「東京モーターショー」あらため「Japan Mobility Show 2023」のプレスデーを取材してきた。前回、コロナ禍によって休止されたので、2019年から4年ぶりのモーターショー開催となる。会場を歩いて、思わず足を止めさせられてしまった展示について書いてみたい。
完成車メーカーが展示を行っている東棟に入ってすぐ右側に眼についたのは、ソニー・ホンダモビリティの「AFEELA」だ。「AFEELA」については、以前、@DIMEに記事を書いたばかりなので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。ただ、日本では初公開となる展示なので、気になる人は、ぜひ会場で実車をチェックしてほしい。
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「Striemo」、「あしらせ」、EV仕様「N-VAN」見どころ盛りだくさんのホンダブース
隣のホンダのブースで気になったのは、社内起業プロジェクト「イグニッション」発による「Striemo」と「あしらせ」だ。「Striemo」は既存の自転車にモーターとバッテリーを後付けして電動自転車にすることができる。本田宗一郎氏が自転車に小型エンジンを取り付けたものを製造販売したところに社業の源があるわけだから、そこに先祖帰したと言える。
「あしらせ」は、眼の不自由な人向けに開発された歩行案内システムだ。左右の靴にひとつずつ取り付け、振動によって案内を行なう。どちらも、頷きながら開発担当者の説明を聞いた。すぐにでも市販され、多くの人々の役に立つに違いない。
他にも「N-VAN」のEV仕様やカセット式バッテリーなどについて、興味深い展示が続いていた。ホンダは、2輪や汎用用品などを広く手掛けているので、見せたいものがたくさんあるように感じた。
そして、ホンダは「プレリュード」のコンセプトカーも出展した。当時の「プレリュード」に近づけたいのであれば、キャビンの後ろ端に明確なノッチを持った3BOXタイプにしないといけないかもしれない。
同じ2輪メーカーのヤマハの「TRICERA」には、立ち止まって考えさせられた。「TRICERA」は、前2輪+後1輪のEVスポーツカーのコンセプトモデルで、後輪が同位相にも逆位相にも操舵され、いくつかの走行モードの中には“手動モード”も設定可能。説明パネルには、次のように書かれている。
「新たなドライビングスキルの習得と成長の悦びを提供します。モビリティーが自動運転化に向かう今こそ、ヤマハ発動機はもう一度、ゼロから“人間が操縦することで生み出される感動”を探究します」
文面からは、ヤマハの開発陣がモビリティーと運転の喜びについて真剣に考えて、入場者に問い掛けている様子が明確に伝わってきた。なんとか商品化してもらいたい。
ダイハツのコンパクト1BOXのEVコンセプトモデル「ミーモ」
ダイハツのブースでは新型「コペン」のコンセプトカーが展示されていたが、そちらよりも「ミーモ」の前で足を止めた。コンパクト1BOXのEVコンセプトモデルだ。カーマニアだけでなく、生活を便利にする提案は大切だ。ダイハツは毎回必ずそうした実質的な展示を行うから見逃せない。
一方で、“モーターショーの華”というか、派手な展示もあった。日産のコンセプトカー群がそうだった。最初から展示されている4台とベールが掛けられている1台。4台のうち、1台は大型ミニバンだ。プレスカンファレンスでベールを脱いで現われたのは、2ドアの「ニッサン ハイパーフォース」だった。最高出力1000kWと電子制御4輪制御システム(e-4ORCE)を備え、高性能を発揮するEVのコンセプトカーである。キャビンやテールライトの形状などを「GT-R」に意図的に似せていて、「次のGT-Rのコンセプトカー」と言ってほしいのが伝わってくる。
それにしても、日産が出展した5台は、どれもカクカク、パキパキの直線と平面を強調した、戦隊アニメに出てくるような造形だったのはなぜだろう?
