノイズの印象の違いだ。そうした差異や相対的な価格面での優位性という点に目をやれば、1.5Lガソリンターボエンジンを搭載するラインナップの存在も見逃せない。
日本に導入される数多い輸入車の中で、最もポピュラーと認めるに足る実力に基づく存在感は、さらに高まっていきそうだと言える新型Cクラスなのである。(文:河村康彦/写真:村西一海)
メルセデス・ベンツ C220d 4マティック オールテレイン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4760×1840×1495mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1870g(取材車はOPパノラミックスライディングルーフ装着1900kg)
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ+モーター(ISG)
●総排気量:1992cc
●最高出力:147kW(200ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm/1800-2800rpm
●モーター最高出力:15kW
●モーター最大トルク:208Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:4WD
●WLTCモード燃費:17.9km/L
●燃料・タンク容量:66L
●タイヤサイズ:245/45R18
●車両価格(税込):796万円
メルセデス・ベンツ C220d ステーションワゴン アバンギャルド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1820×1455mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1790kg(取材車はOPのAMGラインとパノラミックスライディングルーフ装着1850kg)
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ+モーター(ISG)
●総排気量:1992cc
●最高出力:147kW(200ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm/1800-2800rpm
●モーター最高出力:15kW
●モーター最大トルク:208Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量: 軽油・66L
●WLTCモード燃費:18.2km/L
●タイヤサイズ:225/50R17(取材車はOPのAMGライン装着225/45R18、後245/40R18)
●車両価格(税込):705万円
メルセデス・ベンツ C220d アバンギャルド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1820×1435mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1750kg(取材車はOPパノラミックスライディングルーフ装着1780kg)
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ+モーター(ISG)
●総排気量:1992cc
●最高出力:147kW(200ps)/3600rpm
●最大トルク:440Nm/1800-2800rpm
●モーター最高出力:15kW
●モーター最大トルク:208Nm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量: 軽油・66L
●WLTCモード燃費:18.5km/L
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両価格(税込):679万円
[ アルバム : メルセデス・ベンツ C220d 4マティック オールテレイン/C220d アバンギャルド/C220d ステーションワゴン アバンギャルド はオリジナルサイトでご覧ください ]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
8年ぶり全面刷新! 日産新型「小さな高級車」登場! 全長4.3mに「クラス超え上質内装」とめちゃ“スゴいシート”採用! ちょうどイイサイズの「新型キックス」日本には来る?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?