日産自動車と日立ビルシステムは27日、電気自動車(EV)の電力で停電時のエレベーターを動かすV2Xシステムの実証に成功したと発表した。日産の軽EV「サクラ」に蓄えた電力だけでエレベーターを約10時間以上、運転できることを確認した。日立ビルシステムが今年中にも実用化する。
実証は、昨年11月から今年1月にかけて複数回、実施した。サクラに搭載する20キロワット時の電池を動力源とし、独自の充放電システムを使うことで9人乗りのエレベーターを動かした。1~6階まで通常運転より遅い分速30メートルで10時間、昇降を繰り返した結果、満充電時から54%のバッテリーを消費したが、往復263回運転できた。
東京都が昨年5月に公表した首都直下地震の被害想定によると、都内では約2万2千台のエレベーターが地震で停止するという。停電時自動着床装置を搭載したエレベーターもあるが、運転時間が数分から数十分程度と短い。自家用発電機は費用などの面から導入できるのは大規模ビルなどに限られる。
日立ビルシステムは、エレベーターや給排水ポンプ、業務用空調機器などを動かせる三相200ボルトのV2Xシステムを普及させ、BCP(事業継続計画)の強化に役立ててもらう考え。日産の神田昌明常務執行役員は「災害時の対策やエネルギーマネジメントに向けて建物とEVをつなぐ取り組みを今後も推進していく」と語った。
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