新車試乗レポート [2022.11.01 UP]
【ジープ 新型コマンダー】ディーゼル・7人乗り・上質さ・そして戦略的な価格!
文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス
ジープ コマンダーの名に聞き覚えがある人もいるのではないか。私も、初代モデルを思い出した一人である。
復活のジープ コマンダーは3列SUVのダークホース【九島辰也】
コマンダーは、ジープの新フラッグシップとして2006年に登場。ジープ初の3列シート7人乗り車で、グランドチェロキーと基本を共有するミッドサイズSUVであった。ワイルドなスタイルとアメ車らしい大排気量のV8エンジンを搭載し、フラッグシップモデルに恥じない内容を備えていた。ただジープとしては高価格ということもあり、かなりレアな存在であった。その名を受け継ぐ新型は、同じく3列の7シーターだが、その生い立ちは異なる。日本でいえば、コンパスの上級仕様であり、他国では、別の名称を名乗るため、日本でなじみのある名前を受け継いだということだろう。
そんな新コマンダーのジープラインでのポジションは、日本でもお馴染みだったミッドサイズSUV「チェロキー」の実質的な後継車となる。ボディサイズは、全長こそ少し長めだが、同等クラスを維持しており、まさに打ってつけといえる。
日本でも扱いやすいボディサイズ
ジープ 新型コマンダー
スタイリングのイメージは、ジープの最上位となるグランドチェロキーLのイメージを受け継ぐもの。
ジープのアイコンである7スロットグリルを取り入れた薄型のフロントマスクデザインと全高を押さえてボディの長さを強調したシルエットは、ベースとなる駆動方式こそ違うが、その雰囲気を良く映しこんでいる。
またボディカラーでは、ブラックルーフの2トーン仕様が標準とし、プレミアム感も演出している。因みに、リヤスタイルには、日本には未導入の「グランド ワゴニア」から影響を受けたデザインとなっているという。まさにジープ上級SUVの魅力を受け継ぐスタイルといえる。
そのサイズは、全長4770mm×全幅1860mm×全高1730mmとなっており、全幅はチェロキーと同等で、国産車だとRAV4と同等クラスに収まる。ホイールベースが2780mmと少し長く、3列対応のためにリヤオーバーハングも拡大されているため、最小回転半径は、5.8mとRAV4よりは少し大回りとなるが、このスペックチェロキーとは同等であり、日本でも扱いに困らない範囲。実際に、取り回しで大きさを感じさせることはなかった。
ただジープSUVとしては全幅がダイエットされているので、全体の印象は、グラチェロほどの迫力がないのも事実。ただその分、親しみやすさはあるともいえるのだが……。そこは好みで判断が分かれるだろう。
ジープ 新型コマンダー
3列7人乗りのインテリアはグラチェロ譲りの上質感
ジープ 新型コマンダー
コクピットデザインは、コンパス譲りのものだが、シートデザインやインテリアカラーには、グラチェロのエッセンスを取り入れることで、差別化。より上質感を高める空間となっている。
最も分かりやすいのが、シートデザインで、レザーシートのサイドサポート部などにダイヤモンドキルティング処理が施され、ラグジュアリーかつ快適な空間であることを主張する。シートレイアウトは、2+3+2の7人乗りとなっている。3列目へのアクセスには、ワンアクションで2列目シートを倒すことができ、後部ドアも大開口となるので、アクセス自体は容易だ。
しかし、3列目の座面は低く、足元スペースもタイトとなるため、ジュニア向け及びエマージェンシーシートとして捉えるべき。もし使える3列シートを望むならば、ジープではグラチェロLを検討するしかない。しかし、3列目シートを格納すると、170Lだったラゲッジスペースが481Lまで拡大。後部シートすべてを倒せば、824Lまで拡大できるので、ロングボディの強みは十分にある。
ジープ 新型コマンダー
ブランド初のクリーンディーゼルを搭載
ジープ 新型コマンダー
