BMW Motorradが2020年秋に発表された新型G310シリーズが、2021年6月より日本国内でデリバリー開始となります。
ユニークな後方排気レイアウトの313cc DOHC4バルブ水冷単気筒をスチールチューブラーフレームに搭載したG310シリーズは、2016年にデビュー。
現在はBMWでは「ロードスター」のカテゴリーに入るネイキッドモデルのG310Rと、アドベンチャーモデルのG310GSをラインナップしています。
【画像24点】価格も国産車と同クラス!BMW G310Rの進化ポイントを従来型と比較
アンダー400ccのロードスポーツは、日本のメーカーはもちろん海外のメーカーも現在力を入れているセグメントです。G310RもBMW Motorradにとっては未来の自社ブランドユーザーを育てるためにはとても大切なモデル──当記事ではそんな新型G310Rについて解説します。
新型BMW G310のデザイン「LEDでアグレッシブになったヘッドライト周り」
G310Rは、BMW Motorradのラインナップの中では、S1000RやR1250R、F900Rなどと同じ「ロードスター」と呼ばれるセグメントに属するモデルです。BMWのいうロードスターとはネイキッドスタイルのロードスポーツモデルを意味し、数字の後ろに「R」の呼称がつきます。
これらのモデルはS/R/F/Gなど、それぞれのエンジン&車体のパッケージングの中でデザインコンセプトを共通化しているのです。
2021年型G310Rではデザインが大きく刷新されており、タンクカバーやヘッドライト周りなど、デザインのキーポイントとなる外装パーツを一新しています。
LEDヘッドライトとLEDウインカーを採用
このG310Rも、ロードスターセグメントのハイエンドモデルに位置付けられる最新型S1000Rのイメージを巧みに盛り込んでいます。中でもハイライトとなるアップデートのひとつがLED式ヘッドライトの採用です。
BMWは、4輪でいち早くLEDヘッドライトを採用するなど、ライトテクノロジーの分野でも業界をリードする存在。
新型G310Rの登場によって、BMW Motorradの現行モデルすべてにLEDヘッドライトが搭載されたことになります。また、合わせて新採用となったLED式ウインカーとのコンビネーションによって、フロント周りはより精悍な印象へと変化を遂げました。
このアップデートに伴ってヘッドライトハウジングやメーターバイザーのデザインもより洗練された印象に。
タンクやサイドカウルのデザインもシャープに
燃料タンク周辺の大きなボディパーツも大幅にデザインが改められています。G310Rでは、鉄製の燃料タンクを覆うように樹脂製のタンクカバーをかぶせる構造をとっていますが、新型G310Rでは、タンクカバーとその下部の形状が完全に新規デザインとなり、よりシャープなデザインへと生まれ変わりました。
新型BMW G310のエンジン「電子制御スロットルを搭載」
2016年の初代G310Rが登場してから5年。新型G310Rのエンジンにもアップデートが行われました。
最高出力34馬力、最大トルク2.8kgmという数値自体はは従来型と変わりませんが、発生回転数がそれぞれ250rpm下がっています(最高出力発生回転数は従来型9500rpm→新型9250rpm、最大トルク発生回転数は従来型7500rpm→新型7250rpm)。
スロットルは旧来の機械式ワイヤーから電子制御スロットル「フライ・バイ・ワイヤ」へと進化しました。
機械式ワイヤーを使用するスロットルでは、ケーブルの遊びやケーブルのコンディションによって、右手の動きと実際のスロットルボディの動きにラグが生じる場合がありますが、電子制御スロットルはスロットル操作を電気信号に変えてECUへと伝達する仕組み。ライダーの操作に対してよりリニアにエンジンが応えてくれる乗り味へと変化しています。
加えてスロットル操作も大幅に軽くなるので、長距離走行をする際にも大きなメリットと言えるでしょう。
不意のエンストを防ぐ「オートマチック・アイドル・コントロール」を装備
新型G310Rには新たに「オートマチック・アイドル・コントロール」が装備されました。これは、発進時など極低速域において不意のエンストを防ぐためにアイドリング回転数を自動で調整する機能です。
排気量313ccのG310Rは普通自動二輪免許で乗れるモデルですから、この機能は初めてモーターサイクルに接するようなビギナーへの配慮とも言えます。しかし、発進と停止を強いられるような渋滞路ではベテランライダーもその恩恵を享受できるはずです。
このほか、自己倍力機構によるアンチ・ホッピングクラッチも装備しており、シフトダウン時の強力なエンジンブレーキを軽減する機能も盛り込まれています。単気筒エンジンのエンジンブレーキはそれなりに強力で、状況によっては車体のコントロールを失う危険性もあります。ですから、こうした機能は多くのライダーにとってありがたい装備ですね。
クラッチ&ブレーキレバーに調整機能が追加
新型G310Rではクラッチレバーとブレーキレバーに4段階の調整機能が追加されました。国産車モデルではもはや当たり前の装備ですが、こうしたユーティリティが充実したことは素直に嬉しいものです。
2021年型BMW G310R主要諸元
ここからは2021年型G310Rの主なスペックについて解説します。
初代モデルが登場したのは2016年で、モデルチェンジが施されたのは今回が初となります。
車エンジン同様に車体や足まわりも基本的に従来型からの継承で、サスペンションはインナーチューブ径41mmの倒立フォーク&リンクレスモノショックという組み合わせ。フロント140mm、リヤ131mmというサスペンションストロークも従来型と同様です。
ブレーキはフロント300mmシングルディスク+4ピストンラジアルマウントキャリパ、リヤ240mmシングルディスク+シングルピストンフローティングキャリパーで、ABSを標準装備。
車体色は3色のラインアップで、日本仕様はETC2.0が標準装備となります。
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:80.0mm×62.1mm 総排気量:313cc 最高出力:25kW<34ps>/9250rpm 最大トルク:28Nm<2.8kgm>/7250rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2025 全幅:820(ミラー除く) 全高:1120(ミラー除く) ホイールベース:1380 シート高785(各mm) タイヤサイズ:F110/70R17 R150/60R17 車両重量:164kg 燃料タンク容量:11L
[車体色]
ポーラー・ホワイト、コスミックブラック、ライムストーンメタリック×スタイル・スポーツ
[価格]
63万7000円(ライムストーンメタリック×スタイル・スポーツは65万円)
新型BMW G310Rの仮想ライバル車は?
