2月27日に発表されたエントリーリストにより、2023年のWEC世界耐久選手権第4戦/第91回ル・マン24時間レースのハイパーカークラスには、16台の車両が参戦することとなった。これには、WECにシリーズ参戦することで自動エントリーとなる12台のほか、4台の“ワン・オフ”エントリーが含まれている。
キャデラックは、WECにフル参戦する2号車のほか、3号車と311号車という、2台の車両をエントリーさせた。3号車はキャデラック・レーシング、311号車はアクション・エクスプレス・レーシングからのエントリーで、これはIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を戦う01号車、31号車が送り込まれることを意味している。
ル・マン24時間に黄金時代再来。7社計16台が総合優勝狙う100周年大会のエントリーリストが発表
ポルシェ963では、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが、WECにレギュラー参戦する5号車、6号車に加え、新たに75号車を送り込むこととなった。
さらに、グリッケンハウス・レーシングからは、2台目のグリッケンハウス007となる709号車がル・マンにエントリーを果たす。
ポルシェの追加ワークスエントリーは、同社のスポーツカーレース活動75周年を記念したものであることから、75号車として参戦する。現在のエントリーリストでは、フェリペ・ナッセの名前のみが記載されており、残るドライバーは未定となっているものの、ポルシェのIMSAのラインアップから選出される予定だ。
ポルシェ・モータースポーツ副社長のトーマス・ローデンバッハは、「我々にとって、ポルシェブランド誕生75周年記念のル・マンで、20回目の総合優勝を果たすチャンスを最大限に活かすことが重要だ」と説明する。
「そのために3台目のマシンを投入するのだ。レースの歴史を振り返ると、追加投入されたマシンが勝敗を分けることはしばしばある。2015年のル・マンでは、3台目のポルシェ919ハイブリッドが我々に勝利をもたらしてくれた」
より多くの勝利のチャンスを得るという目的の一方、ポルシェのファクトリーLMDhディレクターのウルス・クラトレは、ファクトリー車両の追加が「大きな挑戦」になることも認めている。
「クルーを増やし、IMSAのマシンを1台フランスに送って、また(アメリカに)戻さなければならない」とクラトレ。
「そのうえ、特定のアッセンブリーの供給が滞っているため、パーツの供給は完璧ではないかもしれない」
「ポルシェブランド75周年、そしてル・マン24時間レース100周年という記念すべき年に、ベストを尽くして輝きたい」
■3度目の名称変更で『キャデラックVシリーズ.R』に
一方キャデラックは、3台体制となるル・マンのプログラムを発表すると同時に、ダラーラをベースとするLMDhプロトタイプカーの名称を『キャデラックVシリーズ.R(V-Series.R)』へと変更した。
これまでこの車両は『キャデラックV-LMDh』と呼ばれており、IMSA開幕戦のデイトナ24時間レースにもこの名称で参戦していたが、今後はすべての選手権でVシリーズ.Rと呼ばれることになる。
キャデラックは声明のなかで、次のように記している。
「複数のシリーズに参戦するキャデラックを代表するために、我々のパフォーマンス車両のサブブランドであるVシリーズに合わせ、レースカーの名称をキャデラックVシリーズ.Rに改訂した」
この車両は当初、昨年の2月に『キャデラック・プロジェクトGTP』としてティザーされ、昨年のル・マンでのデザイン発表の際にはその末尾に『ハイパーカー』の文字が追加されていた。
その後、晩夏から行われたサーキットテストの際に『キャデラックV-LMDh』との呼称になり、この名前で2023年1月のデイトナ24時間まで活動を続けていた。
ル・マン24時間でキャデラック・レーシングは、レンガー・バン・デル・ザンデ、セバスチャン・ブルデー、スコット・ディクソンの3号車キャデラックVシリーズ.Rを追加。このマシンは、IMSAに01号車として参戦しており、開幕戦デイトナ24時間では3位に入賞している。
自動招待枠で参戦するアクション・エクスプレスは、アレキサンダー・シムス、ピポ・デラーニ、ジャック・エイトケンというデイトナ同様のラインナップを、ル・マンでのデビュー戦に再登場させる予定だ。ゼッケンはIMSAでの31番を引き継ぐ形で『311』となる。
キャデラックは、IMSAを戦う2台の車両をル・マンに持ち込むことで、デイトナ同様に3台体制を採ることになる。
キャデラックのグローバル・バイス・プレジデントであるロリー・ハービーは、「キャデラック・レーシングのフルメンバーでル・マン24時間レースに戻れることをうれしく思う」と語っている。
「過去 20 年間、キャデラック・レーシングはトラックで勝利するというレガシーを築いてきた。レースにおけるこのエキサイティングな新しい電動時代に、ル・マンに戻ることができて本当に光栄だ」
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