現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 時代の最高速モデル 1960年代 ランボルギーニ・ミウラP400 初のスーパーカーで280km/h

ここから本文です

時代の最高速モデル 1960年代 ランボルギーニ・ミウラP400 初のスーパーカーで280km/h

掲載 1
時代の最高速モデル 1960年代 ランボルギーニ・ミウラP400 初のスーパーカーで280km/h

スーパーカーと呼ばれた世界初のクルマ

近年は、週末の国道ですれ違うことも珍しくないスーパーカー。その言葉の響きには、特別感が薄れてしまったように思える。

【画像】1960年代と1970年代の最速 ランボルギーニ・ミウラとフェラーリ365 GT4 BB 全62枚

1966年に姿を表したランボルギーニ・ミウラP400は、おそらく、スーパーカーと呼ばれた世界初のクルマだった。当時の量産車にとっては非現実的な、時速174マイル(280.0km/h)を実現していた。

スポーツカー・メーカーとして、ランボルギーニ初の量産モデルとなったのが350GT。ライバル視していたエンツォ・フェラーリ氏が生み出す、フロントエンジン・リアドライブのグランドツアラーへ対抗できる美しい2ドアクーペだった。

だが、ジャンパオロ・ダラーラ氏が率いる若き技術者チームは、もっと新しいアイデアを温めていた。ル・マン24時間レースを戦った、フォードGT40やポルシェ904といったミドシップ・レーサーへ関心を寄せていた。

そんなダラーラは、フェラーリに先駆けてミドシップ・モデルに取り組むべきだと、フェルッチオ・ランボルギーニ氏を説得。名前をまだ持たない、次期モデルの開発をスタートさせた。

走行可能なスチール製ローリングシャシーが完成したのは、1965年。トリノ・モーターショーで、センセーショナルに発表された。350GTの後継モデル、400GT譲りのV12エンジンは、従来とは異なりシャシーの中央へ横向きに搭載されていた。

エンツォを嫉妬させるほど美しいボディ

バンク角60度の3929cc V型12気筒を設計したのは、ジオット・ビッツァリーニ氏。重量のかさむエンジンがクルマの中心に置かれることで、シャープな操縦性を獲得するとともに、ボディ後端には小さな荷室を用意することも可能としていた。

準備するべき宿題は、エンツォを嫉妬させるほどの美しいボディ。そのスタイリングを請け負ったのが、カロッツエリアのベルトーネ社だ。プロジェクト・リーダーには若干25才のデザイナー、マルチェロ・ガンディーニ氏が指名された。

リトラクタブル・ヘッドライトの前後にまつ毛のようなフィンが並び、ボンネットから滑らかに立ち上がるフロントガラス。ブラインドのようにスリットの入ったエンジンカバーは、後方視界の確保と、エンジンの放熱性を両立させていた。

そんな宇宙船のようなランボルギーニが正式発表されたのは、1966年のジュネーブ・モーターショー。ミウラという名前も与えられた。

当時の高性能モデルといえば、角を丸めた流線型が意識されていた程度。スーパーカーの雛形といえるような低くシャープなフォルムは、観衆へ相当な衝撃を与えたに違いない。

ボディの全高は、わずか1050mm。そのデザインは、路上をどんなクルマより高速で移動できることにフォーカスされていた。

すべての高さが低いミウラ

ミウラがレーシングカーになることはなかったものの、ランボルギーニとモータースポーツとの結びつきを表明するべく、用意されたイベントの1つが1966年のモナコ・グランプリでのデモ走行。

同社のテストドライバー、ボブ・ウォレス氏が運転席に座り、VIPゲストやメディア関係者が助手席に乗車。サーキットを周回してみせた。

ミウラの量産は1967年にスタート。ランボルギーニが主張した、280km/hという速度に疑問はなかった。初期のプレス用車両をテストしたモーター誌でも、時速171マイル(275.2km/h)を記録している。

しかし、最高速付近でフロントが浮き上がろうとする特性には、否定的な意見が生まれた。その問題を解決したのが、1971年のミウラP400 SV。安定性を高めるため、リア・サスペンションを上げ、フロント側が下げられていた。

今回ご登場いただいたのは、1967年式のミウラP400。ドライバーズシートへ座ると、筆者はその高速域での特性を思い出してしまう。

ほぼオレンジ色のロッソ・ミウラと呼ばれるボディカラーが、太陽に照らされ鮮やかに輝く。約180cmの身長の筆者がブラック・レザーのシートに腰を下ろしても、窮屈には感じられない。頭上には5cm程しか余裕はないが。

