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【ニーズを満たすクロスオーバー】新型 ヒュンダイ・バイヨンへ試乗 1.0マイルドHV

掲載 更新 14
【ニーズを満たすクロスオーバー】新型 ヒュンダイ・バイヨンへ試乗 1.0マイルドHV

売れ筋のコンパクト・クロスオーバーに追加

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】多彩なコンパクト・クロスオーバー ヒュンダイ・バイヨンの欧州でのライバル 全141枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


日本と同様に欧州市場でも、コンパクト・クロスオーバーは今の自動車産業にとっての新しい鉱脈だ。大手の自動車メーカーは、複数モデルをラインナップする必要性に気付いたらしい。

工場から次々と完成車がラインオフするコンベアは1本だけでなく、2本あれば尚のこと良い。もっとも、AUTOCARの読者のような典型的なクルマ好きにとって、クロスオーバーの種類が増えると聞いても、さほどうれしくは感じないかもしれないが。

手頃な価格で広々とした車内を持ち、実用性に勝り快適。運転しやすく大きすぎない。そんなファミリーカーを探す場合、現実はコンパクト・クロスオーバーが1番車種の充実したクラスとなっている。

ヒュンダイ・バイヨンも、そんな要望に応えるためのニューモデル。ヒュンダイはコナというクロスオーバーを欧州で以前から販売しているが、こちらはもう少し実用性に振ったモデルといえる。

既存のコナより全長はわずかに短く、全高も全幅も小さい。しかし、車内空間はわずかに大きい。ベースとするのは、ヒュンダイ最新の小型モデル向けK2プラットフォームだ。

コナの場合、身長の高い大人が乗ると若干窮屈に感じられるが、バイヨンならより快適に移動できる。荷室容量も10%大きい。

ボディのデザインは、コナや新しいツーソンよりも保守的。翼を広げたようなフロントグリルは採用していない。

先進的な車載技術と運転支援システム

フロントフェイスは、ヘッドライトではなく独立した切れ長のデイタイム・ヘッドライトが目のようなポジションを取る。数年前にシトロエンも採用したスタイルで、ほかのモデルとは一味違った表情に仕上がっている。

スタイリング全体は、三角形が多用されたようなシャープなラインが交錯し、少しにぎやか。筆者はハンサムには感じないが、しっかりした主張はある。艶の深いブラックのルーフやピラー、テールゲート周りの処理も、見た目の印象を強めている。

クロスオーバーとしての実用性だけでなく、バイヨンが売りとする1つが、先進的な車載技術や運転支援システム。エントリーグレードでも、8.0インチのインフォテインメント用タッチモニターが備わる。

試乗車はミドルグレードで、10.3インチのインフォテインメント・モニターがダッシュボードに用意されていた。ワイワレスでアップル・カープレイに対応し、無線充電機能も付いている。

ヒュンダイが提供するコネクティビティ機能、ブルーリンクも標準で利用可能。ナビのライブ・ルーティング機能や駐車場情報、スマートフォンのアプリを介したリモート機能にも対応する。

運転支援システムも、最新の車線維持アシストにドライバー・モニタリングのほか、歩行者や自転車にも反応する衝突被害軽減ブレーキなどが搭載される。もし複数の警告で安全運転を助けてくれるクルマを探しているなら、不足は感じないと思う。

快適性と上質さ、運転のしやすさ

エンジンのラインナップは限定的。英国では、1.0LのT-GDIと呼ばれるガソリンターボの1択。電圧48Vのマイルド・ハイブリッドで、最高出力は100psと119psの2段階が用意される。トランスミッションは、6速MTか7速デュアルクラッチATが組める。

最も安価なグレード設定なら、英国では同等グレードのヴォグゾール(オペル)・クロスランドよりわずかに安い。だが、シトロエンやルノーの方が価格価値では上。バイヨンも装備内容を充実させると競争力が出てくる。

試乗車のインテリアは、やや単調さを感じるグレーで統一されていた。全体的な素材は光沢の強い硬い樹脂が中心で、触覚的な印象はイマイチ。ダッシュボード中央には水平に複数のリブが入り、ホコリは溜まりやすそうだが、視覚的には悪くなかった。

フロントシートは快適。モニター式のメーターパネルは、表示がシャープでクリア。小物入れが充実し、インフォテインメント・システムのインターフェイスもわかりやすい。全体の組み立て品質はガッシリ感があり、頑丈そうではある。

バイヨンを走らせてみる。動的特性として優先されているのは、快適性と上質さ、運転のしやすさ。かなり良い水準でまとめられている。

エンジンやサスペンションの動きは、車内から距離が置かれた印象で、ノイズも小さい。高負荷時に回すとエンジンからは荒っぽい音が響いてくるが、中回転域では活発にバイヨンを動かせるだけのトルクが得られる。

燃費は、実際の利用環境で17.7km/Lくらいだろう。CO2排出量は121g/kmだ。

クルマへのニーズは充分に満たせる

乗り心地はソフトというほどではなく、むしろ市街地の速度では硬さを感じる。そのかわり、一貫した姿勢制御に仕立てられ安心感は高い。

グリップレベルは、クロスオーバーとして妥当。少し早めにコーナーへ侵入すると、フロント内側のタイヤが穏やかに滑りスキール音を立てる。

エンジンとステアリングは、もう少し煮詰める余地がありそうだ。アクセルレスポンスは踏み始めで鈍さを感じ、パワーデリバリーは線形的ではなく、フラットスポットがある。

ステアリングはセルフセンタリング傾向が強く、低い速度域では直感性でやや劣る。しかし多くの競合モデルとは異なり、アシストが強すぎたり、軽すぎたりということはない。

ニューモデルのヒュンダイ・バイヨンは、手頃な価格で実用的で、充分に良く走るコンパクト・ファミリーカーだといえる。強く心を奪われたり、多くの視線を集めることはないかもしれないが、クルマへのニーズは充分に満たしてくれる。

混雑した駐車場では、少し発見しにくいかもしれない。だがその控えめさも、多くのユーザーにとっては悪い特徴とはいえないと思う。

ヒュンダイ・バイヨン 1.0 T-GDI 120プレミアム(英国仕様)のスペック

英国価格:2万3245ポンド(357万円/試乗車)
全長:4180mm
全幅:1775mm
全高:1490mm
最高速度:185km/h
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:18.2-19.2km/L
CO2排出量:121g/km
車両重量:1120kg
パワートレイン:直列3気筒998ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:119ps
最大トルク:17.5kg-m
ギアボックス:6速マニュアル

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