現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 新型メルセデス・ベンツCクラスのパワートレインはガソリンBSGもディーゼルもやはり充実していた

ここから本文です

新型メルセデス・ベンツCクラスのパワートレインはガソリンBSGもディーゼルもやはり充実していた

掲載 更新
新型メルセデス・ベンツCクラスのパワートレインはガソリンBSGもディーゼルもやはり充実していた

昨年マイナーチェンジしたメルセデス・ベンツCクラスに試乗した。マイナーチェンジしたのはセダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレ、つまり全ボディタイプだが、今回はその中のメインストリームとなるセダンとステーションワゴンに試乗した。

 W205型となって4年目でのマイナーチェンジは、ぱっと見、外観上の変更点は少ないが、構成される部品の半分となる6500ヵ所を改良したという。つまり中身をきっちりとブラッシュアップしてきたという主張だ。
 
 前期型オーナーでないとわからない程度にバンパー形状が変わり、高性能なLEDヘッドランプを採用。セダンのテールランプは「C」の字に光る工夫が施された。そのほか空力効率を高めて燃費を向上したというが、ともあれ見た目の変化の少なさで前期型の中古の人気は落ちないだろう──などどいらぬ心配をしてしまう。それはさておき今回のマイナーチェンジの肝はパワートレインの刷新、追従クルーズコントロールなどの安全快適装備のさらなる充実、そしてランフラットタイヤ装着の廃止(除くC180クーペスポーツ/カブリオレスポーツ19インチ)だ。
 

FFスペシャリティハッチは“バブルマツダ”の申し子:ユーノス・プレッソGT-A

 後期型Cクラスのエンジンラインナップは新採用された1.5ℓ直4ガソリンターボ、2.0ℓ直4ディーゼルターボのほか従来の1.6ℓ直4ターボやAMGモデルに積まれる3.0ℓV6ツインターボ、4.0ℓV8ツインターボとなる。当然、見所は1.5ℓ直4ガソリンターボ、2.0ℓ直4ディーゼルターボだ。この中から今回は1.5ℓ直4ガソリンターボを搭載するセダンのC200アバンギャルドと2.0ℓ直4ディーゼルターボを搭載されるC220dステーションワゴンアバンギャルドに試乗した。
 
 まずはC220dステーションワゴンアバンギャルドから。ドアを開けると外観よりもインテリアのほうが変化を感じられる。今回のマイナーチェンジでオプションながら装備できる12.3インチコクピットディスプレイが目立つ。メーターパネルのディスプレイ化は各プレミアムブランドが矢継ぎ早に実現しているが、このCクラスも仲間入りした。センターの10.25インチワイドディスプレイ以上の存在感だ。ちなみに、この日試乗した車両は前述のコクピットディスプレイを含むレザーエクスクルーシブパッケージ(55万円)、AMGライン(37万円)、レーダーセーフティパッケージ(20万1000円)、パノラミックスライディングルーフ(21万6000円)などがオプションで装備されていた。
 

 OM654と呼ばれる2.0ℓターボディーゼルエンジンは最高出力194ps、最大トルク400Nmを発生する。最新のEクラスに搭載されていることからもわかるように、ディーゼルなのにシルキーな回転フィールをもつあたりはメルセデス・ベンツに期待される品質を充分に持っている。欧州市場に於いては強い逆風の吹くディーゼルではあるが、基本的なポテンシャルの高さを感じさせる。日本では燃料代と大トルクによるドライバビリティを考えるとまだまだディーゼルの価値は高い。
 
 一般道を交通の流れに沿って走らせる分には、アイドリングストップからの復帰も速く、まるで大排気量ガソリンエンジンのような感覚で乗れるディーゼルエンジンだ。組み合わされるのは9速ATで、もはや変速を感じさせないシームレスなギアチェンジは多段化の恩恵あらたか。ただし一番上の9段目は日本の制限速度ではギア比の関係で使用することは少ないかもしれない。なおディスプレイ化されたメーターパネルを見るとレッドゾーンは5300rpmから始まるが、実際の使用可能範囲はマニュアルモードでも5000rpm以下だった。だが最高出力は3800rpm、最大トルクは1600~2800rpmで発生するのだからいたずらに回る必要もないことも付け加えておこう。
 