スーパーカーらしく、すべてが低い。ドライバーの正面には、大きなレブカウンターと320km/hまで振られたスピードメーターが並ぶ。センターコンソールには、6枚の補助メーター。センターコンソールから、オープンゲートのシフトレバーが伸びる。

355psを放つV型12気筒が支配

イグニッションを回し、燃料ポンプが無鉛ハイオクをエンジンへ送るのを待つ。始動させると、グランプリ・マシンから持ってきたような、多気筒サウンドが車内を充満した。

右後方には、4基の3バレル・ウェーバー・キャブレターがそびえている。アクセルペダルを軽く煽ると、揺れるのが見える。ミウラのすべてが、355psを放つV型12気筒に支配されている。

運転には、かなり体を使う。3スポークのステアリングホイールは、腕を伸ばさないと届かない。フロアにマウントされた3枚のペダルは、しっかりオフセットしていてストロークが長い。

俳優のロッサノ・ブラッツィ氏は、映画「ミニミニ大作戦(イタリアン・ジョブ)」でクールに運転しているが、筆者には難しい。しかしストレートで加速させれば、人間工学的な不満も忘れてしまう。

5速MTのギアノイズが、回転数の上昇とともにエンジンノイズと競い合うように高まる。右利きの筆者にピッタリのシフトレバーを操り、ヒール&トウを決める。感触は正確だ。

英国で許されるような速度域では、空力的な不安は微塵もない。低く滑らかなミウラは、路面に張り付くように安定して走る。高速コーナーでも、ボディはフラットなままだ。

ドライビング体験の鮮烈さで順位をつけるなら、今回の10台でランボルギーニ・ミウラが最上位に食い込む。世界初のスーパーなクルマは、今でも間違いなくスーパーだった。

協力:サイモン・ドラブル・カー社

ランボルギーニ・ミウラ P400(1966~1969年/欧州仕様)のスペック

英国価格:9529ポンド(1966年時)/100万ポンド(約1億6000万円)以下(現在)
生産台数:275台
最高速度:280.0km/h
0-97km/h加速:6.7秒
車両重量:1292kg
パワートレイン:V型12気筒3929cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:355ps/7000rpm
最大トルク:41.4kg-m/5500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
くるまのニュース
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
Merkmal
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
ベストカーWeb
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
WEB CARTOP
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
AUTOSPORT web
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
レスポンス
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
乗りものニュース
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
あれぇぇ!? [ノートオーラNISMO]と[シビックRS]を比較してみると意外な結果
ベストカーWeb
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
レゴ、F1全チームをテーマにした製品を2025年1月1日から販売開始。往年の名車ウイリアムズFW14Bなど“オトナ向け”製品も3月に発売
motorsport.com 日本版
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
ホンダが「凄い施設」を初公開! 夢の「全固体電池」実現に一歩前進!? パイロットラインを栃木で披露
くるまのニュース
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
ラリージャパン2024がついに走行開始。シェイクダウン1走目の最速はヌービル/WRC日本
AUTOSPORT web
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
ダイハツが新型「軽SUV」発表! 打倒「ジムニー!?」な“5ドア”モデル登場! タフすぎる「ゴツ顔×カクカクボディ」採用した“新型タフト”138万円から発売!
くるまのニュース
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
MotoGPマシンデビューの小椋藍選手 初走行の印象は……【MotoGPバルセロナ公式テスト】
バイクのニュース
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
ゼンリン、パナソニックのカーナビ「Strada」向け最新地図データ発売へ…12月2日
レスポンス
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
下取り額爆上がり? アルヴェルのドアの速さまで変えられるトヨタの[KINTO FACTORY(キントファクトリー)]がすごい!
ベストカーWeb
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
チャンピオン争いで明暗を分けた要因と変化がもたらす2025シーズンへの期待/MotoGPの御意見番に聞くソリダリティGP
AUTOSPORT web
メルセデスが好発進、ハミルトンがトップタイム。RB勢は下位に沈み角田裕毅19番手|ラスベガスGP FP1
メルセデスが好発進、ハミルトンがトップタイム。RB勢は下位に沈み角田裕毅19番手|ラスベガスGP FP1
motorsport.com 日本版
ヤマハとホンダがコラボ展示! バイクSFアニメ『Tokyo Override』劇中車の『YZF-R1』&『CB1300』が渋谷に登場
ヤマハとホンダがコラボ展示! バイクSFアニメ『Tokyo Override』劇中車の『YZF-R1』&『CB1300』が渋谷に登場
レスポンス

みんなのコメント

1件
  • ミウラの美しいデザインに比肩しうる車は、フェラーリ・ディノしかないと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索
GTの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2695.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1880.03258.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村