ではBMW G310Rのライバル車はどんなモデルになるでしょうか。
モデルの特性、排気量、価格を含めて検討すると、以下の4車が候補に挙がると思います。
■ヤマハ MT-03(62万1500円)
水冷並列2気筒エンジンを搭載するヤマハ MT-03。
251cc超で車検の必要なモデルながら、排気量は320ccであえて「400ccフルスケール」としていない点や、同シリーズの大排気量モデル直系のデザインなど、BMW G310Rとは共通項が非常に多いモデルです。
MT-03もヘッドライトやテールライト、ウインカーはフルLEDでABSも装備するなどG310Rとほぼ同様のパッケージングで、メーターも2車ともモノクロ液晶。購入時に迷うとしたら「単気筒エンジンか、2気筒エンジンか?」「日本車か外車か?」という点になるでしょう。
最高出力は2気筒エンジンのMT-03の方が8馬力ほど上回ってはいるものの、車重ではG310Rが約5kg軽く仕上がっています。
では、購入後に様々なカスタムを楽しみたいと考えている人にとってはどちらがいいでしょうか?
両車とも従来モデルのアフターパーツの市況を見る限り、カスタムする点ではMT-03に軍配が上がりそうです。
■カワサキ Z400(価格68万2000円)
カワサキ Z400はBMW G310Rやヤマハ MT-03とは異なり、排気量は398ccの水冷並列2気筒。となるとエンジンパフォーマンスでは圧倒的な差が目についてしまいますね。
それに加え、166kgの車重、G310RやMT-03よりは値段は上がりますが70万円を切る価格帯など、Z400はかなり「攻めた」モデルであることがわかります。
またLEDヘッドライトやインナーチューブ径41mmの倒立フロントフォークなど、装備面でも前述の2モデルと見劣りする部分はありません。
G310RやMT-03と比較するとヘッドライトまわりなどのデザインに多少古臭さを感じてしまいますが、上位機種のZシリーズに共通するカワサキ独特の「Sugomiデザインをコンパクトなボディの中でしっかりと表現しているのも市場での人気を後押ししていると言えるでしょう。
カスタム面については、MT-03同様に日本車という「地の利」がある分、国内パーツブランドから多くの製品がラインナップされていると言えます。
■KTM 390デューク(価格69万9000円)
KTMのロードスポーツモデルのイメージを長らく牽引してきたストリートファイター、DUKE(デューク)。
アヴァンギャルドなデザインとハイパフォーマンスを売りにするデュークシリーズには、普通自動二輪免許で楽しめる390/250/125がラインナップされています。BMW G310Rの直接的なライバルとなるのはやはり390デュークです。
価格はG310Rより上がってしまいますが、排気量は日本の普通二輪免許枠の上限に近いだけあって、単気筒ながら44psとパワフル。
さらにLEDヘッドライトをはじめとするフルLEDの灯火類や、カラー液晶メーター、オプションでモード切り替えやクイックシフターも用意しているなど、装備の面でもスポーツバイクとしての完成度を高めています。
また、カスタムする際にも純正アクセサリーをはじめ、パフォーマンスパーツを中心にアフターパーツも豊富です。
ただKiska Design(キスカデザイン)によるスタイリングは、見方によっては癖が強く、そこは好みが別れるところかもしれません。
またシート高も830mmと高めなので、小柄な人は店頭で足着きをしっかりチェックした方が良さそうです。
■ハスクバーナ ヴィットピレン401(73万9000円)
現在KTM傘下のブランドとなっているハスクバーナ。そのため、このヴィットピレン401はKTM 390デュークとエンジンやフレーム、サスペンションなど基本構成を共有したモデルで、エンジンのスペックは390デューク同様です。
価格はG310Rより約10万円上がってしまいますが、最大の特徴は、唯一無二の近未来的なデザインでしょう。Kiska Designが手がけたデザインは、KTMとも一線を画す斬新なもので、そこに惹かれるオーナーも数多いのです。
装備面も390デューク同様にWP製サスペンションやスリッパークラッチなどスポーティなものが与えられていますが、ここまで挙げた車両の中で唯一スポークホイールを採用しているのも特徴です。
ただ、ヴィットピレン401のようにここまで完成されたデザインだと、カスタムをする際には少しやりづらさを感じるライダーもいるかもしれませんね。
ライバル車との比較をしてみると、改めてG310Rのキャラクターもより明確になりました。
絶対的なパワーでは2気筒モデルには敵わないものの、車体の軽さと従来型から定評のある元気の良い単気筒エンジンのキャラクターは、国産2気筒勢とはまた違う魅力を備えていると言えます。
一方、海外勢はG310R同様に単気筒エンジンですが「シングルスポーツモデル」を各メーカーどういう味付けで仕上げているのか、比較試乗してみると面白いと思います。
もちろん、BMW Motorradというプレミアムブランドを手にする喜びもまた、G310Rの大きな魅力であることも忘れてはいけません。
レポート●土山 亮 写真●BMW/ヤマハ/スズキ/KTM 編集●上野茂岐
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バイクって車以上にもうデザインがないよね。