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放り出された「三ない運動」は都道府県ごとで対応に差【二輪車利用環境改善を考える】

二輪車利用環境改善部会レポート#02

バイクの利用環境には課題が多い。今回は、じつはもう終わっているはずの「三ない運動」が今も高校生に制約を加え続けている問題についてお伝えしていこう。

原付一種が売れないのは停められなくなったから【二輪車利用環境改善を考える】

●文:田中淳磨(輪

三ない運動もないけど、交通安全教育もない!?

【概 要】三ない運動とは、高校生に対してバイクの「免許を取らせない」、バイクを「買わせない」、バイクを「運転させない」というもので、1982年の全国高等学校PTA連合会で決議され、2012年まで全国的な運動として続けられていたものだ。PTAという保護者による組織で始まったものが、その学校の校則を変え、「見つけたら停学だぞ」としっかり生徒手帳に書いてあったことを覚えている方も多いだろう。

―― 〈図1〉交通安全教育実施上の課題(複数回答 n=256)

【現 状】では、2012年以降にどうなったかと言えば、三ない運動は放り出された形となった。2012年の全国高等学校PTA連合会で示された方針では、自転車や歩行者の立場も含めたマナーアップ運動に転換していくことが明記されていたが、やっぱりこれは難しかった。なぜなら、運動を始めたのはPTAだが、その後の安全教育は教育現場に丸投げされてしまったからだ。(図1)の調査結果を見ると、現場の先生らに交通安全教育までまかせてしまうのはとても難しいことがわかる。

そして、47都道府県の教育委員会がどういう方針を示したかと言うと、(表1)のような状況にある。「特に方針・制限はない」が多数派だが、ここに属する学校の全てで三ない運動が終わったわけではなく、ましてや学校現場で二輪車を考慮した安全講習が実施されているわけでもない。この回答に属する東京都の担当者からも「現状について把握できていない(する必要がない)」というコメントが帰ってくるくらいだ。 

―― 〈表1〉高校生の原付免許取得についての各教育委員会の指導方針(2016年自工会調査)

【課 題】そうなると何が問題かというと「三ない運動はないけど交通安全教育もない」という状況が蔓延しているということ。「一定の条件付きで許可」に属する自治体では、群馬県や埼玉県のように県をあげて安全講習が行われていることが多いから、むしろ安全の担保が考えられている。

そしてもうひとつ、とても大きな課題がある。それは「三ない運動が終わったということが認知されていない」ということ。(図2)の調査結果にあるように、驚くほど知られていない。これがどういう問題を引き起こしているのか?

―― 〈図2〉三ない運動の方向転換認知

我が国は人口減少や少子高齢化に直面するなかで高校の廃校や統廃合、公共交通の衰退が進み、通学の時間や距離、費用、保護者による送迎などの負担が増えている。つまり、そうした問題を抱える地域の高校生は、若くして「移動制約者」となってしまっているのだ。こうした社会課題が認識されていないこと。これが最も大きな課題と言えるだろう。

―― 写真は埼玉県マナーアップ講習(2017年07月)

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