新型コロナウイルスにより、全てのスポーツが停滞している中、F1パドックはレースに戻る日を待ち望んでいる。現在は夏にヨーロッパで無観客レースを実施し、シーズンを再開することに関して議論が進められている。
一方、チームの財政的な負担を減らし、その未来を守るため、いくつかの変更が承認された。最も大きいのは、2020年のマシンを2021年も使用することだ。これにより、チームは新車を開発するための莫大なコストを節約することができる。
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また、バトルの活性化を狙った新たな技術規則の導入を2022年に遅らせ、今季中は新規則に向けた開発作業を禁止することで、チームのコストを抑えようとしている。
こうした決定は必要不可欠だった一方で、2021年のシーズンに向けて、新たなオーバーテイク促進策が必要となる可能性がある。
F1では何年もの間、オーバーテイクの改善は議論の対象となってきた。2017年に空力規則が改訂されたことによりダウンフォースレベルが上がり、史上最速のF1マシンが生まれたが、その分オーバーテイクに関しては最悪の状態となっている。
前を走るマシンが生み出す”乱流”の影響で、後ろを走るマシンのダウンフォース量が減少し、オーバーテイクを仕掛けられるほど近づくことができなくなっているのだ。こうした状況に対して、ドライバーたちからも不満が出ている。
2019年には、状況を改善するためにいくつか変更が加えられた。複雑だったフロントウイングを簡素化しリヤウイングの形状を変更することで、マシンが生み出す乱流を減らして、理論的にはマシンがお互いにより近い距離でバトルできるようになったはずだった。しかし結果として、この影響はほとんどなかった。
レギュレーションに大きな変更がない2020年は、各チームがさらにパフォーマンスを向上させてくることも考えると、状況はさらに悪化するだろう。
2019年仕様のピレリタイヤが引き続き使用されることも、問題を悪化させる要因になりうる。ピレリが用意していた2020年仕様のタイヤは、デグラデーションの減少やより広い作動温度領域、オーバーヒートの発生を抑えることを目指して設計されていた。これらの特徴はバトルをする上で役に立つはずだったが、チーム側は全会一致でこの新タイヤの使用を拒否している。
ドライバーたちも、2020年はさらにオーバーテイクが減少する傾向にあると感じているようだ。
「僕たちはますます速くなっている」と、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は語った。
「おそらく今年は、ダウンフォースとドラッグ(空気抵抗)がさらに増えて、後ろのクルマに悪影響が及ぶから、オーバーテイクは少なくなると思う」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、より率直にこの問題についてコメントした。
「昨年よりもさらに悪くなるだろう。特定の状況下でなら、まだオーバーテイクは可能だろう。例えば誰かがタイヤで苦しんでいる時とかね。でもクルマに関しては、昨年よりも状況が悪くなっている。だから、オーバーテイクは少し難しくなっているだろう」
シーズンがいつ再開されたとしても、現行マシンが2021年まで使用されることから、こうした問題は2021年まで続いてしまうだろう。
いずれにしても、オーバーテイクを促進するためにF1側が何らかの対策を実施する可能性はある。F1オーナーのリバティ・メディアは、変化を採り入れる事に前向きであり、様々なシナリオについてのシミュレーションを行なっている。
フォーミュラEで用いられている”アタックモード”や、世界ラリークロス選手権(WRX)で導入されている”ジョーカーラップ”(レース中に1度コース外に設けられた別ルートを走行する)のほか、リバースグリッドなどのアイデアが理解を得るのは難しいかもしれない。しかしそれらを試してみる時間があるとしたら、2021年シーズンもその貴重な機会に充てることができるだろう。
2021年の最終戦まで、ドライバーたちは今回の一連の決定による悪影響を感じる事になるかもれない。とはいえ全10チームが生き残り、チャンピオンシップが健全に保たれるのだとしたら、オーバーテイクの減少は安い代償だと言えるだろう。
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