ラグジュアリー性を重視したS130Z
わが国を代表するスポーツカー、日産フェアレディZ。近頃では、最新型RZ34がデビューし熱い注目を集めているが、国産スポーツカーの中でも、その歴史の長さやルーツの深遠さ、そして世界に与えたインパクトの大きさなどにおいて、Zに匹敵する車種はないだろう。その二代目モデル・S130型の後期型2シーター280Z-T Tバールーフを再現したプラモデル作例については前編の記事で説明されている通りだが、ここでは実車についてもう少し詳しく述べておこう。
『西部警察』の面影なし!アオシマ製プラモ「スーパーZ」をノーマル戻し&2シーター化・前編【モデルカーズ】
【画像44枚】細部をスーパーZからノーマル化していく、その制作工程を見る!
オープンスポーツカーであったフェアレディのモデルチェンジとして生まれた初代フェアレディZだが、その誕生にあたっては日本国内同様、いやそれ以上に、北米市場に受け入れられることが目標だった。クローズドボディの快適性と扱いやすさ、そしてスタイリッシュさと低価格のバランスから忽ち大人気となり、北米市場では予想以上の大ヒットを記録、欧州製スポーツカーを駆逐してしまうほどであった。そんなZが二代目・S130型系へと進化したのはデビューから9年後、1978年8月のことである。
ボディスタイルは初代のイメージを踏襲したものだがサイズは拡大され、空力面でも磨きをかけている。先代とは異なりボディはBピラー付きで、代わりにドアがサッシレスとなり、構造的にも一新された。エンジンは先代同様L型6気筒だが、3ナンバー用は2.4Lから2.8Lへと排気量をアップしたL28Eへと変更。5ナンバー用は先代後期型から継承した2LのL20Eを搭載する。サスペンションは先代では前後ともストラット式であったが、S130ではリアをセミトレーリングアーム式に改めている。さらにブレーキも四輪ディスクへと進化した。
先代同様にボディ形式は2人乗りの2シーターと4人乗りの2by2の2種類が存在、後者は前者よりホイールベースが300mm長い。快適性の向上も二代目の重要なテーマで、室内幅が75mm拡大された(2by2の数値)ほか、きめ細かい騒音振動対策や空調システムの改善が行われている。インテリアはダッシュボードに初代の面影を残すものの、装備も充実し、よりゴージャスなものとなった。
本革シートがトップモデルの280Z-Tにオプション設定されたほか、当時世界初のアンビエンス・システム付き4スピーカー・ステレオが一部に標準装備されたのも、ゴージャス化の例として挙げることができよう。グレード構成は2LのZを標準にZ-L、Z-Tの順で豪華モデルとなり、2.8にはZ-LとZ-Tのみ、この5種類が2シーターと2by2両者にそれぞれ設定されていた。
Tバールーフやターボを追加し高い人気を維持
1980年3月には、2.8L車にエンジン集中電子制御システムECCSを採用、燃費などを向上させた。またこのとき、ブルー/シルバーのツートンをZ-Tにオプション設定している。S130Zと言えば想起されるツートン・カラーの最初の例である。そして同年11月には、2Lと2.8LのZ-T双方にTバールーフを追加。これはボディ剛性を確保しながらサンルーフ以上のオープンエア感覚を齎すもので、2シーターと2by2いずれにも設定されている。このTバールーフには、専用色としてブラック/シルバーのツートンを用意。同時に、2L車にもECCSが採用された。
デビューから3年少々のちの1981年10月には、マイナーチェンジを実施して後期型へ移行。外観ではテールランプなどのデザインが変更されたほか、全車にオーバーライダー付きソフトカラードバンパーが装着されるようになった。機構面では2.8Lの性能向上が図られており、圧縮比の増大や各部フリクションの低減などによって、最高出力10psアップを実現(155ps)。このほか装備の充実や軽量化が行われた一方、2.8LのZ-Lは廃止されている。
1年後の1982年10月には、2Lモデルにターボを追加。L型エンジンにターボを装着したL20ET(145ps)の採用は、セドリック/グロリア、スカイライン、ローレル、レパードに次いでのものとなる。フェアレディZの場合は、専用の扁平率60%タイヤが装着されるのも話題を呼んだ。なお、北米仕様にはL28のターボ仕様も前年に登場していたが、このエンジンは国内向けには認可が下りなかったと言われている。そして登場5年目の1983年9月にはフルモデルチェンジを行い、三代目・Z31型へとバトンタッチしたのである。
新車当時は人気の高かったS130だけに、プラモデルも各社から発売されているが、1/24スケールで特に評価が高く今も入手もしやすいのは、タミヤの前期型280Z(2シーター)とアオシマのスーパーZ(2by2をベースとした『西部警察』の劇用車)であろうか。とは言えS130は意外と現役で入手できるキットが少なく、タミヤもアオシマも現在(2023年4月)は生産休止中だ。ここでお目にかけている作品は、今も入手可能なマイクロエース製2シーターのボディの一部を、アオシマのスーパーZと合体させて制作したもの。その制作工程については、前編の記事と併せて工程写真のキャプションをじっくりお読みいただきたい。
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