3月2日(土)、中東カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットでWEC世界耐久選手権第1戦『カタール1812km』の決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)が走らせる2台のトヨタGR010ハイブリッドは、計19台に増えたハイパーカークラスのエントリーのなかで、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組7号車が総合6位でフィニッシュ。セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組8号車も総合10位でチェッカーを受けた後、他車の失格裁定により同9位に繰り上がった。この結果、両車とも2024年シーズンの開幕戦でポイント獲得を果たしている。
前日に行われた公式予選で“ルーキー”のデ・フリース駆る7号車がフロントロウの2番手を獲得し、ハートレーがドライブした8号車が6列目11番手グリッドを得たトヨタ勢。晴天の下で迎えた決勝日、現地11時に335周(最大10時間)のレースがスタートすると、コンウェイがスタートドライバーを務めた7号車は最初のコーナー進入時にオーバーステアに見舞われ外側へとラインを外し、7番手へと後退してしまう。また、ブエミがステアリングを握る姉妹車も1コーナーでの混乱のなか3つ順位を落とした。
“失意の7位フィニッシュ”プジョー9X8が失格。ガス欠後のモーター走行等が違反との裁定下る
しかし、その後は両車ともトラブルなく周回を重ね、徐々にポジションを上げていく。スタートから2時間を迎える直前、7号車はコンウェイからデ・フリースへ、8号車はブエミからハートレーへとドライバー交代を行い、左側のタイヤのみ新品へ交換しポジション争いへと戻っていく。チームはその次のピットインで右側のタイヤのみ交換し、通常とは異なる戦略を模索しながらのレースを進めていくこととなった。
TGRのレギュラードライバーとしては今戦が初めてのWECレースとなったデ・フリースの健闘もあり、7号車はトップ6圏内に浮上。スタートから4時間を経過した段階でチーム代表を兼務する可夢偉へと交代した。その後レース後半に入ってふたたびコンウェイ、デ・フリースとつないだ7号車は、総合7番手で迎えたファイナルラップで、スローダウンしていた93号車プジョーをフィニッシュラインの目前でかわし6位でチェッカーを受けた。
一方、8号車は前半のハートレーのスティントで苦戦を強いられたほか、続く平川のスティントでは左リヤタイヤの交換に時間が掛かり手痛いタイムロスに。終盤、ふたたび平川が乗り込んだ8号車は総合10番手で約10時間におよんだレースのチェッカーを受けたが、93号車に失格処分が下ったことで最終リザルトは9位となっている。
アルピーヌ、BMW、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニという新たなハイパーカーメーカーを迎え、9社/計19台での激しい戦いが繰り広げられた今季開幕戦。TGRはそのなかでダブル入賞を果たしたが、2018年のシルバーストーン以来続いていた連続表彰台獲得は途絶えた。しかしチームは皆ポジティブにお互い声をかけ合い、4月21日(日)にイモラ・サーキットで行われる第2戦に向け、すでに前を向いている。
■「コースとクルマが合っていなかった」/TGRドライバーコメント
●小林可夢偉(チーム代表/7号車トヨタGR010ハイブリッド)
「残念ながら2024年シーズンの開幕戦は、終始パフォーマンスを探りながらの厳しい戦いとなってしまいました。現実的に見て今日は6位フィニッシュが精一杯でしたし、望んでいた結果ではありません」
「ここのコースと我々のクルマが合っていなかったのは明らかで、これほど今回のレースが我々にとってチャレンジングなものになるとは考えてもいませんでした。しかし、そんな困難なレースでもチームは全員が懸命に戦い、2台揃ってポイントを獲得できました」
「ドライバーはミスすることなく走り抜き、エンジニアやメカニックも素晴らしい仕事ぶりでした。このレースの内容を全て見つめ直し、イモラではもっと強くなって戻ってこられるよう頑張ります」
●マイク・コンウェイ(7号車トヨタGR010ハイブリッド)
「とても大変なレースだった。上位争いをするペースは我々にはなく、レースの展開によって浮き沈みがあるような状況だった。競争力がある時もあれば、そうでない時もあったんだ」
「レーススタート前は、ここカタールでどれだけ戦えるか未知数だったけど、ポイントを獲得できたのは良かったと思う。最後の最後に6位に上がれたのは幸運で、全体的に見ればまずまずの結果だろう。さらなる努力を続け、イモラではもっと上を目指したい」
●ニック・デ・フリース(7号車トヨタGR010ハイブリッド)
「10時間におよぶレースだったが、苦しい結果となった。僕たちはレースペースでも上位を争うライバル勢に対し及ばなかったので、6位という結果には満足すべきだろう。実力では6位には届いておらず、チェッカー直前でのちょっとした幸運のおかげによる6位だったのは確かだ」
「ポイントが獲得できたのは良かったし、これが今日我々のできるベストだったと思う。僕らはこの週末に最大限のパフォーマンスを発揮する必要があり、それは達成できたはずだ」
●セバスチャン・ブエミ(8号車トヨタGR010ハイブリッド)
「僕たちにとっては厳しいレースだったが、そんななかでもなんとかポイントを獲得できた。パフォーマンスで及ばない分、全力を尽くして2台揃っての完走は果たせた。勝てなくても、できる限りのポイント獲得を目指して戦ったんだ」
「厳しいレースウイークだったけれど、今後も努力を続け、イモラでは強くなって戻ってきたいと思う。イモラでのレースはWECでは初となり、経験したことのないコースだが、ここカタールよりは間違いなくGR010ハイブリッドに合っているはずだし、もっと良い結果を期待している」
●ブレンドン・ハートレー(8号車トヨタGR010ハイブリッド)
「チャレンジングなレースウイークで、最終日の今日も、とくに我々8号車にとっては厳しい一日だった。僕たちのクルマはどちらも表彰台を争うだけのスピードはなかった」
「それでもチームは一丸となって戦い、2台揃ってポイント獲得を果たした。ポイント獲得のために戦い続け、応えてくれたチーム全員を誇りに思うよ。今日は全力を尽くしたので、これからは次戦へ向けて集中する」
●平川亮(8号車トヨタGR010ハイブリッド)
「間違いなく本当に厳しいレースウイークで、予想以上に苦戦しました。良い結果を残すことができず本当に残念ですが、全員ができる限りの戦いをし、これが精一杯でした」
「イモラはコースレイアウトの面でもっと我々に向いていると思うので、次戦はさらに強くなって戻って来たいと思います。やるべきことは山積みです」
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