日本経済新聞が「中国政府はハイブリッド車も『新エネルギー車』に含める方針を打ち出す」というスクープを報じました。事実なら、自動車メーカーの中国戦略は大きく変わります。
日本の自動車メーカーは、今後どのような戦略をとることを迫られるのでしょうか。
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中国の新政策はトヨタに追い風となるか(写真はトヨタが中国で発表した『レビン』) 報道された中国の方針転換が実現すると、ハイブリッド技術を積極的に公開することを表明していたトヨタにとっては圧倒的優位です。
一方、電気自動車やハイブリッド車を積極的に導入してこなかったマツダなどの企業からすれば、強い向かい風となり、トヨタからハイブリッドを買って中国向けのクルマを作るしかありません。
報道内容を詳しく紹介します。前述のとおり、中国は排気ガスのクリーン度向上と二酸化炭素の排出量を削減するために、「新エネルギー車」と呼ばれる電気自動車やPHV、燃料電池車の販売比率を設定しました。
2019年の場合、トヨタであれば10%(実際の販売台数ではなく、クレジットと呼ばれる係数)を達成しなければなりません。
もっとも簡単な方法は電気自動車を10%売ること。だからこそ、多くの自動車メーカーが中国で電気自動車を売るべく開発をすすめています。中国政府からすれば、電気自動車の開発で世界のトップに立とうということなのでしょう。
電気自動車を普及させるため、多額の補助金を付けてきました。その結果、いまや中国は電気自動車で世界の先端に立っています。
一方、販売台数が増えると補助金の予算も巨額になりますし、車両価格の高騰によりお金持ちしか買えなくなってしまいます。充電インフラや、リチウムイオン電池の生産だって追いつかない。冷静に考えれば時期尚早だったと思います。
とはいえ環境対策は待ったなし。そこに出てきたのが、「ハイブリッド技術を無償供与します」というトヨタです。
トヨタのハイブリッド車はガソリンの消費量が半分ほど。排気ガスも都市部の大気よりクリーンです。スモッグなど含む大気を吸入し、クリーンな排気ガスを出すのですから、むしろ走れば走るほど環境浄化になります。電気自動車は大気を汚さないが浄化もしません。
そういった技術が無償で使えるなら、願ったり叶ったりだと中国政府は判断したのでしょう。
トヨタ以外の国内メーカーはどう対応するのか トヨタの役員に中国との関係を聞いてみたところ、次のようにいいます。
トヨタをはじめとする各自動車メーカーの対応とは「2018年5月に、中国の李克強首相が弊社の北海道工場を視察された際、豊田(豊田章男社長)とかなり長い時間話をしていました。お互いににこやかだったのが印象に残っています。このときからいろいろ動き始めたかもしれません」
ハイブリッド技術無償供与への動きは、2018年5月から動き出したといわれています。
一定の燃費基準を満たすハイブリッド車を新エネルギー車として認めるなら、関係者から「実現は難しい」といわれていた中国の新エネルギー車政策も実現可能になり、メンツを保てます。大気汚染対策だって申し分ない。
中国政府からすれば、ハイブリッド技術を世界に輸出できる可能性まで出てくるから文句なし。日経新聞のスクープ、正しいと思います。
ここで問題になってくるのが、ハイブリッド技術を持っていないメーカーです。
トヨタは盤石。ホンダと日産も、ハイブリッド車の中国生産を決めればクリア可能。厳しいのは、ハイブリッド技術を積極的に導入せず、ピストンエンジンに拘ってきたマツダです。
ここにきて中国市場の規模を縮小。このままでは撤退する方向に見えるスズキと三菱のようになってしまうかもしれません。
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