2023年、F1ラスベガスGPが初開催されたのも、ニュースのひとつだった。
確かに、ラスベガスの地でF1が開催されたのは、2023年が初めてではない。1981年と1982年の2回にわたって、巨大ホテル”シーザーズパレス”の駐車場にコースを特設し、グランプリを開催した。シーザーズパレスGPである。
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いずれもラスベガスでのF1開催であるが、2023年から始まったラスベガスGPは規模が全く異なっていた。カジノや高級ホテルが林立するラスベガスのメインストリート、通称”ラスベガス・ストリップ”を通るなど、コースの大半が公道。スタート/フィニッシュラインとピット、そしてパドックエリアは、F1のオーナー企業であるリバティメディアが買収した土地に作られた。
しかもセッションは夜。ネオンサインが煌びやかに輝く中をF1マシンが駆け抜ける。これまでに見たことのない光景だった。
問題がなかったわけではない。グランプリ初日には道路にはよくある金属製の蓋が外れ、2台のマシンに大ダメージを与え、スケジュールが大幅に変更された。しかも11月のラズベガス、夜の気温は著しく下がることが予想された。さらにはただでさえヨーロッパとは時差が大きい中、夜のセッションとなったため、ドライバーやチームスタッフらは時差に悩まされることになった。
とはいえこのイベントは、リバティメディアが買収し、生まれ変わったF1の新たな姿を示すためには重要な1戦だった。様々な問題があったとはいえ、失敗するわけにはいかなかったのだ。
また、ラスベガスGPはアメリカでのF1人気の高まりを示す集大成だったとも言える。
2011年、アメリカではF1が開催されていなかった。それ以前にはインディアナポリスやフェニックス市街地などでアメリカGPは開催されていたが、なかなか定着せず。F1がアメリカに根付くのは難しいと言われ続けてきた。
2012年にテキサス州のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でアメリカGPが復活。その後、2022年からはマイアミGP、そしてその翌年からはラスベガスGPが始まり、年間3戦がアメリカ国内で行なわれるようになったのだ。NetflixのF1ドキュメンタリーが火付け役となり、ここ数年アメリカでのF1人気が、かつてないほど急激に高まっているのだ。
ラスベガスGPの観戦チケットは高騰し、さらに観客席の数も限られていた。また、前述の通り初日にはコースのトラブルにより、スケジュールが大幅変更。走行時間があまりにも深夜(現地時間午前2時半から!)となったため、無観客で行なわれることとなった。それらの要因により、実際の走行シーンを観戦できたファンはそれほど多くなかったかもしれない。
ただ当初は批判的な声も多かったが、結局レースが終わってみれば、その評価も変わった。数多くのバトルが繰り広げられ、ドライバーたちは口々に「楽しかった」と口にした。2023年ベストレースと言う評価もある。
リバティメディアのグレッグ・マッフェイCEOはラスベガスGP前の前に、コース脇に存在する巨大円形ホール”MGSスフィア”の活用方法について尋ねられた際、次のように語っていた。MGSスフィアとは、ホールの内外に無数のLEDパネルがはめ込まれた建造物。ラスベガスGPの際にも様々な映像を投影していたため、みなさんの記憶に残っていることであろう。
「スフィアの完成が間に合うかどうか分からなかったし、自分たちのことをやり遂げるのに大忙しだったこともあり、今年の計画を組むのが非常に難しかった。しかし、将来的にはさらに多くのことが起きると思う」
マッフェイCEOがそう語るように、ラスベガスGPの準備が急ピッチで進められた。そして一度開催が実現し、今後はその内容が年々進化していくはずだ。
今後ラスベガスGPがどのように進化していくのか……実に楽しみである。おそらく2023年よりも派手で、煌びやかなモノとなっていくはずだ。
そして我々日本のファンにとっては、実に観戦しやすい時間帯のグランプリだった。セッション開始予定時刻からセッション終了までが4時間にも及んだ、フリー走行2回目を除けば……ではあるが。
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