 ところでC180を除く新型Cクラスには、夜間走行で有効なマルチビームLEDヘッドライトが標準装備されるのだが、山道で試したところ期待したほど明確には作動しなかった。上位モデルのEクラスで試した際には、まさに先行車や対向車の部分だけ照らさないハイビーム制御が筆者を感動させてくれたのだが、今回は試乗した山道の条件がよくなかったのか、あのときの感動はなかった。後日別の機会に試してみたい。
 
 最近のプレミアムなワゴンモデルに当たり前となっている電動テールゲートを標準装備。さらに爪先を車両のリア下部の空間に差し込んで素早く抜くとスイッチにもリモコンキーにも触れずに、ハンズフリーでリアゲートが開閉できるフットトランクオープナーも備わる。これは便利だが前述のレザーエクスクルーシブパッケージに含まれる。
 

 試乗中もうひとつのハイライトである運転支援システムを試した。一般にACC(追従クルーズコントロール)と呼ばれるアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックは、たしかにパワートレインの滑らかさもあって、先行車にあわせて的確に車速を調整してくれる。信号で停止しても30秒ほどなら勝手に再発進してくれる。それ以上停車する場合は自分でアクセルを踏むか、スイッチを操作する必要がある。メーター上は210km/hまで作動可能なようだが、アウトバーンでもいかなければ試せないだろう。
 
 80~180km/hで作動するアクティブレーンチェンジアシストは的確に車線をキープしてくれる。だが、もちろん山道などではさすがに逸脱しそうになるのであくまでアシストと考えるべきだろう。実際10秒ほどステアリングに触れずにいると、警告が表示される。他にも歩行者の飛び出しや追突時の緊急ブレーキや後方死角車両がいる際の車線変更時のドライバーへの警告など上位モデルのEクラスやSクラスと同等の内容が装備されている。ともあれ自動運転時代は着々と近づいていると感じさせる内容だ。


メルセデス・ベンツC220dステーションワゴンアバンギャルドAMGライン
■ボディサイズ:全長4705×全幅1810×全高1430mm ホイールベース:2840mm ■車両重量:1575kg ■エンジン:直列4気筒DOHCターボディーゼル 総排気量:1949cc 最高出力:143kW(194ps)/3800rpm 最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1600~2800rpm ■トランスミッション:9速AT ■駆動方式:RWD ■サスペンション形式:F4リンク Rマルチリンク ■ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク ■タイヤサイズ:F225/45R18 R245/40R18 ■価格:602万円


1.5ℓターボの常識を覆したC200アバンギャルド

 続いてセダンのC200アバンギャルドに試乗した。搭載される1.5ℓ直4ツインスクロールターボは単体で最高出力184ps、最大トルク284Nmを発生する。M264と呼ばれるこの新型エンジンは、始動した瞬間から滑らかさを感じる。可変バルブタイミングや新たに特許取得したという「CONISHAPE加工」などの新技術によって、エントリーグレードのC180に搭載される1.6ℓ直4ターボと比較して排気量で0.1ℓ少ないにもかかわらず最高出力で28ps、最大トルクで34Nm増加している。しかもこれにBSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)と48Vシステムを組み合わせており、実際試乗した感じは特に低回転域で力強い。
 
 BSGモーター(最高出力14ps、最大トルク160Nm)を併用することで、1.6ℓターボと比較するまでもないほどスムーズに思った車速に達する。ちなみにBSGは加速はもちろん減速時にも1kWhのリチウムイオンバッテリーに回生可能だ。
 

 新型直噴エンジンの回転フィールはさらさら回るといった印象で、エンジンそのもののリファインか、モーターのアシストか、あるいはその両方か、パワートレインの進化を嫌でも感じてしまう。当然アイドリングストップから発進時のマナーも滑らかで、これは大型スターターモーターによりエンジン再始動時の振動低減が奏功しているようだ。シームレスな加速フィールは、スムーズで素早い変速をアシストするBSGと、そもそも多段化された9速ATの効果があるだろう。なお停止状態からはことごとく2速で発進した。1速はよほどのエマージェンシー的な状況で使用するのだろうか、短い試乗時間では試せなかった。
 
