3.6Lの自然吸気V6エンジンで300ps
執筆:Jack Warrick(ジャック・ウォリック)
【画像】爽快ワゴン フォルクスワーゲン・パサートR36 ヴァリアント 現行型パサートも 全55枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
B6世代に投入されたフォルクスワーゲン・パサートR36は、英国では知る人ぞ知る、という存在だ。新車当時、R36級の高性能ワゴンは珍しい存在だったが、販売台数はメーカーの期待通りには伸びなかった。
しかし、その希少性のおかげで近年の評価は高い。爽快なパフォーマンスに整ったルックス、乗り手を選ばないような使い勝手の良さで、価値を一層高めている。能力を誇示するように、控えめな見た目を保ったままの例は多くないけれど。
パサートにV6エンジンが搭載された最後の世代となったのも、このB6と、そのビッグマイナーチェンジ版といえるB7。R36のボディスタイルは、英国ではサルーンとステーションワゴンのヴァリアントが選べた。
新車当時、1200ポンドほど価格が高かったにも関わらず、支持を集めたのはヴァリアント。今もヴァリアントの方が流通量は多い。ちなみに日本へは、サルーンのR36は導入されていない。
現在の英国で路上を走れる状態のパサートR36は、約125台程度と考えられる。貴重なモデルだ。
パサートR36を聞いたことがなくても、恐らくエンジンはご存知のはず。3.6Lの自然吸気V6ガソリンは、ファンの心を掴んだゴルフR32に搭載されたものと同系。排気量を拡大することで、約50ps増しの300psを獲得している。
0-100km/h加速時間は5.6秒。現代のポルシェ・ボクスターSを凌駕するスタートダッシュを披露した。フォルクスワーゲン自慢の四輪駆動システム、4モーションが生むロードホールディング性と相まって、高次元のパフォーマンスを今も楽しめる。
現存するR36は希少 行動はお早めに
R36には、標準のパサートと差別化するべく特別な装備も盛りだくさん。専用のフロントバンパーにキセノン・ヘッドライト、極太の2本出しマフラー、青く塗られたブレーキキャリパーなど。テールには専用のスポイラーも付く。
車内には、2脚のスポーツシートにRのロゴが入ったマルチファンクション・ステアリングホイールがドライバーを迎えてくれる。足もとにも、Rのロゴがあしらわれたアルミ製のペダルが光る。
クルーズコントロールにオートエアコン、前後シートのヒーターなど、上級装備も忘れていない。荷室容量は、ヴァリアントで513L。リアシートを畳めば1641Lに拡大できる。キャンプ道具やマウンテンバイクを運んだ経歴を持つものも少なくないだろう。
優れた実用性も相まって、R36ではヴァリアントの方が人気は高い。一方で希少性ではサルーンの方が上。中古車の取引価格は、同等と考えて良い。
とはいえ新車時3万590ポンド、現在の価値で4万1700ポンド(633万円)した高性能モデルも、中古車ならずっと近づきやすい。ディナウディオのサウンドシステムに19インチホイールを履いたサルーンで、8500ポンド(129万円)という例もあった。
パサートR36の生産期間は短く、2010年にB7世代へ交代するまでの2年間しかショールームに並ばなかった。程度の良いクルマは数も減っている。もし状態の良いものを発見したのなら、早めの行動をオススメしたい。
オーナーの意見を聞いてみる
ジョー・アーガー
「アウディRS4 アバントではなく、パサートR36 ヴァリアントを2年前に選んだ理由は、価格が安かったから。エンジンは素晴らしいサウンドを聞かせ、レスポンスも鋭い。年式の割に、路上でのフィーリングもバッチリです」
「毎日の移動手段としてだけでなく、週末には自転車を積んで遠出しますが、目立った不具合は起きていません。燃費が悪くお金はかかりますが、希少性がそれを上回ると思います」
「毎日のように運転しても、別のR36と出会うことは1か月に1度あるかないか。多くの人が初めて見ると、珍しそうにクルマへ近づいてきますよ」
購入時に気をつけたいポイント
トランスミッション
オーナーの中には、ゴルフR32と共有するデュアルクラッチATの不具合を報告する人がいる。交換は安くないため、使用歴を確認し、マニュアル・モードでもオート・モードでも滑らかに違和感なく変速できるか確かめたい。
ブレーキ
3万2000km毎での、ブレーキディスクとパッドの交換を推奨したい。R36の車重は1747kgと軽くなく、積極的な走りを繰り返すと減りも早い。リビルドされたブレーキキャリパーは、英国ではペアで300ポンド(4万5000円)程度で手に入る。
エンジン
タイミングチェーンで寿命は長いものの、走行距離とともに徐々にチェーンは伸びる。カムのポジションセンサーが不調になり、点火タイミングが狂う可能性はある。
タイミングチェーンの交換作業は、トランスミッションと一緒にエンジンを降ろすことになる。安くはできない。
ボディとホイール
大きめのボディと低めの車高、大径ホイールを履くR36は、ホイールのガリ傷やボディの擦り傷を受けやすい。残存台数は少ないから、本当に欲しいなら多少の傷は妥協するべきかもしれない。
ボディが錆び、塗装が気泡のように浮くこともある。進行する前に補修すれば、費用も安く済む。
燃料
パサートR36は、プレミアム(ハイオク)ガソリンの指定。給油時は高く付くが、守っておきたい。自然吸気のV6エンジンは、注がれたガソリンに応えてくれるはず。
知っておくべきこと
パサートR36に、状態の良い同時期のRS4アバントと同じ体験は求められない。また中古車としては手頃な価格だが、カタログ燃費は9.5km/Lに留まった。CO2の排出量は249g/kmに及ぶため、英国では税金も安くない。
整備費用やスペアパーツ代もフォルクスワーゲンとしては高い。存分に楽しむには、不足ない予算立てが必要になる。
英国ではいくら払うべき?
7000ポンド(106万円)~7999ポンド(120万円)
走行距離16万km以上の、ボディに擦り傷があるようなR36 ヴァリアントが英国では見つかる。その多くは、複数オーナーのようだ。
8000ポンド(121万円)~9999ポンド(151万円)
全体的に状態は良くなる。整備履歴も残り、エンジンのメンテナンス状況なども良くなる。走行距離は16万km前後になる様子。
1万ポンド(152万円)~1万1999ポンド(181万円)
メンテナンスが行き届いた、程度の良いR36が英国では買える。走行距離も短めになってくる。
1万2000ポンド(182万円)以上
モデル末期のパサートR36が英国では出てくる。執筆時、走行距離13万kmのフォルクスワーゲン認定中古車を見つけた。
英国で掘り出し物を発見
フォルクスワーゲン・パサートR36 ヴァリアント V6 4モーション 登録:2009年 価格:1万999ポンド(167万円)
このR36 ヴァリアントのオーナーは、根っからのクルマ好きだろう。望まれないような改造はせずに、高速ワゴンをこれまで楽しんできたと思われる。
ビルシュタイン社製のショックアブソーバーと、リアのブレーキキャリパー、ハンドブレーキ・モーターは新品に交換済み。起きがちな、ステアリングロックの不具合も修正済みだという。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?