パワーユニットは、JEEP初導入となる2.0L直4クリーンディーゼルターボだ。最高出力170ps、最大トルク350Nmを発揮。環境性能を高めるために、尿素SCRシステムを搭載している。トランスミッションは、9速ATを組み合わせる。駆動方式は、FFベースの4WDで、電子制御式オンデマンド4WDを搭載しており、多段化とアイドリングストップ、2駆と4駆の自動切換えにより、燃費を向上。WLTCモードで13.9km/Lを実現している。
グレードは、シンプルに「リミテッド」のみ。メーカーオプションもボディカラーとサンルーフのみとなるが、基本的な装備は充実。デジタルメーターパネル、ナビ付10.1インチタッチスクリーンのインフォメーションシステム、ETC2.0車載器、プレミアムサラウンドシステム、ワイヤレスチャージングパッド、レザーシート、ハンズフリーパワーテールゲート、ステアリングヒーター及びフロントシートヒーター、キーレスシステムなどを備える。先進安全運転支援機能も、アダクティブクルーズコントロール、衝突被害軽減ブレーキ、ブラインドスポットモニター及びリヤクロスパスディテクション、前後パーキングセンサー、サラウンドビューカメラなど一通り必要と思える機能を押さえている。
新たなジープ兄弟となるコマンダーを今回は、都市部の市街地と高速道路で試してみた。ジープと聞くと大柄なイメージがあるが、今や全幅1860mmも特筆すべき大きさでなくなったこともあり、取り回しで大きさを意識することは少ない。水平基調のダッシュボードとスクエアなボンネットにより視認性にも優れるので、運転もし易い。車内も快適な広さが確保されており、2列目シートを着座位置がフロントシートよりも高く設定されているので、後席でも視界は良い。ただスマートなシルエットに貢献する全高の低さは、頭上空間のタイトさを生むので、サンルーフを装備した方が、ドライブの快適さは高まるだろう。エンジンは、燃費重視のおっとり型。低回転で最大トルクを発揮するので、フル乗車でもしっかりと走るが、急加速は得意ではない印象。ただファミリーユースを想定したコマンダーのキャラクターには適していると思う。このため、乗り味もしっかりとはしているが、快適性を重視したもの。王道的なSUVの乗り味を狙ったものといえる。ただマッド&スノータイヤを装備することやプレミアムよりも実用車としての要素も強いため、高速走行では風切り音やロードノイズが気になることもあった。また高速道路でのレーンキープアシストは強めで、ちょっとクセを感じることもあり、今後の走行支援機能の磨き上げには期待したい。
まとめ
ジープ 新型コマンダー
資源高及び円安の今、ディーゼルエンジン、7シーター、装備のアップデート、グラチェロ譲りのデザインを考慮すれば、同じFFベースの4WDの5人乗り車「コンパスリミテッド」の72万円高というのは、かなり戦略的な価格といえるだろう。一つ上となるが、最上位のグラチェロは892万円、グラチェロLについては907万円にもなるため、ちょっと手が出しにくい。そして絶大な人気を誇るラングラーも830万円からとなってしまい、高級車の仲間入りを果たしている。ファミリー向けSUVとして、ジープを検討する人にとって、597万円は、購入をリアルにしてくれるものであるのことは確か。しかし、より身近なレネゲードやコンパスほどのカジュアルさやフレンドリーさはなく、とはいえ、グラチェロのようなザ アメリカンSUVさは薄い。世界戦略車でもあるため、少し欲張りすぎた感は否めない。個人的にはスタイルに上級感よりもワイルドさを強めた方が良かったのではないかと思う。また最近の国産及び輸入SUVのように、スポーティな味付けでもなく、全般的にマイルド指向。その点も好みが分かれるところ。基本性能も味付けも、ちょっとオールディーズなのだ。そのキャラクターが愛されば、日本でも乗り易いアメ車のSUVとして楽しめるはずだ。
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