F1アメリカGPの決勝レースで、アルファタウリの角田裕毅が8位入賞を果たした。そのレースペースを見ると、非常に優れたペースで周回を重ねたこと、そしてチームの判断も優れていたことがわかる。
角田は11番グリッドからレースをスタート。スタート直後に周冠宇(アルファロメオ)に先行を許したがすぐにポジションを取り戻し、前を走っていたエステバン・オコン(アルピーヌ)とオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がリタイアしたことで、9番手に浮上。しかし、アストンマーチン勢に抜かれてまた11番手に戻ってしまった。
■え、トラブル!? 角田裕毅、F1アメリカGP決勝で殊勝のファステストラップ記録も追加ピット指示に「正直ドキッとした」
これで入賞は夢と終わったかに思われたが、アストンマーチンの1台であるフェルナンド・アロンソがフロアにダメージを負ったことによりリタイアしたことで10番手に復帰。そのままチェッカーを受けたが、レース後にルイス・ハミルトン(メルセデス)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)が規定違反により失格になったことで、角田は8位を手にすることになった。しかも残り2周というところでピットインし、新品のソフトタイヤを履いてファステストラップを記録……このボーナスポイントも合わせて合計5ポイントを獲得した。
角田のレースペースを見てみると……
角田のペースはレース中、実に安定していた。それが下のグラフをご覧いただくとよく分かる。
レース中は今回好調だったアルピーヌのピエール・ガスリーと遜色ないペースで走行。角田は残り2周というところでピットストップした時点でガスリーとは8秒の差だったが、これはほんの少しの差の積み重ねによるものだったと言えるだろう。
なおレース終盤に角田はアストンマーチンの2台に抜かれたが、決勝レースに限って言えば、 アストンマーチンは別次元にいたと言える。予選からこのパフォーマンスを発揮し、しかもピットレーンスタートではなかったならば、ランド・ノリス(マクラーレン)やカルロス・サインツJr.(フェラーリ)を上回り、2位表彰台を手にしてもおかしくないパフォーマンスだった。
角田のペースは優れていたとはいえ、アストンマーチンとは大きな差があったため、先行されたのは仕方ないところだろう。
それ以上に特筆したいのは、1回目のピットストップのタイミングである。
9周目、角田の約3秒後方を走っていた周がピットイン。その翌周にはさらに後方にいたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)、ケビン・マグヌッセン(ハース)が、さらにその翌周にはローガン・サージェント(ウイリアムズ)がピットに入った。
しかしアルファタウリは、角田をピットに呼び込むことはせず、ステイアウトさせる。この判断が大正解だった。
本来ならばすぐ後ろにいるマシンがピットインすると、アンダーカットされるのを恐れ、反応してすぐにピットインするものだ。しかしアルファタウリは反応することなく、角田を17周目まで走らせた。
周はタイヤ交換をした直後こそハイペースで飛ばしたが、すぐにペースは下落。まだタイヤを換えていない角田とあまり変わらないペースとなった。その結果、角田は17周でピットストップしてコースに戻った時でも、周の前のポジションを維持することができた。
なお周ら10周前後で最初のピットストップを行なったドライバーは、残り1ストップで走り切るためには、残り2スティントをそれぞれかなり長く走らなければならないことになった。一方で角田は最初のスティントで17周を走ったことで、戦略面に余裕が生まれた。そのため、第2スティントで履いたハードタイヤで苦労したと判断するやそのスティントを早めに切り上げ、2度目のピットストップを行なってミディアムタイヤに履き替えた。そしてペースを取り戻し、後続との差を広げることができたのだ。
これが最後のファステストラップ記録にも繋がった。
角田が残り2周というところでピットストップする直前、すぐ後ろにいたアルボンとは21秒の差があった。今回のレースでは、ピットストップでのロスタイムは19秒程度だった。つまりピットストップしても、ポジションを失うことなくコースに戻れる(フリーストップできる)計算だった。
アルボンに対してこの差を築けたのも、最初のピットストップのタイミングが効いている。
アルボンは前述の通り10周を走ったところでピットストップを行ない、ミディアムからハードへと履き替えた。しかしこのハードでのペースが上がらず、後にピットストップした角田とのペース差は、1周あたり1秒以上……ここで差を広げることができた。
アルボンは29周目にハードを諦め、残り27周をミディアムタイヤで走り切ろうとした。しかし終盤はさすがにペースが落ちてしまい、再び角田とのペース差が広がりギャップも拡大……角田にフリーストップするチャンスが生まれた。
もし角田が周やアルボンと同じタイミングで1回目のピットストップを行なっていたら、ファステストラップを狙うチャンスは訪れなかっただろう。
角田のレースペース、タイヤマネジメント、そしてファステストラップを記録した集中力は、素晴らしいものだった。しかし最初のピットストップを他チームに引きずられなかったチームの決断力は、秀逸だったと言えるだろう。
この数戦、戦略的に不可解なところが多いように見え、批判の的になっていたアルファタウリ。しかし今回の戦略は完璧だったように思える。
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