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改良されたマツダ「ロードスター RF」試乗 高回転チューンされ切れ味が増したエンジン

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改良されたマツダ「ロードスター RF」試乗 高回転チューンされ切れ味が増したエンジン


マツダ ロードスターが2回目の改良を受け、2018年7月26日から発売された。今回の改良ではドライバー支援システム「「i-ACTIVSENSE」の機能が拡張され、政府が定める「サポカーS・ワイド」に適合することになったが、それ以外にロードスター RFが搭載する2.0Lエンジンが大幅に改良されている。パフォーマンスがどれだけ向上したのか、試乗してみた。

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大幅に改良されたエンジン

ロードスター RFに搭載されているスカイアクティブ-G 2.0がどのように改良されたのか調べてみよう。従来のロードスター RFの2.0Lエンジンは、他モデルにも搭載する一連のスカイアクティブ-Gシリーズと共通のエンジンだが、ロードスター RF用のみはハイオクタンガソリンの指定で、パワーもレギュラーガソリン仕様が156ps/199Nmに対し、158ps/200Nmとやや高出力になっていた。

しかしエンジンの作りはシリーズ共通で、実用的な標準エンジンといえるものだが、今回はスポーツカー用によりふさわしいスポーツ性を高めたエンジンに生まれ変わっている。また同時に、環境性能では新ユーロ6規制にも適合できるように進化した。

そのため、スポーツカー用のエンジンとして高回転化、レスポンスの向上を目指し、シリンダーヘッドからエンジンの内部部品まで新設計されている。シリンダーヘッドでは、吸気ポートが従来の1気筒あたり2本の独立ポート式から、より吸気面積の大きなシングル集合タイプに変更。またこれに合わせてスロットルバルブ径も拡大され、吸気流量を増大させているのだ。

ただし、吸気ポートの面積を拡大すると高負荷、高回転での出力がアップする高回転型となるが、低負荷、低中回転域には吸気流の流速が遅くなり、エンジンの燃焼状態が悪化する。そのため、新しいエンジンでは、吸気のタンブル流を大幅に強化している点がポイントだ。

まず吸気ポートの燃焼室入り口部に突起を設け、吸気流を剥離させて流速を高め、同時に凸型ピストンの突起高さを低めることで、燃焼室内でのタンブル流を強め、低負荷、低中回転域での燃焼速度を高めている。それに加え、燃料噴射圧を高め、従来の2段噴射から3段噴射にし、噴霧の均一化と点火プラグ周りの混合比を濃くし着火性を改良している。

高回転化のために

次は高回転化だ。従来のエンジンが最高許容回転数が6800rpmで、6000rpmあたりで頭打ちになる特性だった。が、スポーツカー用のエンジンらしく高回転域での伸びのよさを実現するため、エンジンの高回転化も大きなテーマになっている。とはいえ、このPE-VPR型のボア・ストロークは83.5mm×91.2mmという超ロングストローク・タイプのため高回転化のハードルは結構高いのだ。超ロングストロークのため、目標とする上限回転数の7500rpmではピストン速度が限界に達してしまう。


そのため、摩擦抵抗、慣性重量を減らすために、ピストンの超薄肉化、ショートスカート化、さらにコンロッドボルトの軽量化、クランクシャフトのカウンターウェイトのバランス性能の改良などを行なっている。ピストンは1個あたり27g、コンロッドボルトは1本あたり41gの軽量化がされているという。

またMT用はフライホイールの軽量化もはかられた。ただし軽量化によりギヤノイズの低減を両立させるため、軽量なデュアルマス・フライホイールを導入している。

このように2.0Lエンジンはロードスター RF専用のスペシャルチューニングが行なわれ、バルブリフト量の増大、バルブタイミングの高回転対応などで184ps/205Nmとなり、従来より26ps/5Nmほど出力の向上を果たしている。

一方で、実はロードスター用の1.5Lエンジンも改良を受けている。こちらはスポーツカー用のチューニングということではなく、WLTC燃費モード対応、ガソリン粒子規制対応を行ない、燃圧のアップと微粒化インジェクターの採用、低張力ピストンリングなどを新採用し、燃焼を改善し、従来型より1ps/2Nmとわずかだが出力アップしている。

実感できるエンジン・レスポンスの向上

試乗したロードスター RFはマシーングレープレミアムメタリックの6速MTのRSグレードで、オプションの赤色塗装のブレンボ製4ピストン・ブレーキが装着されていた。オプションを含めた価格は412万円で、1.5Lのロードスターがライトウエイト・スポーツカーとすれば、このRFモデルはエンジン排気量、価格帯からいってミドルクラスのスポーツカーのカテゴリーに入ると思う。

改良されたロードスター RFは、ステアリングの調整にテレスコピック機構が追加され、従来より、ドライビングポジションの微調整が可能となり、これは地味ながらスポーツカーにとっては大きな改良点だ。

シートの座り心地も腰椎・骨盤の支持がしっかりしていて快適だ。ただ、欲を言えばシート座面、シートバックのサイドサポートをもう少し強めたほうがスポーツカーらしいと思う。

走り出すとエンジンの吹け上がりフィールが従来型とかなり違うことにすぐに気付く。これまでは低中速トルク型で吹け上がりも、回転下がりも重々しいフィーリングだったが、新型は軽快なエンジンフィーリングになっている。

このフィーリングは市街地の走行より、峠道でシフトチェンジを繰り返しながら走るといったシーンで、よりエンジンの切れ味が良くなったと強く感じられるだろう。

また今回、排気系のサイレンサーの構造を改良し、拡張室の拡大をしてグラスウールを充填しつつ、排気サウンドのチューニングも行なわれている。しかし、従来型との比較では確かに軽快な排気サウンドになっているが期待したほどではなかった。最近のスポーツ系のクルマの排気サウンドチューニングは相当に高度化しており、次のステップとしては、よりドライバーに訴えるサウンド作りが求められると感じた。

こうしたスポーツカーは、絶対的な性能値よりドライバーの心を陶酔させる高揚感やエモーショナルなフィーリング、そして所有する満足感がどれほど濃密かが常に問われる。こうした要求に答えるためには、細部の作り込みやこだわりのある追求、そして絶え間のない改良が必要なのはいうまでもない。今回はエンジンがリファインされ一段のステップアップを果たしたが、もちろんこれで終わりではない。
<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>

ロードスター RF 諸元表

【メーカ希望小売価格(消費税込)】

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