現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 新型コロナウイルスの副作用? F1は深刻なオーバーテイク不足に苦しむのか

ここから本文です

新型コロナウイルスの副作用? F1は深刻なオーバーテイク不足に苦しむのか

掲載
新型コロナウイルスの副作用? F1は深刻なオーバーテイク不足に苦しむのか

 新型コロナウイルスにより、全てのスポーツが停滞している中、F1パドックはレースに戻る日を待ち望んでいる。現在は夏にヨーロッパで無観客レースを実施し、シーズンを再開することに関して議論が進められている。

 一方、チームの財政的な負担を減らし、その未来を守るため、いくつかの変更が承認された。最も大きいのは、2020年のマシンを2021年も使用することだ。これにより、チームは新車を開発するための莫大なコストを節約することができる。

■長引くF1シーズン中断期間。ルクレール「再開されるまで、集中力を維持するのは困難」

 また、バトルの活性化を狙った新たな技術規則の導入を2022年に遅らせ、今季中は新規則に向けた開発作業を禁止することで、チームのコストを抑えようとしている。

 こうした決定は必要不可欠だった一方で、2021年のシーズンに向けて、新たなオーバーテイク促進策が必要となる可能性がある。

 F1では何年もの間、オーバーテイクの改善は議論の対象となってきた。2017年に空力規則が改訂されたことによりダウンフォースレベルが上がり、史上最速のF1マシンが生まれたが、その分オーバーテイクに関しては最悪の状態となっている。

 前を走るマシンが生み出す”乱流”の影響で、後ろを走るマシンのダウンフォース量が減少し、オーバーテイクを仕掛けられるほど近づくことができなくなっているのだ。こうした状況に対して、ドライバーたちからも不満が出ている。

 2019年には、状況を改善するためにいくつか変更が加えられた。複雑だったフロントウイングを簡素化しリヤウイングの形状を変更することで、マシンが生み出す乱流を減らして、理論的にはマシンがお互いにより近い距離でバトルできるようになったはずだった。しかし結果として、この影響はほとんどなかった。

 レギュレーションに大きな変更がない2020年は、各チームがさらにパフォーマンスを向上させてくることも考えると、状況はさらに悪化するだろう。

 2019年仕様のピレリタイヤが引き続き使用されることも、問題を悪化させる要因になりうる。ピレリが用意していた2020年仕様のタイヤは、デグラデーションの減少やより広い作動温度領域、オーバーヒートの発生を抑えることを目指して設計されていた。これらの特徴はバトルをする上で役に立つはずだったが、チーム側は全会一致でこの新タイヤの使用を拒否している。

 ドライバーたちも、2020年はさらにオーバーテイクが減少する傾向にあると感じているようだ。

「僕たちはますます速くなっている」と、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は語った。

「おそらく今年は、ダウンフォースとドラッグ(空気抵抗)がさらに増えて、後ろのクルマに悪影響が及ぶから、オーバーテイクは少なくなると思う」

 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、より率直にこの問題についてコメントした。

「昨年よりもさらに悪くなるだろう。特定の状況下でなら、まだオーバーテイクは可能だろう。例えば誰かがタイヤで苦しんでいる時とかね。でもクルマに関しては、昨年よりも状況が悪くなっている。だから、オーバーテイクは少し難しくなっているだろう」

 シーズンがいつ再開されたとしても、現行マシンが2021年まで使用されることから、こうした問題は2021年まで続いてしまうだろう。

 いずれにしても、オーバーテイクを促進するためにF1側が何らかの対策を実施する可能性はある。F1オーナーのリバティ・メディアは、変化を採り入れる事に前向きであり、様々なシナリオについてのシミュレーションを行なっている。

 フォーミュラEで用いられている”アタックモード”や、世界ラリークロス選手権(WRX)で導入されている”ジョーカーラップ”(レース中に1度コース外に設けられた別ルートを走行する)のほか、リバースグリッドなどのアイデアが理解を得るのは難しいかもしれない。しかしそれらを試してみる時間があるとしたら、2021年シーズンもその貴重な機会に充てることができるだろう。

 2021年の最終戦まで、ドライバーたちは今回の一連の決定による悪影響を感じる事になるかもれない。とはいえ全10チームが生き残り、チャンピオンシップが健全に保たれるのだとしたら、オーバーテイクの減少は安い代償だと言えるだろう。

