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世代交代しても1番イイ ホンダ・シビック・タイプRへ英国試乗 熟成された能力 後編

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世代交代しても1番イイ ホンダ・シビック・タイプRへ英国試乗 熟成された能力 後編

個別設定のインディビジュアル・モードも

新しいホンダ・シビック・タイプRの車内には、身体を保持しつつも快適なシートに、金属が露出したペダル、トレードマークといえるアルミ削り出しのシフトノブが与えられている。ステアリングホイールはキレイな円を描き、アルカンターラが巻かれている。

【画像】世代交代を経てもベスト ホンダ・シビック・タイプR 競合ホットハッチと写真で比較 全151枚

ダッシュボードの中央には、インフォテイメント用のタッチモニターが据えられている。ソフトウエアの仕上がりは素晴らしいと呼べる程ではないものの、スマートフォンとのミラーリングに対応し操作性は悪くない。

エアコンには独立した操作パネルが存在し、ステアリングホイールのスポーク部分にも実際に押せるハードボタンが並んでいる。シフトレバーの隣には、ドライブモードのスイッチがレイアウトされている。しっかり押した感覚があって好ましい。

コンフォートとスポーツに加えて、荒々しい+Rモードも選べる。タイプRとしては初めて、エンジンやステアリングホイール、ダンパーなどの質感を個別にドライバーが変更できる、インディビジュアル・モードも用意された。

今回の英国試乗では、サーキットに加えて公道での運転も許された。だが、どちらも路面は濡れていた。

発進前に、ホンダのテストドライバーが筆者に声を掛けた。ドライブモードに関わらず、朝イチの不慣れなサーキットでタイヤが冷えていても、扱いやすいと感じました。運転が簡単なクルマだと思いますよ、と。

熟成された運動神経でより親しみやすい

走り出して、彼は正しいと思った。シビック・タイプRは、ドライバーに安心感と自信を与えてくれる。第一印象は、トヨタ86が新型のGR86へ進化した時と同じく、やや人工的なドライビング体験だな、というものだったが。

滑らかに回るステアリングホイールは負荷が高まるほど重みも増し、鮮明に反応する一方で、トルクステアはほぼ感取されない。手のひらへは、フロントのトラクションの状態がフィードバックとして明瞭に伝わる。情報量は豊かだが、どこかデジタル感がある。

これほど高精細な感覚を得るためには、油圧パワーステアリングでは難しいだろう。電動だから可能なのだと思う。さらにエンジンサウンドは、一部がスピーカーを介して合成的に車内へ響く。

だとしても、素晴らしい動的能力が宿っていることに変わりはない。しなやかなサスペンションのおかげで、路面状態を問わず能力の幅は大幅に広げられたようだ。

コンフォートモードでは、先代のシビック・タイプRのような硬さは払拭されている。一方で、スポーツや+Rモードでは引き締まり、シリアスなホットハッチであることを主張する。これまでは思い描くしかなかった、落ち着きも備わっている。

それでいて、間髪入れない反応の鋭さやドライバーズカーとしての訴求力は失っていない。スリリングで一体感の強いドライビング体験でありながら、より熟成されている。運動神経を磨きつつ、より親しみやすい性格へ成長したといえる。

世代交代を経ても頂点の地位は譲らない

かといって、四輪駆動のフォルクスワーゲン・ゴルフRとも異なる。こちらも充足感は高いものの、感覚は淡白で、コーナーでの調整域はさほど広くない。アンダーステアに転じやすく、路面コンディションが悪化すると扱いが難しくなる。

シビック・タイプRなら、フロントタイヤの仕事ぶりを正確に掴める。ウェットコンディションのサーキットでは、ブレーキペダルを踏んだりアクセルペダルを緩めれば、リアタイヤの自由度が増す。懐かしいホットハッチのように。

ドライバーがクルマとコミュニケーションを取りながら、自在にラインを選んでいける。フォードのSTやルノーのRSにも通じる特長といえる。

最後になったが、ディスクブレーキは強力に効く。6速MTのフィーリングも素晴らしい。

最高のホットハッチたらしめる要素のすべてが、FL5型にもしっかり受け継がれている。しかも、さらに磨かれ強化されている。蛇足だが、ひと回り小さなサイズで最高のホットハッチに選ばれるのは、トヨタGRヤリスだ。

前世代のホンダ・シビック・タイプRは、モデルライフの最後まで王者に君臨していた。最新版は、それよりさらに優れている。世代交代を経ても、頂点の地位を譲ることはなかったようだ。惜しむべきは、その高い英国価格だけといえそうだ。

ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万6995ポンド(約780万円)
全長:4595mm
全幅:1890mm
全高:1405mm
最高速度:275km/h
0-100km/h加速:5.4秒
燃費:12.2km/L
CO2排出量:186g/km
車両重量:1429kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:330ps/6500rpm
最大トルク:42.7kg-m/2200rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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みんなのコメント

3件
  • typeR乗ったことない人らは色々損してる
  • シビックタイプRはいい車だけどガソリンエンジンを楽しむ最後の一台としては論外
    しょせんファミリーカーをベースにしたモデルである以上どこかダイレクト感が薄くて白けてくる
    やっぱり純粋に運転を楽しむならケイマンくらいが最低レベル
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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