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あるか復活…世界では大進化も 日本から撤退したメーカー&ブランド 5選

掲載 更新 16
あるか復活…世界では大進化も 日本から撤退したメーカー&ブランド 5選

 自動車メーカーの再編が活発化していて、最も新しいところでは、経営統合したFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とPSAグループが2021年からステランティスという新社名となることが発表されている。

 昔から、自動車メーカーは吸収・合併、資本提携などにより自動車メーカーやブランドを取り込んできた。それによって販売戦略などが変わり、ブランドの存続、新規マーケットの開拓、撤退など大きな変化がもたらされる。

日本上陸も!? ヒュンダイの本命SUV「サンタフェ」の魅力とは??

 本企画では、かつて日本で販売しながらも日本市場から姿を消した自動車メーカー、ブランドの今について見ていく。

文:永田恵一/写真:OPEL、FORD、FCA、SAAB、HYUNDAI

【画像ギャラリー】2010年に撤退したヒュンダイはスタイリッシュな燃料電池車のNEXO(ネッソ)で日本再上陸!?

オペル(OPEL)

日本では1995~2004年まで販売されたコンパクトカーのコルサ。日本では商標の関係で、ヴィータという車名を名乗った。ドラマで使われて話題になった

 ドイツの自動車メーカーのオペルは、GM傘下だったこともあり、GMのTカー構想によってオペルカデットをベースに初代いすゞジェミニが開発されたり、スバルにザフィーラをOEM供給(トラビックとして販売)するなど、日本メーカーとも関係が深い。

 さらに、アストラ、ヴィータがヒットしたこともあり日本での知名度も低くない。

 そのオペルは、日本での販売不振を理由に2006年に日本での販売を終了している。

 2009年に親会社のGMが破綻したが、GMはオペルを売却せず自主再建の道を選択。しかし遅々として再建は進まなかったが、2017年にPSAグループがオペルを買収した。

2019年のフランクフルトショーで世界初公開された新型コルサは日本導入予定。PSAのプラットフォームを使い、EVもラインナップ

 これで完全に息を吹き返したオペルは、欧州市場での販売好調も後押しし、2021年夏から日本でも販売することが発表されている。あのオペルが日本に戻ってくる。

 オペルは2020年現在乗用車だけでも15車種をラインナップしていて、日本にはその中から3車種の導入を予定している。

 コンパクトカーのコルサ、SUVのクロスランドX(プジョー2008の兄弟車)、コンボ(プジョーリフター&シトロエンベルランゴの兄弟車)だ。なお、かつてコルサの車名が商標のため使えずヴィータとなったように、車名変更の可能性はある。

久々に日本復帰するオペルに期待したい。

プジョー2008の兄弟車となるクロスランドXはBセグメントのコンパクトSUVで日本導入予定だ。そのサイズから日本でも人気に火が付く可能性は充分にある

プジョーリフター、シトロエンベルランゴの兄弟車でオペルブランドではCOMBO(コンボ)の車名で販売。両側スライドドアのMPVで日本にも導入予定だ

リンカーン(LINCOLN)

 リンカーンはキャデラックと並ぶアメリカの高級車ブランドとして君臨。元々独立したメーカーだったが、フォードが買収してフォードのブランドとなって長い。

 日本では、リンカーンといえばコンチネンタル、というイメージを持っている年配のクルマ好きは多いが、若い世代は高級SUVのパイオニア的存在のナビゲーターのイメージが強いと思われる。日本で大ヒットしたわけではないが、存在感は絶大だった。

1970年モデルのリンカーンコンチネンタル。写真は1970年にデビューした5代目。フルサイズのアメ車はステイタス性抜群。それにしてもカッコいい!!

 ナビゲーターをはじめとするリンカーンの販売は、2016年いっぱいでフォードが日本市場から撤退したことにより途絶えている。現在は並行モノが若干入ってきている程度だ。

 現在日本では正規販売されていないリンカーンが大きな変革期を迎えている。

 2020年7月にセダンのMKZの生産を終了し、2020年いっぱいでコンチネンタルも生産終了することを正式発表。これにより100年以上続いたリンカーンのセダンが消滅することになる。

 2021年にはナビゲーター、アビエーター、ノーチラス、コルセアという4種類のSUVのみのラインナップとなる。

 リンカーンがSUVブランドになると誰が想像しただろうか。

初代コンチネンタルがデビューしたのが1939年で、2019年に80周年記念モデルが登場したにもかかわらず、2020年いっぱいで生産中止。一時代の終焉だ

リンカーンの最高級SUVのナビゲーターは、高級SUVのパイオニア。リンカーンは、今後ナビゲーターを筆頭とするSUVのみの販売となる

ランチア(LANCIA)

 WRCでの活躍もあり、インテグラーレの人気もあって日本での知名度は抜群のランチアだが、日本市場から姿を消して長い。

 1980年代初期からランチア車の正規販売を手掛けたガレージ伊太利屋、1988からのマツダともに1998年で正規販売を終了。1999年以降、現在に至るまでガレージ伊太利屋などが一部のモデルを並行輸入している程度にとどまっている。