 試乗車に装着されたタイヤは、専用にチューニングされたコンチネンタル・スポーツコンタクト5(225/50R17 94W)。ランフラットではないので乗り心地はソフトで高級感がある。パンクしてもある程度走れるが、硬い乗り心地を持つランフラットに対する考え方は人によって異なる。これは万が一の時の安全性(あるいは走り続けられる利便性)を取るか、日常の乗り心地を取るかという話で、どちらが正解というモノではないと思う。ちなみに筆者は同価格でランフラットを選べるのならランフラットにしたい派だ。なお、別途試した18インチはやや硬さが感じられたのでランフラットをやめて安全性より快適性をとるなら17インチを選ぶべきだろう。
 

 ステアリングのロック・トゥ・ロックは2.25回転で乗用車の割にクイックだ。それでいて最小回転半径は5.2mと小さいのだが、ステアリングに過敏なところはなく、横方向も非常に滑らかに運転できた。とはいえ、すべてが滑らかで快適だったわけではなくエンジンやトランスミッションの振動が、ごくまれにダイレクトに感じられる瞬間があった。この臓物感は加減速が続くような時には、不快な振動にもつながるので、これは個体差かどうか後日試してみたい。
 
 総じて1.5ℓターボとは思えないほどのトルク感はまさに先進的だし、これからのプレミアムサルーンはこうあるべきなんだろうなと思わせた。ただし、そのプレミアム感は日常域までで、そこからさらにアクセルを踏み込んでいっても1.5ℓターボなりだったことも付け加えておこう。

メルセデス・ベンツC200アバンギャルド
■ボディサイズ:全長4690×全幅1810×全高1425mm ホイールベース:2840mm ■車両重量:1550kg ■エンジン:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1496cc 最高出力:135kW(184ps)/5800~6100rpm 最大トルク:280Nm(28.6kgm)/3000~4000rpm ■トランスミッション:9速AT ■駆動方式:RWD ■サスペンション形式:F4リンク Rマルチリンク ■ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク Rディスク ■タイヤサイズ:225/50R17 ■価格:552万円

こんな記事も読まれています

ついに[レガシィ]の名が消える…… 2025年春にメイン市場の北米で生産終了! でもアウトバックは生き残る!
ついに[レガシィ]の名が消える…… 2025年春にメイン市場の北米で生産終了! でもアウトバックは生き残る!
ベストカーWeb
「Appleのパクリ」はもはや過去! 中国シャオミ初EV「SU7」受注7万台突破と新経済圏ブチ上げ、米中貿易摩擦も何のその?
「Appleのパクリ」はもはや過去! 中国シャオミ初EV「SU7」受注7万台突破と新経済圏ブチ上げ、米中貿易摩擦も何のその?
Merkmal
アウトドアテイスト満点な新設[HuNT]がイカす!!! ホンダの中核コンパクトSUV[ヴェゼル]が満を持してマイチェン!
アウトドアテイスト満点な新設[HuNT]がイカす!!! ホンダの中核コンパクトSUV[ヴェゼル]が満を持してマイチェン!
ベストカーWeb
THE NORTH FACEを体現した一台! トリプルネームで開発されたトヨタ ランドクルーザープラドがベースのキャンパー
THE NORTH FACEを体現した一台! トリプルネームで開発されたトヨタ ランドクルーザープラドがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
走るファーストクラス【レクサス LM500h エグゼクティブ】
グーネット
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
GAINER TANAX Zが岡山で待望のシェイクダウン。ドライバーふたりもポテンシャルに手ごたえ
AUTOSPORT web
もう[ハリアー]超えやん!! 日本の[ヤリス]にも採用してよ!! 欧州仕様のエアコン機能が神すぎる
もう[ハリアー]超えやん!! 日本の[ヤリス]にも採用してよ!! 欧州仕様のエアコン機能が神すぎる
ベストカーWeb
中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
中上貴晶が語るテストチームとのズレ。ホンダRC213Vの現状は「問題が多過ぎる。データ解析しても表れない」
AUTOSPORT web
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
グーネット
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
グーネット
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
グーネット
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
グーネット
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベストカーWeb
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
ベストカーWeb
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
ベストカーWeb
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
Auto Messe Web
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
motorsport.com 日本版
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
カー・アンド・ドライバー

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

727.0741.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.8748.0万円

中古車を検索
Cクラス ステーションワゴンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

727.0741.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

24.8748.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村