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「ハイテク禁止」じゃ育たない! レーシングドライバーが語る「電子制御アリ」のレースの必要性とは

掲載 更新 4
「ハイテク禁止」じゃ育たない! レーシングドライバーが語る「電子制御アリ」のレースの必要性とは

 緻密な電子制御によって一般道での安全性は大きく高まる

 自動運転化が盛んに議論されるようになった背景には、さまざまなセンシング機能の発達だけでなく、電動ステアリングやブレーキバイワイヤー、電制スロットルなどクルマを走らせる操作の電動化が進んでいることが大きい。

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 元来、クルマの操縦はドライバーが2、3のペダルとステアリング、シフトレバーを操作することで行っていた。しかしオートマティックトランスミッションがシフト操作からドライバーを解放し、運転操作を大幅に簡素化した。

 次の進歩としてはトラクションコントロールやABS(アンチロックブレーキシステム)といった電子制御技術だ。駆動輪の滑りを感知できるホイールセンサーが進歩し、ドライバーが駆動輪のスリップを感知する前にスロットルを制御できる。またABSは4チャンネルが当たり前となり、ひとつのブレーキペダルで4輪のブレーキを個別に制御する技術にまで発展している。

 運転操作の難しい部分をコンピュータが制御してくれることで、ビギナーでも安心して運転できるクルマとすることができる。

 こうした機能は、その登場時にはレーシングカーにも搭載され、一気にタイムを短縮させて競争力を発揮した。しかし、あまりに効果的すぎて装着の有無が競争力に大きく影響したため、一律に規制されるようになってしまっている。

 たとえばABS。ハードブレーキングテクニックがタイム短縮に重要なサーキット走行では、ブレーキペダルを強く踏み過ぎホイールロックを引き起こしてしまうと、たった一回でもタイヤにフラットスポットを作ってしまいタイヤを駄目にしてしまう。

 ABSが装着されていればホイールロックを気にせず安心してハードブレーキングできるが、それでは高度なドライバーによる特殊なテクニックの必要がなくなる。したがってドライバーのドライビング技術を競うことが主となるフォーミュラカーなどでは世界最高峰のレースであるF1も含めABSは禁止。ジェントルマンレースのGT3など一部のクラスで使用が許されているくらいだ。

 トラクションコントロール(TC)も同様で、ドライバーが大パワーを操りダイナミックに走らせるのがテクニックの見せ所だったのが、一様にTCが作動すると見た目にも面白さ、迫力に欠ける。そこでTCもフォーミュラカーでは禁止になった。

 さらにクルマの速さに大きな影響を及ぼす空力パーツも規制対象になっている。現代のF1やF2、F3では定められたストレート区間だけドライバーが操作することでリヤウイングの抑え角を減少させ、走行抵抗を減らし直線スピードを稼ぎ前車をオーバーテイクするDRS(ドラッグリダクションシステム)の使用が許されていて全車が採用している。

 電子制御の進化でマシンが速くなるとドライバーの負担は増える

 電子制御による可変制御が許されれば、近代のF1もラップタイムは大幅に短縮できるはず。速くなりすぎてドライバーに危険度が増すということも規制の理由となっているのだ。

 こうした規制をうまくすり抜けて、より速く走らせようと2020年に登場したのがメルセデスAMGペトロナスF1チームが採用したDAS(デュアルアクシスステアリング)だ。これはステアリングを押し引きすることで左右前輪のトー角を変更するシステムで、全自動ではないが可変制御技術として正当性が議論された。チーム側はステアリング機構の一部と解釈して正当性を主張したが、結局2020年は合法、2021年以降は採用不可とFIAは評決している。

 僕は1996年から三菱GTO(プーマGTO)で、1998年からは三菱ランサー・エボリューションでN1耐久レース(スーパー耐久レース)に参加していた。その理由は国内、いや世界的に見てもABSや電子制御4WDシステムの使用が許される唯一のレースで、市販車に装着されている可変装備の採用も認められていたからだ。

 GTOの市販車には可変空力デパイスが装備されていた。高速走行時にフロントノーズ下のアンダースポイラーが自動的に引き下がり、リヤスポイラーは立ち上がって車の前後リフト(CL値)を抑えるのに効果的だった。

 僕はそれを逆手にとり、直線の高速区間ではリヤスポイラーが下がって空気抵抗を低下させ、ブレーキランプスイッチと連動させてブレーキング時には立ち上げてリヤの安定性を図る制御にしたのだ。電子制御の変更は数値制御だけで行えるので、ハード部の変更はなく合法とされた。これは現代のDRSを先取りするシステムだった。

 またランサー・エボリューションではACD(アクティブセンターデファレンシャル)やAYC(アクティブヨーコントロールデファレンシャル)の数値制御を変更し、サーキットで速さを引き出すプログラムを開発できた。

 いまは一様に禁じられている電子制御可変システム。これらはクルマを速く走らせるだけでなく、緊急回避や安全運転の確立にも極めて有用だ。市販車ベースの電子制御可変技術発展の為に使用を許可されたレースがあったら、またメーカーと組んでチャレンジしてみたい。

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みんなのコメント

4件
  • >僕は1996年から三菱GTO(プーマGTO)で
    って書いてあるのだが、出所のWEB CARTOPを読まないと著者が誰かわからないのは、引用ニュースサイトとしてどうなの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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