こんな記事も読まれています

500馬力超え! 日本専用の「新型スーパーカー」発表! 鮮烈レッドの「V8エンジン」をミッドシップ搭載! 情熱の“炎” モチーフの「レッドフレイム」とは
500馬力超え! 日本専用の「新型スーパーカー」発表! 鮮烈レッドの「V8エンジン」をミッドシップ搭載! 情熱の“炎” モチーフの「レッドフレイム」とは
くるまのニュース
素人から見れば「お客」を乗せるか「荷物」を載せるかの違い! じつは大型バスとトラックは「運転感覚」も「運転手法」もまったく異なる乗り物だった
素人から見れば「お客」を乗せるか「荷物」を載せるかの違い! じつは大型バスとトラックは「運転感覚」も「運転手法」もまったく異なる乗り物だった
WEB CARTOP
セルジオ・ペレス、F1イギリスGP決勝を前にPU交換。ピットレーンスタート決定もポジションの損失は少なく
セルジオ・ペレス、F1イギリスGP決勝を前にPU交換。ピットレーンスタート決定もポジションの損失は少なく
motorsport.com 日本版
クルマに「ウッディぶら下がってる!」大丈夫なのか? 付けちゃいけない場所とは
クルマに「ウッディぶら下がってる!」大丈夫なのか? 付けちゃいけない場所とは
乗りものニュース
[15秒でわかる]アウディ『RS Q8パフォーマンス』…トップモデルにふさわしいアップデート
[15秒でわかる]アウディ『RS Q8パフォーマンス』…トップモデルにふさわしいアップデート
レスポンス
悩める名門TEAM IMPUL、チームが抱える課題を星野一樹監督が分析。富士テスト初日には車両スワップにもトライ
悩める名門TEAM IMPUL、チームが抱える課題を星野一樹監督が分析。富士テスト初日には車両スワップにもトライ
motorsport.com 日本版
中古車で「修復歴アリ」の事故車を検討しています。買っても大丈夫なのでしょうか? またチェックするポイントはあるのでしょうか?
中古車で「修復歴アリ」の事故車を検討しています。買っても大丈夫なのでしょうか? またチェックするポイントはあるのでしょうか?
くるまのニュース
小椋藍、熾烈な表彰台争いを制して3位。優勝は逃げ切ったアルデゲル|Moto2ドイツ
小椋藍、熾烈な表彰台争いを制して3位。優勝は逃げ切ったアルデゲル|Moto2ドイツ
motorsport.com 日本版
路面が「丸い凹み」だらけの道路、どんな意味? なぜ白い? 作り方は意外とアナログ…?
路面が「丸い凹み」だらけの道路、どんな意味? なぜ白い? 作り方は意外とアナログ…?
乗りものニュース
【MotoGP】ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、VR46残留決定か。ドゥカティとの直接契約でファクトリーバイクをゲットへ
【MotoGP】ファビオ・ディ・ジャンアントニオ、VR46残留決定か。ドゥカティとの直接契約でファクトリーバイクをゲットへ
motorsport.com 日本版
ロータス初の4ドアGT 新型「エメヤ」ってどんなクルマ? ドイツで乗ってわかった EVのなかにある“ロータスらしさ”とは
ロータス初の4ドアGT 新型「エメヤ」ってどんなクルマ? ドイツで乗ってわかった EVのなかにある“ロータスらしさ”とは
VAGUE
約300万円! 日産「“2ドア”コンパクトカー」登場! “旧車デザイン”が超カッコイイ! 豪華レトロ&ホワイト内装の「フィガロ」米で落札
約300万円! 日産「“2ドア”コンパクトカー」登場! “旧車デザイン”が超カッコイイ! 豪華レトロ&ホワイト内装の「フィガロ」米で落札
くるまのニュース
【2024年版】トヨタ ハリアーVSレクサス NXを徹底比較
【2024年版】トヨタ ハリアーVSレクサス NXを徹底比較
グーネット
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月30日~7月6日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月30日~7月6日)
Webモーターマガジン
“小ワザ”が効いた最新収納アイテムをピックアップ!【特選カーアクセサリー名鑑】
“小ワザ”が効いた最新収納アイテムをピックアップ!【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
「クルマ良い感じ!って初めて言いました(笑)」山下健太、猛暑の中記録した2番手タイムにかつてない自信。SF後半戦台風の目となれるか?
「クルマ良い感じ!って初めて言いました(笑)」山下健太、猛暑の中記録した2番手タイムにかつてない自信。SF後半戦台風の目となれるか?
motorsport.com 日本版
トヨタが新型「ランクル70ナロー」発売!? 2人乗り&フェンダー無し仕様、実車公開! 日本復活でアンダー400万円もあり得る?
トヨタが新型「ランクル70ナロー」発売!? 2人乗り&フェンダー無し仕様、実車公開! 日本復活でアンダー400万円もあり得る?
くるまのニュース
レッドブル育成ハジャーが今季3勝目! トップチェッカーのクロフォードは、アンセーフリリースに泣く……宮田莉朋17位|FIA F2シルバーストン フィーチャーレース
レッドブル育成ハジャーが今季3勝目! トップチェッカーのクロフォードは、アンセーフリリースに泣く……宮田莉朋17位|FIA F2シルバーストン フィーチャーレース
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村