かつて当然のように装備されていた灰皿は今やオプション扱いに。似た収納スペースがあってもコイン入れや小物入れと役割を変えてきている。とはいえ喫煙者は未だ健在しており、これ愛煙家からすれば結構迷惑な話では!? 実際ユーザーはどう思ってんの!?
文:佐々木亘/写真:ベストカーWeb編集部/アイキャッチ: Adobestock@Armands photography
すでに愛煙家の肩身狭いのに……新型アルファードもなし!! ホントにいいのか!? 車内灰皿絶滅に納得しているのか問題
■標準装備は皆無!? 今やオプションに残るのみ
新型アルヴェルにも設定はなく、納車後にカー用品店などで買うのがベターか!?
2000年代に入り、灰皿を標準装備する車種は激減していった。
今では飲食店の店内喫煙が制限され、ほぼ灰皿を完備していたコンビニからも、灰皿は姿を消しつつある。日本では自由に喫煙できなくなったということは、クルマ以外でも感じられることだ。
乗用車に絞ってみると、灰皿を標準装備する車種はゼロに等しい。
ディーラーオプションでカップホルダーに備え付ける形の灰皿が用意はされているものの、カー用品店の汎用品とほぼ同じもの。あえて灰皿をディーラーオプションで頼むユーザーはほとんどいなくなった。
商用車はハイエースなどに灰皿が装備されているが、ダイナなどのトラックではメーカーオプション扱い。灰皿撤廃もここまで来たかという感じだ。
もはや車内に灰皿が標準装備されているクルマを見つけ出す方が難しくなった昨今。しかし、外でも喫煙できる場所は限られており、愛煙家は「せめて車内だけは自由に喫煙したい」と思っていることだろう。
灰皿が撲滅された今のクルマを、愛煙家たちはどう見ているのか。
■カップホルダーの位置こそ重要!? 灰皿は自分で調達する時代に
フリードやN-BOXなどはインパネ中央に収納式カップホルダーを設置しており、灰皿を置くにはベスト。だが、飲み物も収納したいところでもあり、超悩ましいのだ
2019年の統計を見ると、全国の成人喫煙率は男性が27.1%、女性が7.6%で、男女計16.7%になっている。喫煙率は1990年代と比べると減少傾向にあるものの、近年は低い数値ながらも横ばい傾向だ。
一定数は残り続けている愛煙家たちにとって、灰皿の有無は死活問題。しかし、クルマへの標準装備を求める声は、年々少なくなってきている。
愛煙家たちは灰皿が消えた現実に対して「不便だ」という思いを多少は持っているが、灰皿が付いていないからと言って、クルマへの満足度が下がるかというとそうでもない。
既に灰皿は自分で調達し、クルマに置くものという意識が高まっているということだろう。
逆に、クルマ側に灰皿の位置を決められてしまう標準装備の方が、今の愛煙家にとっては不便と感じることも多いようだ。
灰皿は無くてもいいが、灰皿を置きたい位置にカップホルダーがあってほしい。カップホルダーの位置が、自分の喫煙ホームポジションにどれだけ近いかが、クルマの中の快適性を決めるといっても過言ではないのだ。
左手を下ろした位置(センターコンソール奥)か、右手を肩口まで上げた位置(ドア側エアコン吹き出し口近く)のどちらかに、しっかりとしたカップホルダーがあることが望まれる。
愛煙家の中でのクルマの灰皿問題は、いつしかカップホルダーの位置問題に姿を変えている。
■ディーラーでは愛煙家にどう対応している?
どんなに人気モデルであっても喫煙車は下取り時に不利に働くケースも!!
実際にクルマの販売現場で、愛煙家と対峙するのはディーラーの営業マンだ。クルマに関係する仕事では、まだまだ喫煙者が多い傾向にある。自動車ディーラーもそのひとつで、社員の中に愛煙家は多い。
ディーラーオプションから灰皿が消えないのも、こうした理解があるからか。ホンダでは加熱式タバコ専用のスタンド兼吸い殻入れをディーラーオプションに設定していて、車内での喫煙そのものを否定するような動きは微塵も感じさせない。
吸う人、吸わない人、両方の立場を理解したでうえ、ディーラーでの営業活動が行われているが、自動車ディーラーは他の接客業と比べて、喫煙に対する理解は高い方だろう。
愛煙家か否かは、クルマを見れば一目瞭然であり、車内で喫煙するお客様に対しては、喫煙を盛り込んだ商品説明などを行っている営業マンも多いのだ。
現在使用している灰皿が、購入検討している車種に使えるのかどうかを調べるというのは基本的な対応の一つ。
「次のクルマでもここに灰皿おけるから安心ですね」といったトークを試乗中に挟んでいくのも、愛煙家には響く話題だ。
■下取り&残クレに影響大!? 愛煙家なら知っとくべきなコトとは
ただ一方で喫煙をするユーザーに対して、車内喫煙のデメリットを説明する機会も増えていった。
タバコの臭いがするクルマは、下取り価格が下がってしまうこと。また、残価設定ローンでは、喫煙車になるとローン終了時の残価を保証できなくなる可能性があるといった内容が多い。
健康増進法改正などで、愛煙家の肩身が狭くなったことは明らかな事実。ただ、クルマとタバコには、切っても切り離せない部分が残る。
灰皿の標準装備撲滅で、愛煙家が怒ることはなくなった。ただ、喫煙によってクルマの価値が下がってしまうということには納得いっていない人も一定数いる。灰皿の有無よりも、クルマを取り巻く制度や仕組みに対しての不満の方が、愛煙家の中でモクモクと広がりを見せているだろう。
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みんなのコメント
まだいるんだな、あんな奴。