ラプターを凌駕する712psのTRX
執筆:AUTOCAR
【画像】ラム1500 TRX 欧州で提供されるワイルドなオフロードモデルと比較 全126枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ステランティス・グループのピックアップ・トラック担当、ラムは、競争に勝つことだけを狙っているのではない。屈辱的にライバルを負かしたいと考えている。
456psを発揮するフォードF-150ラプターでも充分だというのに、遥かに上回る712psの1500 TRXを用意する理由は、ほかに思い浮かばない。ちなみにラムとは、ダッジから独立することになった商用車部門だ。
ボンネットを上げてエンジンカバーを外せは、エンボス加工された文字が目に入ってくる。野獣を食い倒すティラノサウルス・レックス(T-REX)の心臓部は、ダッジ・チャレンジャー・ヘルキャットにも搭載される6.2L V型8気筒のヘミ・ユニットだ。
1500 TRXは排気量だけでなく、パワーとトルクでも、アメリカン・マッスルトラックの頂点に君臨してきたF-150ラプターを凌駕する。最大トルクは、ラプターが70.3kg-mなのに対し、TRXは89.7kg-mもある。
車重は2880kgと、こちらもモンスター級。それでいて0-97km/hの加速時間は4.5秒と、瞬発力も非常に鋭い。
子どもが喜ぶような数字だけではない。1500 TRXの最大牽引重量は3674kg。最大積載量は見た目の印象より小さい594kgだが、走れる水の深さを示す渡河深度は、880mmもある。
最低地上高は300mm。クルマのフロント部分、アプローチアングルは30.2度、リア側のデーパーチャーアングルは23.5度と、起伏の大きいオフロードにも不満なく対応できる。
専用ボディとシャシーで能力を大幅向上
ラムは通常の1500からTRXを仕立てるにあたり、大々的に手を加えた。ボディは203mmもワイドになり、トレッドは152mm拡大。ブレーキディスクは大径化され、フロントアクスルの位置は前方に20mmスライドされている。
サスペンションは強化され、より高い負荷を受け止める。タイヤの上下ストローク量も増やされており、フロントで330mm、リアで356mmまで可動する。これは標準のラム1500比で、40%も大きいという。
リアのサスペンション・スプリングの長さは600mm。このセグメントのトラックとしては最長だとラムは主張する。タイヤは肉厚なグッドイヤー・ラングラー・テリトリーという銘柄のオフロードタイプ。アルミホイールは18インチだ。
TRXは、エクストリームという言葉がぴったり。ボディサイズは大きく、見た目もごつい。高い走破性も目指されている。それでいて非常に快適で、ピックアップ・トラックとして実用性が高いことも特長だろう。
ラムはTRXに専用のインテリア・デザインを与えたほか、アダプティブ・クルーズコントロールや衝突警告、駐車時の360度カメラ、高精細なカメラ式リアミラーなども装備する。19スピーカーに900Wのハーマン・カードン社製オーディオも備わる。
車内を眺めて特に目を引くのは、12インチの縦型タッチモニター。TRXの能力を引き出す、マッド、サンド、ロック、スノー、牽引という幅広い専用ドライブモードの選択も、この画面で行える。
さらにダイナミックになるバハ・モード
特にTRXらしいのが、最もダイナミックなバハ・モードだろう。走りをアシストするすべての電子システムの介入が弱くなり、ZF社製の8速ATは変速がクイックに変化。ステアリングのレスポンスもシャープに変わる。
加えてビルシュタイン社製のブラックホークe2と呼ばれるアダプティブダンパーは、大幅にソフトな状態になる。この状態で、カリフォルニアの荒れ地を疾走してみたい。またドライブモードは、ドライバー好みにカスタム設定も可能となっている。
バハ・モードを選択すると、スポーツカーのスポーツ・モードと同様にエグゾーストシステム内のバルブが全開になり、ボリュームも増大。欧州の騒音規制を満たすために、ラムが加えた改良を無効にしてくれる。
バルブが開いた状態の咆哮は、まさにティラノサウルス・レックスが怒り狂ったかのよう。周囲の人を驚かせる以上の効果がありそうだ。
一方でカーボンファイバーやクローム、レザーなどで仕立てられたインテリアはラグジュアリーで、深いバケットシートの座り心地は抜群。運転している限り、1500 TRXの後方から大音量が放たれていることにも、気付かないかもしれない。
1500 TRXには、エンジンの回転数を4500rpmに固定してスタートダッシュに備える、ローンチコントロールも付いている。ブレーキペダルを放せば、ワープするような勢いでヘッドアップ・ディスプレイの速度計の数字が増えていく。
快適な車内に、驚かされるほどの悪路性能
見た目を裏切るほどの快適な車内と、驚かされるほどのオフロード性能を持つラム1500 TRX。舗装路だけでなく山でも川でも砂漠でも、ひと回り小さなトラックのように、パワーを生かして軽快に走れる。
他を圧倒するパフォーマンスと高度な技術が落とし込まれていながら、TRXはラムのピックアップ・トラックとして、しっかり働き者でもある。牽引力と積載量にも不足はない。
自動車メーカー間のパワー戦争は、環境への配慮が求められる中にあって、すっかり穏やかになっていた。だが昔を懐かしむように、ラムはTRXで、これみよがしにフォードへ仕掛けてきた。数字の大きさと見た目の派手さが、強さの象徴だった時代がよみがえる。
英国や日本で課題となることといえば、まず、場違いなほど大きいボディだろう。何しろ全長は6m近く、全幅は2.2mを超える。
ラム1500 TRX(欧州仕様)のスペック
価格:7万ポンド(1085万円/予想)
全長:5915mm
全幅:2235mm
全高:2055mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:4.5km/L
CO2排出量:506g/km
車両重量:2880kg
パワートレイン:V型8気筒6166ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:712ps/6100rpm
最大トルク:89.7kg-m/4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
家電屋さんがクルマを売る!? ヤマダ電機が[ヒョンデ]の販売開始へ
「覆面パトカー」どうやって見分ける? 「クラウン」だけではない!? 「走り方」や「ナンバー」にも注目! 共通する特徴とは
最近の自動車ディーラーは、顧客の利益を考えて販売しているのか? YouTube「マツダディーゼル動画」騒動から考える
カーボンパーツがふんだんに装着されて超スポーティ! 果たしてそのオプション金額は!?【吉田由美のスーパースポーツ驚愕オプション紹介】フェラーリ プロサングエ編
ホンダが50ccバイクを生産終了! 原付は排気量から出力規制へ! 新規格のPCXとかシグナスとか出るのか?
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?