ベースエンジンは同じだがJPN TAXIはLPGハイブリッド
トヨタ自動車は10月23日、国が認める標準仕様ユニバーサルデザインタクシーの認定要領(レベル1)に適合するタクシー専用車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」を発売。10月27日より11月5日まで東京ビッグサイトで開催された「第45回東京モーターショー2017」に出品するとともに、「次世代タクシー」として試乗体験プログラムも展開した。東京モーターショーの現場で明らかになった、その走りのメカニズムを解説する。
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これまでタクシー専用車として販売されていた「コンフォート」や「クラウンコンフォート」ともっとも大きく異なるのは、駆動方式とボディ。駆動方式はFRからFFに、ボディはセダンからハッチバックに変更され、さらに左リヤドアが車いすのまま乗降可能とするためスライド式、使用頻度の低い右リヤドアはヒンジ式という左右非対称構造となっている。
このJPN TAXIのベースとなったのは、コンパクトミニバンの現行シエンタ。2013年の東京モーターショーに出品された「JPN TAXIコンセプト」の頃からプリウスαの開発を手掛けたことで知られる粥川 宏さんが開発責任者を務め、その後2015年7月に発売された現行シエンタの開発も指揮。その発売後、都内を中心に現行シエンタのタクシーが確実に増えていることなどから、薄々勘づいていた人もいるのではないだろうか?
だが、タクシー専用車として、乗用車のシエンタよりも格段に高い耐久性が求められるJPN TAXIでは、シャシーに大きく手が加えられた。まずタイヤサイズを185/60R15から185/65R15へと、偏平率および外径が拡大されることで、サスペンションに対する入力が低減。さらにリヤサスペンションがトーションビーム式から、よりシンプルかつタフな構造のトレーリングリンク車軸式(3リンク式)に変更されている。
一方でパワートレインは、タクシーで一般的なLPG(液化石油ガス)に対応する、新開発のLPGハイブリッドシステムが採用された。
しかしながら、その1NZ-FXP型1.5リッター直列4気筒LPGエンジンは、シエンタハイブリッドの1NZ-FXE型1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンがベースで、最高出力は74馬力/4,800rpm、最大トルクは11.3kg-m/2,800-4,400rpm(シエンタハイブリッドは3,600-4,400rpm)とほぼ同一。2LM型モーターの出力・トルクは61馬力・17.2kg-m、ニッケル水素バッテリーの容量は6.5Ahと、ハードウェアはシエンタハイブリッドのTHS2に限りなく近いものとなっている。
なお、燃料タンクはシエンタの2列目床下から荷室床下へと移設されるとともに、LPGは実際の容量の75~80%しか入れられないことに配慮し、52リットルの容量が確保された(シエンタハイブリッドの燃料タンク容量は42リットル)。JC08モード燃費は19.4km/リットルとなっている(同27.2km/リットル)。
このJPN TAXIのボディサイズは、全長×全幅×全高=4400×1695×1750mm。シエンタの4235×1695×1675mmに対し165mm長く、75mm高い。2750mmのホイールベース、145mmの最低地上高はシエンタと同一だ。
しかしながら車重は、シエンタハイブリッドの1380kgに対し標準グレード「和(なごみ)」で1390kg、上級グレード「匠(たくみ)」で1410kgと、わずか10~30kgの増加に抑えられている。
現行シエンタは、現在販売されているトヨタ車の中でも1、2を争うほど操縦安定性と乗り心地とのバランスに優れるモデルとして、多くのユーザーとジャーナリストから高く評価されている。そのシエンタをベースとして、タクシーに求められる使い勝手と耐久性が大幅に強化されたJPN TAXI。その後席に座って快適に移動するのはもちろん、運転席でステアリングを握り、その走りを堪能したいと願うのは私だけではないだろう。
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