WRCのグループAを席巻したデルタインテグラーレは日欧で大ヒット。イタリアの高級車メーカーであるランチアの大成功作の1台

第3世代デルタとして2008年にデビュー。日本には並行輸入車が入ってきただけで、正規販売はされなかった。2014年に生産中止

 イタリアの高級車メーカーのランチアは、そのほかのイタリアメーカーの例に漏れずフィアット傘下にあるため、現在はFCAの一ブランドとなっている。

 現在はイタリア本国でもコンパクトカーのイプシロンのみのラインナップという寂しい状況で、そのイプシロンを生産しているポーランドの工場が、電動化される新型フィアット500にラインを受け渡し、ゆくゆくは消滅するというのがもっぱらの噂だった。

 しかし2021年からFCAとPSAはステランティスとして新たなスタートを切るのに先立ち、ランチアブランドは存続させることを明言したのは、クルマ好きにとっては朗報だ。

 願わくば、イプシロンだけでなく、新たな車種をラインナップし、魅了してほしい。

2011年にデビューし、日本ではクライスラーイプシロンとして販売された。古いがイタリア本国ではフィアット500に次ぐ販売台数の人気モデルに君臨し続けている

サーブ(SAAB)

 スウェーデンの航空機メーカーのSAAB(サーブ)の自動車部門として戦後に設立されたのがサーブ・スカニアだった。

 その後GMの支援を受けて、サーブ・オートモービルに車名変更した。

 ラリーでも活躍し、名を世界に広めたサーブは、独特のデザインでも人気を集め、日本ではサーブ900カブリオレが人気になったこともあった。

サーブ900カブリオレは1990年頃に、日本で女性受け抜群で、ちょっとしたブームになった。クラシカルで独特のデザインがオシャレと評判だった

 そのサーブは、GMの経営破綻により、路頭に迷うカタチになってしまった。

 オランダのスポーツカーメーカーのスパイカーによって買収されたが、経営難から抜け出せず、最終的には2012年にナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)が買収した。

 しかし、2016年にNEVSはサーブブランドを使用しないことを発表。これによりサーブという名前はクルマ界から消滅してしまった。

 同じGM傘下のメーカーでも、自主再建を目指し、見事復活を遂げたオペルとは対照的な結末となってしまった。

航空機メーカーの自動車部門の名残から、名機37ビゲンにちなんだ、スポーツモデルの9-3ビゲンをラインナップし、マニアックな層から支持された

ヒュンダイ(HYUNDAI)

 韓国ナンバーワンの自動車メーカーのヒュンダイ(現代自動車)のクルマが日本で初めて正規販売されたのは1988年で、三菱商事が輸入して、三菱のカープラザ店で150台が限定で販売され。

 その後、ヒュンダイは日本法人のヒュンダイジャパンを設立し、2001年に日本での販売を開始した。

ヒュンダイTB(本国名ゲッツ)は日本のコンパクトカーの牙城を切り崩すために日本で販売された。安かったが質感を含めて勝負にならなかった

 SUVのサンタフェ、その後継のJM、乗用タイプミニバンのトラジェ、セダン&ハッチバックのエラントラ、ミドルクラスセダンのXG、激安コンパクトカーのTBなどを販売したが、すべて日本車にライバルがいたため販売面で苦戦。

 結局2010年をもって日本市場から撤退した。ただし、日本法人のヒュンダイジャパンは残り、観光バスのユニバースの販売は現在も継続している。

 2009年にデビューした6代目ソナタで、そのデザインが評価され、その後ヒュンダイのデザインがいいというイメージが定着。WRCでも活躍するなど、日本以外、特に欧州での知名度は確実に高まっているのも事実だ。

 ちなみにヒュンダイの世界販売台数は、約719万台でメーカーランキングは5位となっている(2019年)。

ヒュンダイのミドルクラスセダンのソナタはデザインコンシャスで有名。写真は2019年にフルモデルチェンジした8代目モデル

 東京モーターショー2019に出展するという噂が出たり(結局出展せず)、日本語版Twitterアカウントを開設したりということで、ヒュンダイ日本再上陸か!? という噂も出回っている。

 そんななか、日本語のヒュンダイWebサイトが開設され、Webサイトでは燃料電池車NEXO(ネッソ)の紹介を掲載する挙げ句、日本語のカタログのPDFデータまで用意される。

 トドメに2020年9月16日からの4連休中の23日まで、東京の代官山T-SITEにて右ハンドル、右ウインカー、モニターの表記まで日本語になったネッソが展示されるイベントまで行われた。

 筆者は車内乗り込みまで可能だったのに加え、厚い紙のカタログを立派な紙袋に入れて配布していたこのイベントに足を運び、説明員の方に日本導入の可能性を聞いたみたところ、明言はなかった。

 しかし、ここまで準備が進んでいるのを見ると、日本再上陸がないほうが不思議ではないだろうか。

ヒュンダイの燃料電池車であるNEXO。日本仕様らしきモデルが日本で展示されたり、日本語カタログを用意するなど、日本導入を検討していることは間違いない

【画像ギャラリー】2010年に撤退したヒュンダイはスタイリッシュな燃料電池車のNEXO(ネッソ)で日本再上陸!?

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