非電動化エンジンは有害物質の排出量が課題に……
ガソリンかディーゼルか、自然吸気か過給か、あるいはハイブリッドか……クルマの動力として消えゆく運命にあるのは何か? 占いでもなく、人気でもなく、それぞれの動力の機械的持ち味を活かせなくなれば、やがて淘汰されていくことになる。
話題沸騰の「e-POWER」のパワーでバカ売れする日産ノート&セレナに潜む弱点
ディーゼルエンジンの持ち味は、高い圧縮比による効率の高さ、すなわち燃費のよさだ。ことに欧州では小型車に多く利用され、庶民の足として永年活躍。2000年前後からは上級車種にもディーゼルターボが波及し、燃費のよさと大トルクで高速走行を実現してきた。
ところが欧州で、二酸化炭素(CO2)の排出量規制が強まり、同時にまた排出ガス浄化の規制も強化されることにより、ディーゼルエンジンの持ち味を活かせない情勢になった。燃費と排出ガス浄化を両立させるうえで、ディーゼルの極端な高圧縮比は排ガスの性状を悪化させるので、マツダは解決策として圧縮比を下げることをSKYACTIVで行っている。それが、世界的な傾向でもある。
ガソリンエンジンは、同じくマツダがディーゼル同等とまではいかないが、これまで不可能と考えられてきた高圧縮比を実用化した。適切な排気量と高圧縮比によって、燃費を大きく向上させたのである。しかも、ターボチャージャーなどの過給機を装備しなくてもよく、原価低減にもつながっている。
しかしながらガソリンエンジンも、燃費の向上と高圧縮比による出力の向上を行う上で必要となるガソリン直噴(筒内=シリンダー内へ、燃料を直接噴射する)技術を用いると、ディーゼルと同じように排ガス浄化に課題を抱えるようになった。ディーゼル特有の有害物質であった粒子状物質(PM)を排出するようになったのである。将来的にガソリンエンジンも排ガス浄化の後処理装置に原価が上乗せになる懸念も生じる。欧州では、すでにガソリンエンジン用のGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の装備が行われている。
そのうえで、欧州のCO2排出量規制は、2021年からエンジン車だけでは達成できない燃費性能が求められるようになる。電動化しなければ基準を満たせないのだ。となると、小排気量のガソリンエンジン以外は、エンジンだけでのクルマは生き残りにくくなる。
メーカーの思惑よりも消費者の価値観が左右する
ハイブリッド車(HV)は、トヨタが初代プリウスで挑戦したように、排ガス浄化に優位性を持つガソリンエンジンとモーターを組み合わせることで、エンジン車の2倍の燃費性能を達成することで成果を上げてきた。しかし米中では、電気自動車(EV)の強制的な市場導入策が採られている。いずれHVからEVへ移行していく必要に迫られるだろう。
自動車メーカーは、規制により一定の電動化を果たさなければならないとの見解でいるが、新車を買うのは消費者である。政策的な強制力とは別に、HVを含む電動化されたクルマより、EVのほうが魅力的だと感じたとたん、消費者の目は一斉にEVへ向かうだろう。
携帯電話がスマートフォンに切り替わったのも、スマートフォンの魅力と通信における可能性の広がりに消費者が気づき、よさを感じたからこそ、大きなうねりになった。
同じように、クルマの動力も、政策やメーカーの思惑だけで市場占有率が動くのではなく、消費者の価値観がいつ転換するかによって一気に変わっていくはずだ。それぞれの動力の持ち味が発揮できなくなるなかで、消費者が新しい価値に喜びを感じたとき、いずれの動力が将来を担うかが確定することになる。
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みんなのコメント
EVだって作るまでにエネルギー消費してるし、電気だって火力発電とかで有害物質を出してるんです。
今は車一台の製造過程から消費までトータルでどれだけ有害物質を出すかという基準になってきてるんです。
全部EVになったらどれだけ電気使うと思いますか?
今の発電能力じゃ賄えないんです。
だから何年かでEVだけになるなんてあり得ないんです。
自動車って年販数千万台の世界。
そんな中でEVなんかまるで売れてない各社大赤字部門。
とりあえずイメージ先行のため作ってるだけで、車種を増やすことはそのまま赤字が増えることを意味してる。
何百万も出して買う買い手も今のところメインは法人かモノ好きだけ。
→ 欧州なんかも法で後押ししようとしてるけどたぶん無理だね、いずれ後退せざる得なくなるだろう
→ 売れもしないで赤字ばかりじゃ、産業界から総スカン