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【ジープ/フィアットで攻めの経営】ステランティス日本法人代表 販売台数2倍にした凄腕とは?

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【ジープ/フィアットで攻めの経営】ステランティス日本法人代表 販売台数2倍にした凄腕とは?

新生ステランティスの日本の代表

text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)

【画像】次々に新型導入【人気のジープ・ブランド 日本で買える全モデル紹介】 全234枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

グループPSAとFCAの統合により、日本にある2つの子会社も将来的に統合が予定されている。

その統合への第1歩として、2021年7月1日よりポンタス・ヘグストロム氏が、グループPSAジャパンとFCAジャパンという2社の代表取締役を兼任することが発表されている。

日本におけるステランティスの代表となるわけだ。

その、ポンタス・ヘグストロム氏は、珍しい名称でもわかるようにスウェーデン出身だ。

サーブやボルボ、GMなど、ほぼ30年にわたって自動車産業に携わっており、日本においても20年以上のマネジメント歴を有する。

2008年にフィアットオートモーティブジャパン株式会社の代表取締役社長に就任し、2012年のFCAジャパン設立と同時に同社の代表となっている。

現在の輸入自動車メーカーのCEOとしては、ヘグストロム氏の20年以上の経歴は最長となる。ちなみに氏の海外勤務経験は日本を含む8か国にもなるという。

フィアット/ジープの販売2倍以上に

そんなヘグストロム氏の日本における業績を振り返ると、その数字には驚くべきものがある。

まず、2008年に人気モデルとなるフィアット500を日本に導入。翌2009年にはアバルト・ブランドも日本へ導入した。

これにより、フィアットの販売台数は飛躍的に伸びたのだ。2000年代のフィアットの年間販売台数は、ほぼ1500~2000台で推移していた。

しかし、2008年は3381台、2009年は4345台とし、その後は5000~7000台へとなっているのだ。

フィアット500という人気モデルの登場という幸運はあったが、それでもヘグストロム氏の就任以降、フィアットの販売は2倍以上となったのだ。

さらに販売成績を伸ばしたのがジープだ。

ジープがFCAの傘下になる以前の2011年の年間販売台数は3145台。輸入車ブランドとしては13位であった。

これでも、年間2000台前半で推移していた2000年代よりも、上向きになった数字だ。

それがFCAとなってからは毎年のように数字を伸ばし、2020年には1万3588台、ランキング9位という記録を残した。

コロナ禍という逆風の中でも、前年の2019年(1万3360台)を上回ったのは驚くばかり。また、2011年から約10年をかけて4倍以上にも販売台数を伸ばしていることは特筆すべき成長といえるだろう。

販売台数の伸び ディーラー網拡充が理由

驚異的なまでのジープの販売台数の伸び。

その理由はいくつもあるだろうが、大きいにはヘグストロム氏の元で進められたディーラー網の拡充だ。

ジープを販売するクライスラー/ジープのディーラー網は2013年の時点で日本に61店舗あった。

しかし、8年後の現在は80店舗にまで増やしている。

しかも、2016年からはディーラー店舗にCIを導入。順次、全国のディーラーを新CIに則ったスタイルでリニューアルしている。

2021年になってからも、ジープ盛岡、ジープ藤沢湘南、ジープ長崎をグランドオープン。ジープ三重をリニューアル・オープンさせている。こうした地道な努力が奏功したのだろう。

また、毎年のような新型車が日本に導入されたのも好調さの理由の1つだ。

振り返れば、ジープは、2013年の新型グランドチェロキー、2014年の新型チェロキー、2017年の新型コンパス、2018年の新型ラングラー、2020年のレネゲード4xeと、次々に新型車が登場している。

2019年こそ新型車はなかったけれど、それでもマイナーチェンジしたレネゲードを投入。さらに毎年、数多くの限定モデルを販売している。

運も実力のうち SUVブームが後押し

続々と新車が登場したことは、日本法人社長としての実力ではなく、「運がよかった」という側面もある。

実際に、過去10年ほど世界的にSUVはブームと呼べる状況で、世界中の自動車メーカーが新型 SUVを数多く投入している状況であった。

そうした流れに上手に乗ることができたのが手柄といえるだろう。

そうしたSUVブームとは逆の動きもある。

それが厳しくなる一方の燃費規制だ。燃費を向上させるには、トヨタのプリウスのようなハイブリッド化が欠かせない。

日本では、そうした燃費規制が厳しくなるほどに、ハイブリッド車の販売が伸びている。

そして、そうした燃費向上を最も苦手とするのが大型SUVである。

つまり、ジープにとって燃費規制は逆風となる。しかし、現実のところジープには、その影響は見受けられない。

その理由は、「まだまだジープがマニアックな存在である」というのも大きいだろう。

現状では、燃費規制を気にする人よりも、ジープの強い個性を好む人が多いということなのだろう。

もっと、ジープが売れていて、多数派になっていれば、燃費規制はマイナスに響いたのではないだろうか。そういう意味でも、小さな規模のうちに燃費規制の逆風が吹いたのもラッキーといえるだろう。

SUVブームに乗って続々と新型車が登場し、それを追いかけるかのように販売網を充実させた。新車と販売網という2つの相乗効果が4倍以上という成長の理由といえるだろう。

多彩なブランド武器に独1強に挑む

ペンタス・ヘグストロム氏が率いるステランティスは、他とは異なるユニークな特徴を持つ。

それが多様性だ。

アメリカのジープとクライスラー、イタリアのフィアットとアバルト、アルファロメオ、さらにフランスのプジョーとシトロエン、そしてDS。

しかも、近くオペルも追加される予定だ。アメリカ、イタリア、フランス、ドイツと4か国で9つものブランドを扱うことになる。

本来、輸入車というのは、メーカーや国ごとにある多様性を楽しむもの。

ところが近年の日本市場における輸入車といえば、ドイツが圧倒的な人気を誇っていた。そんな状況もステランティスの輝き次第では、変化することもあるだろう。新代表の辣腕に期待したい。

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