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ラグジュアリーカー、今なぜ売れるのか 高級車メーカーが2022年に販売台数を伸ばしたワケ

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ラグジュアリーカー、今なぜ売れるのか 高級車メーカーが2022年に販売台数を伸ばしたワケ

2022年の売れ行きは?

毎年1月中旬から2月にかけて世界の各メーカーから前年の生産(販売)実績が発表される。そこで目を惹いたのは高級車メーカーの販売が好調だったことだ。

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高級車を代表するロールス・ロイスやベントレーを筆頭に、ランボルギーニやポルシェといったスポーツカー・メーカーも前年を上回る好調なセールスをマークしている。

なかでもプレミアム・クラスのロールス・ロイスやベントレーが、過去最高となる販売台数を記録したことに注目したい。

それぞれの戦略とリザルトを解析してみた。

ロールス 台数より収益を重視

2022年はロールス・ロイス・モーター・カーズにとって記念すべき年で、初の電動モデルとなるスペクターを発表し、6000台を超える納車を行った初めての年となった。

2022年の販売台数は、同社118年の歴史の中で最高となる6021台(前年比8%増)を記録した。10年前(2012年)の販売台数は3279台に過ぎず、その躍進ぶりが分かる。

しかし、単に台数だけを追うのではなく、年を追うごとに需要が高まる「ビスポーク」を重視。その額は平均で約50万ユーロ(約7000万円)に達し、過去最高を記録した。

同社は利益重視の方向で歩み、顧客の好みや要望に真摯に耳を傾けてきた。元来持つ存在感と希少性を高めながら、ブランドを意識的に若返らせたことが成功の理由といえる。

最近ではブラックバッジ・シリーズの設定や、ボートテイルのような伝統のコーチビルド・プログラムの復活など、パーソナライズをより推し進めている。

2022年はほとんどの地域で売上高を更新し、特に中東、アジア太平洋、米国、欧州で大幅な伸びを記録。販売台数を伸ばした要因は、カリナンが大きな役割を果たした。

日本での登録は240台(日本自動車輸入組合発表値)で、2021年と同数だった。しかし台数こそ変わらないが、売り上げ的にはビスポークが大きく貢献しているはずだ。

右肩上がりのベントレー

かつてはロールス・ロイス傘下にあったベントレーだが、1998年にフォルクスワーゲン・グループ(VW)に買収され、一方のロールス・ロイスは最終的にBMWグループに入る。

VWグループはランボルギーニもそうだが、そのブランドが持つ魅力をより際立たす方向性で見守り、必要以上に干渉せずにじっくりと育てていることが特徴といえる。

ベントレーは2002年に1063台だったが、2012年には8倍となる8510台まで急伸。2022年の販売台数は1万5174台(前年比で4%増)で、20年間で約14倍となった。

車種別ではベンテイガが過去最高台数を記録して42%を占め、5月に加わったエクステンデッド・ホイールベース(EWB)の受注も好調だという。

そこにGTとGTコンバーチブルと好調なコンチネンタル系が続き30%を占めた。

新たに導入されたフライングスパー・ハイブリッドがフライングスパー・シリーズ全体に占める割合は、世界では30%だがイギリスでは65%と突出した高さに注目したい。

南北アメリカ、欧州、アジア太平洋地域で過去最高の販売台数を記録したが、中華圏のみマイナスだった。日本は過去最高となる644台(前年比+8%)を記録している。

高級車がコロナ禍に強いワケ

新型コロナ感染症の拡大で自動車業界は影響を受けてきたが、高級車メーカーは影響が少なかった。

その理由の1つが「ビスポーク」による受注生産が主になっていたことがある。

プレミアム・クラスの場合は、ベースの状態で買うことは皆無といえ何らかのパーソナライズが施されている。そのため製作に時間が必要で、納期は1年以上になることがある。

コロナ禍が一段落して行動制限が緩くなった2021年にオーダーされた車両が、2022年にデリバリーされたことから台数が伸びたと勘案できる。

プレミアム・クラスのSUVが登場したことにより、富裕層が所有する他メーカーのSUVからの乗り換えに加え、買い増しされたことにより台数を伸ばしたと考えられる。

また副次的になるがコロナ禍による金融緩和が行われ、世界的な金余り状態になる。そのため不動産や株式などの資産運用を得意とする富裕層がより資産を増やすこととなった。

コロナ禍で旅行を始めとする外出が制限されたことから、富裕層がクルマや宝飾品、ブランド品の消費に走ることになったことも忘れられない事実だ。

これらの要因が絡み合った結果、プレミアム・クラスの好調なセールスが実現したと考えられる。今後世界的な変動がなければ、2023年もこの流れは続くものと思われる。

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