アストンマーティン、ヴァルキリーでのWEC参戦プログラム休止を発表

Aston Martin Valkyrie

アストンマーティン ヴァルキリー

ハイパーカープログラムがキャンセルされる可能性も

アストンマーティン・ラゴンダは、世界耐久選手権（WEC）LMHル・マン ハイパーカークラスへの参戦延期を発表した。ハイパーカークラスは、現在トヨタ TS050 HYBRIDなどが参戦するLMPクラスに代わって、2020／21年シーズンから導入を予定している新カテゴリー。アストンマーティンは、2020／21年シーズンのWECに「ヴァルキリー」での参戦を計画していた。

この決定は、アストンマーティン ヴァルキリー ハイパーカーが、2020年9月5日から開催されるWEC開幕戦シルバーストーン6時間でデビューすることはなく、2021年のル・マン24時間レースへのエントリーを行わないことを意味する。

今後、ハイパーカーの開発・参戦を継続すべきか検討するため、一時プログラムを休止した。同時に、アストンマーティンは参戦に適した道筋をつくるべく、オーガナイザーとの協力関係を続けていくことも表明している。

Aston Martin Vantage GTE

アストンマーティン ヴァンテージ GTE

ヴァンテージ GTEでの参戦プログラムは継続

一方、アストンマーティン・レーシングが手がける「ヴァンテージ GTE」でのWEC参戦プログラムは、今後も継続される。

4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載したヴァンテージ GTEは、2018/19年シーズンのWEC開幕戦スパ6時間でデビュー。以来、GTE Proクラスで4勝、GTE Amクラスで2勝を挙げている。また、2019年のル・マン24時間レースではクラスポールポジションも獲得した。

またアストンマーティンは、レーシングポイントF1チームと提携することで、1960年以来となるワークスチームとしてのF1復帰を予定している。

不透明さを増していたWECのハイパーカークラス

アストンマーティンの副社長であり、アストンマーティン・レーシング代表を務めるデイビッド・キングは、今回の決定について以下のように説明した。

「スポーツカーカテゴリーにおいて重大な変化がいくつも起こっているため、WECハイパーカークラスへの参加を一時休止する決定を行いました。これでトップカテゴリーだけでなく、現在我々が参戦しているカテゴリーに関しても冷静な評価を行う時間を得ることができるでしょう」

「現在、ヴァンテージ GTEで参戦しているGTカテゴリーは、公道における直接のライバルと戦っています。これは我々にとっても理にかなったカテゴリーです。ヴァンテージ GTEは非常にレベルの高いこのカテゴリーで優勝を経験していますし、このプログラムは今後継続される可能性が高いです」

アストンマーティンの会長兼グループCEOのアンティ・パーマーは以下のようにコメントした。

「ル・マン24時間レースで総合優勝を目指すという、アストンマーティンの野望は今も残っています。しかし、昨年の段階では予想されていなかった状況の変化をふまえ、現状を再評価すべきと考えました。アストンマーティン ヴァルキリーは、ハイパーカーのライバルと戦うことを目指し、WECとル・マンへの参戦を表明しました。参戦背景が変わった以上、一度歩みを止めて別のオプションを検討するのは理にかなっています」