2月27日、WRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデンの競技最終日、デイ3はSS16~19が行われ、前日デイ2にトップに立ったTOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が後続を引き離して総合優勝を飾った。今季デビューのハイブリッドマシン『GRヤリス・ラリー1』は、2戦目で初勝利を手にしている。
新規定“ラリー1”レギュレーションの導入よりハイブリッドマシンでの戦いとなった、2022年のWRCが伝統のモンテカルロで幕を開けてから約1カ月後の2月24~27日、シーズン唯一のフルスノーラリーであるラリー・スウェーデンが2020年以来、2年ぶりに開催された。
スウェーデン北部最大の都市、ウメオにラリーの拠点を移して行われた今大会は25日(金)から競技がスタート。初日は5人のドライバーがトップに立ち、1日の終了時に上位4台が8.8秒以内にひしめく大接戦となった。
しかし26日(土)に入ると、ロバンペラと僚友エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)が集団から一歩抜け出し、優勝争いはトヨタチーム内での一騎打ちとなる。首位ロバンペラと2番手エバンスのギャップは一時、1.2秒差まで詰まったが、デイ2最後のステージとなったSS15終了時点には8.3秒に拡がった。
さらに、SS15をスノーバンク(雪壁)に乗り上げながらフィニッシュしたエバンスには、フィニッシュ直後にコースに戻らず脇の駐車場を走行したことが規定違反とみなされ、10秒のペナルティが科せられた。これにより最終日を前に両者の差は18.3秒となっている。
迎えた競技最終日、27日(日)のデイ3はウメオの北西エリアで4本のSSを走行するスケジュールで実施された。そのスタート前、総合首位に立っているロバンペラをハイブリッドシステムの機能不全というアクシデントが襲う。それにもかかわらず21歳のフライング・フィンは、同ステージでトップタイムを記録してみせる。
対してチームメイトを追いかける2番手エバンスは、7.9km地点でバランスを崩しスノーバンクにクラッシュ。幸いクルーは無事だったものの、競技復帰が叶わず痛恨のリタイアとなった。これにより後続の順位がひとつずつ繰り上がり、僅差の表彰台争いを繰り広げるティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 Nラリー1)が2番手、エサペッカ・ラッピ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が3番手となる。
■勝田貴元がパワーステージで4番手、総合でも今季最高位の4位フィニッシュ
彼らに対して20秒以上の貯金を持つ首位ロバンペラは優勝を確実なものとするため、ややペースを落として走行。ステージトップ5に入った選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”に設定されたSS17では2番手タイムでフィニッシュし、後続を22秒引き離す独走劇でキャリア3勝目、今シーズン初優勝を決めた。
エバンスの離脱により2番手争いとなったヌービルとラッピのバトルは、3日目スタート時の4.2秒差から大きく変化することなく推移していき、最終SS19の直前で3.7秒差に。しかし最終ステージでも逆転はならず。最後はヌービルがライバルとのタイム差を8.6秒に拡げて2位を確保。トヨタのワン・ツー・フィニッシュを阻止した。
今イベントの参戦が古巣復帰戦とラリー1デビュー戦を兼ねていたラッピは、週末をとおしてブランクを感じさせない走りを披露して、最後には3位表彰台を獲得。3台目のマシンをドライブするドライバーとしての役目を果たし、チームのマニュファクチャラー選手権首位浮上に大きく貢献している。
そのラッピに続く総合4位となったのは、最終SS19で4番手タイムをマークしボーナスポイント2点を追加獲得した勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)だ。総合5位のガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)がMスポーツ・フォードWRT勢の最上位となり、総合6位には母国戦に挑んだオリバー・ソルベルグ(ヒュンダイi20 Nラリー1)が入っている。
総合7位はアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)。彼はWRC2クラス2連勝を飾った。総合8位は同じくWRC2クラスを戦うオーレ・クリスチャン・ベイビー(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)だ。
デイリタイアからの復帰組であるオット・タナク(ヒュンダイi20 Nラリー1)は、パワーステージで最速タイムを記録し5ポイントを確保。2日続けてデイリタイアとなったクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)も同ステージ5番手に入り、ボーナスの1ポイントを獲得している。なお、Mスポーツ・フォードのアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)はマシントラブルにより2戦続けてのリタイアを喫した。
WRCの次戦第4戦は4月21日から24日にかけてクロアチアで開催される『クロアチア・ラリー』だ。
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