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VLNニュルブルクリンク耐久シリーズが開幕前のプレシーズンテストを無事終える

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VLNニュルブルクリンク耐久シリーズが開幕前のプレシーズンテストを無事終える

 新型コロナウイルスの影響をうけ、大幅に開幕が遅れているVLNニュルブルクリンク耐久シリーズだが、主催者、DMSBドイツモータースポーツ協会、ニュルブルクリンク、そして州市町村、国立ボン大学病院が結束し、何度も感染拡大及び安全策について協議、現地視察をしながら開催に向けて模索と努力を重ねた結果、6月15日に無事にプレシーズンテストが開催された。

 ニュルブルクリンクのグランプリコースとノルドシュライフェを組み合わせたコースで争われるVLNは、地元ドイツチームを中心に多くのチームが参戦しているが、この日はEUの27ヶ国で旅行制限が解除となり、空路・陸路を含め、一部の国を除いて自由に行き来ができるようになった記念日でもある。

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 しかし、平日の開催とあり、特にアマチュアチームやジェントルマンドライバーの参加者が少なく、集まったのは約70台と、ふだんのプレシーズンテストと比べると半分程の参加となったが、ひさびさに集まったニュル関係者たちは、互いの健康とエキゾーストノートに満面の笑みで喜びを分かち合った。

 参加者にはあらかじめ厳格な感染対策のガイドラインがオンラインで配布されており、各自熟読のうえ、自己責任をもって徹底した安全対策管理が行われたほか、平日とあり地元自治体からの視察員も訪れ、違反者が発見された場合にはその人物やチームにも州で制定された罰金が科されるとあり、個々の気のゆるみがチームや大会の存続危機となることから、チームミーティングでも十分に申し伝えられたという。

 また、先着順で1チーム1ピットが与えられ、それに漏れたチームはパドックに設置されたオープンピットを利用することになったが、参加台数が70台と少なかったため、大きな混乱は見られなかった。なお前日の設営日には雨が降ったが、テスト当日は曇りで雨は降らなかったものの、最高気温は20℃を下回り、肌寒い一日となっただけに、装着義務となっているマスク姿も大きな不快にはならなかったようだ。

 この公式テストの2週間後、6月27日に開幕戦が行われるということもあり、同じパドックとピットレイアウトで行われたテストだった。VLN VV GmbH&Co. KGのマネージングディレクター、クリスティアン・シュテファニは「とても有意義なテストだった。ドライバーとチームからはポジティブなフィードバックを受けた。多くのプロセスが本番のレース同様で、今シーズンの開幕戦はこのフォーマットで機能し、開催できるだろう」と述べている。

 テスト開催中の午後3時から約2時間、VLNオフィシャルサイトやYoutube、SNSを通じてテスト風景を無料ライブストリーミングを行い、ピットロードやコースの様子を放映した。通常なら放送ブース、ピット内やピットレーンで実況を行うレポーターも、この日はピットやパドックへの立ち入りが禁止とあり、グランドスタンドの客席からトークを繰り広げた。

 いったいいつまで“特別ルール”のなかでレースの開催を強いられるのかは、現時点ではまったく不明で、パドックやグランドスタント、ノルドシュライフェのギャラリーコーナー等、お気に入りの場所で観戦するのを楽しみにしていたファンにとってはもどかしい限りだが、オフィシャル、チーム、ドライバー、ファンが一丸となって協力し、新規感染者をなるべく出さないように心掛け、一日も早く通常どおりのVLNを楽しめるように努力をしようと映像を通じて呼びかけていた。

■日本勢の参戦見送りに残念がる声も
 2018~19年にVLNで連続チャンピオン獲得し、ゼッケンナンバー1をつけるBMW M4 GT4を駆るアドレナリンモータースポーツ代表のマティアス・ウンガーは「マスクの着用義務を果たしながらの作業は、メカニックたちにとっても初めての経験だったが、このコロナ禍の数週間の日常生活を経て、さまざまな感染拡大防止策や妥協点を学んだ。VLNのオフィシャルが、非常に多くのエネルギーを費やし、ふたたびレースを開催できるコンディションを整えてくれたことに深く感謝をしている」と喜びのコメントを残している。

 テストにはシュニッツァー、ローヴェ、ワーケンホルスト、ファルケン、そして地元ニュルに本拠地を構えるブラックファルコン、マンタイ、フェニックス等も参加し、それぞれワークスドライバーらがマシンに乗り込み、ひさびさに走るノルドシュライフェで周回を重ねた。

 ファルケンモータースポーツのポルシェに乗り込んだワークスドライバーのディルク・ベルナーは「長い自宅待機の後に、やっとポルシェのコクピットに納まる日がくるなんて、なんて素晴らしいことなんだろう! 今日のテストではクリアラップがいくつかとれて、問題なく予定通りにテストプログラムをこなすことができた」と喜びをかみしめた。

 ローヴェはGT3活動のメインは昨年からポルシェにスイッチしているが、ニュル24時間およびそVLNでは、まだBMWとの契約が残っているため、今季もBMW M6 GT3で引き続き参戦する。テストには今季からBMWのDTMワークスドライバーとなったルーカス・アウワーが登場した。

 ノルドシュライフェにはまだあまりが馴染みのないドライバーだが、メルセデス在籍時代にニュルのライセンスを取得しており、今回ふたたびテストでノルドシュライフェを走り込んだ。先週の木曜日からDTMのテストでニュルに滞在しており、エンジニアからGT3マシンの操作方法等のコーチングを受け、この日のテストを迎えた。

 なお、VLNのテストデーには、ニッサンGT-RニスモGT3で今季VLNの前半戦とニュルブルクリンク24時間に参戦する予定をしていたKONDO RACINGの参戦見送りというニュースが流れた。TOYOTA GAZOO Racingに続いて2チームめとなる日本チームの参戦見送りには、日本から挑む“ニュルの仲間”とのレースの機会が絶たれたことにパドックでも残念がる声が多く聞かれた。

 今季で44シーズンめを迎えるVLNの開幕戦は、6月27日の午後12時(日本時間午後7時)にスタートする。

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