見分けがつくのが「ハイパーフォース」とミニバンだけで、他の3台の見分けがつかなかった。“世界観を表現している”のだろうけれど、絶対にこの形やこれに準じた形で市販車として登場するわけがないのだから、長く見続けようという気にはなれなかった。
反対に「世界観の展示」でありながら、“市販車として登場した時に、どこをどう具現化されるのか?”とあれこれ、楽しく思案させられたのが、BMWのコンセプトカー「ヴィジョン・ノイエ・クラッセ」だ。
もちろん、次世代のBMWデザインを示しているわけだが、EVが前提となっており、「クリア、エレガント、タイムレス」がテーマとなっている。これまでのエンジン車のBMWと目指すどころか、どこがどう進化していくのか、製品化される姿を想像しながら眺めているだけでも楽しい。
その一方で、これまで長年に渡ってBMW車のデザインを特徴づけてきた、ダブルヘッドライトやキドニーグリルなども組み込まれていた。それも見どころのひとつになっている。自動車デザインの新しさと伝統を読み解く面白さを体現している。
歴代の「ロードスター」とコンセプトカー「アイコニックSP」のみと思い切ったマツダ
マツダの「アイコニックSP」も今回のショーの注目の1台だ。ブース正面には赤い初代ロードスターが置かれ、その後ろには大きなイラストが掲げられ、横には「だれもが、しあわせになる。」という、謎のポエムのようなものから始まり、何と、今回のマツダブースの展示は、歴代の「ロードスター」とこのコンセプトカーのみと思い切った出展内容となっている。
「アイコニックSP」は、ロータリーエンジン2基を発電用のレンジエクステンダーにしたEVスポーツカーのコンセプトだ。日産の5台とは対照的に、ボディーのすべてが曲線と曲面でまとめられている。
ほんの少しだけ開いてLEDを照射するリトラクタブルヘッドライトは、FD型「RX-7」へのオマージュだろう。全体的に柔らかく優しい印象を見る者に与えることに成功しているが、新しさには乏しい。斜め上方に跳ね上げられるドアはアストンマーティンだし、丸型のテールライトユニットは、かつてのアルファロメオやフェラーリなどのイタリアンンデザインなどを思い起こさせる。丸みを帯びた全体的なフォルムとプロポーションも1960年後半から70年代に掛けてのイタリアのスポーツカーを彷彿とさせる。
FD型「RX-7」も決して大きなサイズのクルマではなかったが「アイコニックSP」の全長はそれよりも100mmも短いそうだ。仕方のないことではあるが、多くの機能や装備などを盛り込みサイズが膨れ上がってしまっているクルマばかりの現代で小さなクルマを志向するすることへのチャレンジは大いに評価したい。
表現は懐古趣味的だが、鑑賞に耐え得る造形を追い求めたマツダの姿勢ならではの成果だろう。刺々しく刹那的な造形のコンセプトカーが多かった今回のショーの中で清々しさを放っていた。
レクサスのプレスブリーフィングでサイモン・ハンフリーズCBOは、EVの床が高くなってしまう宿命を解決するべく、コンセプトモデルの「LF-ZL」と「LF-ZC」の2台を「より小さく、より広く、もっとエモーショナルなデザイン、もっと広いスペースとフレキシビリティ、もっとドライバーに寄り添うクルマ」であると紹介した。
「LF-ZL」の前後のドアが開いた状態では、リアドアはスライド式のように見えた。コンセプトカーなので、リアドアのスライド機構がどんなものなのか窺い知ることはできなかったが、ボディーの小ささと車内の広さという相反する課題に触れていることは興味深かった。
「アルファード」や先日、発表されたレクサス「LM」のように、ミニバンがショーファーユースに使われる場合の代替え提案になるかもしれないことを「LF-ZC」は示している。
ミニバンは一見すると車内が広いように感じられるが、乗用車よりも高い着座位置によじ登って座らなければならず、揺れも大きいという宿命的な短所を内包している。ミニバンのショーファーユースに代わるものを目指しているのだったら引き続き注目していきたい。
スタートアップの出展には、すぐにでも生産できそうなクルマがあった。AIM(エイム)というメーカーは、春の「オートモビルカウンシル」に走行可能なEVスポーツカーのプロトタイプを出展して注目を集めていたが、今度は超小型EV「EV MICRO 01」を出展した。
屋根が開く超小型EVで、近距離の移動ならばこれで十分かもしれない。デザインはキュートで、中身のメカニズムさえ完成しているのならば、このまま発売できそうだ。
他にも多くの展示がなされていた。ほぼそのままの姿で発売されるであろうもの、既存のクルマのアップデイト版、純粋にコンセプトを問うもの、コンセプトやデザインなどに深みが感じられない予定調和的なもの、ただただ派手で、わかりやすい“近未来”を演じているものなど様々なことはこれまでのモーターショーと変わらない。それらの中にあって、ここに挙げたものはリアリティーの濃いものだ。製品化までの遠近ではなく、来場者に問い掛けてくるものの濃淡が結局は見応えに通じていた。
開催期間は11月5日(日)まで。気になる方はぜひ東京ビッグサイトまで足を運んでみてほしい。
■関連情報
https://www.japan-mobility-show.com/
取材・文/金子浩久(モータージャーナリスト)
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