シャルル・ルクレール(フェラーリ)が2024年F1第17戦アゼルバイジャンGPの予選で、4年連続のポールポジションを獲得した。直後のインタビューでルクレールは、「フリー走行でクラッシュしたり、楽な展開ではなかった。でもマシンに戦闘力があるのは、初日からわかっていた。予選はとにかく、壁に当たらないように走ったよ」と、コメントしていた。
そのコメントのとおり、予選中はライバルたちがコンクリートウォールぎりぎりまでプッシュしていたのに対し、ルクレールは慎重な走りに終始していた。にもかかわらず、2番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)に0.321秒という大差をつけたのだ。
ルクレールが4年連続のPP。フェルスタッペン6番手、ノリスQ1敗退の波乱【予選レポート/F1第17戦】
「ここは僕のお気に入りのサーキット」というルクレールだが、過去3年で3回もポールを獲得も最高位は2023年の3位表彰台であり、お気に入りのサーキットではまだ1勝もできていない。主な理由は、ここ数年のフェラーリが一発の速さに秀でる一方で、レースペースに難ありだったことだ。
しかし今年は、前戦イタリアGPで見事に1ストップ作戦を成功させてマクラーレンから勝利を奪い取ったように、タイヤに対して優しいマシンに仕上がっている。それだけに、ルクレールにとっては“四度目の正直”となるアゼルバイジャンGP初優勝の可能性は、十分あり得そうだ。
一方、まさかの失速を喫したのがレッドブルだった。初日フリー走行1回目(FP1)はマックス・フェルスタッペンがトップタイム、FP2ではセルジオ・ペレスが2番手と、シーズン序盤に見せていたような速さを見せていた。さらに予選Q2では、フェルスタッペンが0.014秒の僅差ながら、ルクレールを抑えてトップに。ペレスもフェルスタッペンから0.2秒差の3番手と、復調を感じさせる展開だった。
ところがQ3ではペレスが4番手、フェルスタッペンが6番手に終わった。特に深刻だったのがフェルスタッペンで、ライバルたちが軒並みQ2で記録した自己ベストタイムを大きく縮めていくなか、Q3最初のアタックではQ2自己ベストを更新できず、最後のアタックもわずか0.019秒の短縮に留まっている。
前戦イタリアGPの予選でもフェルスタッペンは、Q2よりQ3のタイムが遅いという症状に苦しんだ。しかもQ2で記録した自己ベストの1分19秒662はユーズドタイヤで出したもの。よりグリップが得られるニュータイヤでのQ3は、それよりも0.4秒以上遅かった。
レッドブルにもその原因が、おそらく完全には解明できなかったのだろう。今週末の初日FP1で、レッドブルのふたりはソフトタイヤを1周皮剥きし、その後4、5周のスティントを敢行。さらに予選前のFP3でも、再びソフトの皮剥きを行い、ニュータイヤとの比較テストを行なっていた。その結果、2台ともにニュータイヤで行くと決めたようだが、期待した速さは出せなかった。
過去3年間でペレスが2勝(2021年、2023年)フェルスタッペンが1勝(2022年)と、レッドブルが勝利を独占してきたアゼルバイジャンGPだが、今年ばかりは厳しい展開になるかもしれない。
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