2024年F1第17戦アゼルバイジャンGP、角田裕毅(RB)はバクー・シティ・サーキットでの初日を11番手で終えた。この日、角田とRBにとって重要だったのは、順位ではなかった。第16戦イタリアGPで不発に終わった最新スペックのフロアが、アゼルバイジャンGPでどんなパフォーマンスを見せるかだった。
イタリアGPでは製造上の時間的問題から、そのフロアは角田の1台だけに投入された。角田はこう語る。
角田裕毅、新旧フロアを比較、初日は11番手「今日は中団トップではなかったが、予選に向けた改善案がある」F1第17戦
「アップデートしたパーツの走行データを見る限りは、空力的な効果があったことは確認しているんですが、同時にネガティブな部分も出ていて、それが想定していたよりも大きかったようです。効果があることは確認できているので、1戦だけでお蔵入りさせないで、チームとして今回もそのフロアを試し、セットアップの理解を深めることにしました。想定していたよりも大きくネガティブな部分が発生する心配はありますが、モンツァという超高速コースが持っている特性によって発生したことも考えられるので、それはチームが確認します」
想定していたよりもネガティブな部分が大きく出てしまった理由はなんなのか。コースのレイアウト以外にも車体が持っている個体差やドライビングスタイルも考えられる。そこで、RBはアゼルバイジャンGPのフリー走行1回目では新型フロアをダニエル・リカルドのマシンに搭載し、角田は旧型フロアで走り始めるプログラムを組んだ。
角田によれば、新型フロアのポジティブな面は、フロアが発生させるダウンフォースの量で、逆にネガティブな面はバランス変化が大きいことだと言う。
「開発段階では、デメリットを上回る(ダウンフォースの)数値が出ていたのですが、モンツァではポジティブな面を上回るほどバランス変化が大きく、効果を感じられなかったという感じです」(角田)
旧型フロアを搭載して走ったフリー走行1回目。角田は「かなり難しいスタートとなりました」と15番手に終わった。だが、リカルドは「最後にここで走ってから2年も経っているけど、FP1はうまくいった。比較的うまく流れに乗れて、気分もよかった」と、トップ10内につけた。
走行データを確認したエンジニアは、角田のマシンに搭載しているフロアを旧型から新型に交換。フリー走行2回目は2台そろって新型フロアで走行した。そのため、角田のマシンは新型フロアをうまく活用するためにセットアップが十分ではなかったものの、11番手にアップ。そして、感触をこう語った。
「バクーは全体にわたって、常にいいバランスを保つのは難しいですが、セッションごとに改善することができました」
つまり、モンツァで悩まされたデメリットに、バクーではいまのところ悩まされていないようだ。
ただし、新型フロアを継続して使用したリカルドがフリー走行2回目では16番手に終わった。
「ここは非常に滑りやすいから、FP2に向けてグリップを改善できるかどうか試すためにいくつか変更を加えたんだけど、その改善策がうまくいったという感触は得られなかった」
角田とRBが土曜日以降にトップ10を目指すには、新型フロアからいかにポテンシャルを活かすセットアップを導き出せるかがポイントとなる。
レーシングディレクターのアラン・パーメインはこう語る。
「新型フロアのここでの最初の印象は、正しい方向への適切なステップを踏んでいるということだ。ストリートサーキットでは、1日を通してコースコンディションが変化し、それに伴って改善に合わせてバランスを調整する必要がある。今夜はダウンフォースのレベルを慎重に確認し、セットアップを調整していくことだろう。もしかしたらFP3後も予選に向けて、再度調整する必要が出てくるかもしれない」
やや気難しい新型フロアの機嫌が土曜日にどうなるのか。角田とRBのアゼルバイジャンGPのパフォーマンスは、その一点に尽きるだろう。
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