アダプティブ・クルコンで混んだ道も安楽
text:Mike Duff(マイク・ダフ)
【画像】詳細テストで満点獲得 ポルシェ・タイカン バリエーションを比較 全78枚
photo:Max Edleston(マックス・エドレストン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
ポルシェ・タイカン4S車内はとても静かで、エアサスペンションがしなやかな乗り心地を与えてくれる。オプションで追加できるアダプティブ・クルーズコントロールをオンにすれば、混雑した道も極めて安楽なものになる。
川に沿いながら海へ出た。スペイ・ベイの街だ。雨は止み、北海の水平線が遠くに見える。観光客で駐車場はいっぱい。アザラシも見られる。しかしここは、タイカン4Sと水面を一緒に画面へ収めることが難しいとわかった。
映える写真を求めて東へ進む。バッキーにフィンドックティー、ポートノッキー、カレンといった漁港を抜け、岩だらけの駐車場にたどり着いた。
予定通り、初日はデブロン川の河口に寄り添う美しい街、バンフで体を休める。この街を選んだ理由は、50kWのDC充電器が設置されているから。タイカン4Sを満充電にするべく、一晩つないでおいた。
まだ観光シーズンは本格的に始まっていない。それでも、少なくない人が物珍しそうにクルマへ近寄って来ていた。
翌朝、空はどんよりグレー。タイカンのメーターには、320kmの航続距離が示されている。2日目に走るルートは238kmだから、余裕はある。
ウイスキーの原料になるのであろう、穀物畑の間に整備されたB9031号線を東に進む。時々、顔がひきつるような加速を楽しみながら。アクセルペダルを上手に操作しながらの追い越し加速も、体が覚えてきた。うっかりすると、速くなりすぎてしまう。
タイカン4Sの上に、さらに速いタイカンが2段階も存在するとは。ただただ驚くばかり。
デフォルトでは効きの弱い回生ブレーキ
海岸を東へ進み、アバディーンシャー地方の東端、ピーターヘッドで休憩を取る。大きな漁港街で、南へ下れば観光名所、スレインズ城の廃墟がある。ノースイースト250を楽しむうえで、立ち寄りたいスポットの1つといえる。
以前は城のそばまでクルマで乗り付けられたが、今は手前で降りなくてはならない。800mほど、海風を浴びながら歩く。古城は現代の安全基準に照らされることはないのか、無防備で手つかず。100年ほど、そのままの姿のようだ。
城が健在だった頃は、作家のブラム・ストーカーも訪ねているという。ドラキュラが住む城のモチーフになったらしい。八角形の大きなホールが特徴だろう。朝の9時半に訪ねても、気持ちが悪い場所に思えた。沖に見える洋上風力発電所とは対象的だった。
A975号線に出て少しタイカン4Sの能力を味わい、退屈なA90号線に入る。公式のノースイースト250のルートを外れ、アバディーンの街へ南下する。花崗岩で作られた歴史的な建築と、ポルシェとの写真を撮影するため。
アバディーンは石油産業で栄える街だが、純EVを多く目にした。そのほとんどが、テスラだった。
海岸線に沿った道はここで終わり。ノースイースト250は西に進路を変え、ピーターキュルターの街を抜けて、ディー川沿いに内地のブレイマーへ向かう。
疑問の残ったステアリングフィール
タイカンは、デフォルトではアクセルオフ時の回生ブレーキの効きが弱く、惰性走行する設定になっている。急な下り坂では、そのままだと回生ブレーキだけでは充分に速度を保てない。
ステアリングホイールのボタンで、効きを強くはできる。しかし、操作を減らしつつ可能な限りブレーキペダルを踏まずに済むように、アダプティブ・クルーズコントロールで速度を調整させながら運転していた。
そんな2日目のお昼過ぎ、ステアリングホイールのボタンを長押しすると、回生ブレーキをアダプティブ・モードにできると気付いた。このモードでは、下り坂や先行車に詰まった時など、状況に応じて減速量が強くなる。
運転中ずっと気になっていたから、もっと早く発見したかった。そして最後の疑問が残った。タイカンのステアリングフィールだ。
480kmを走った後でも、ポルシェとして好ましいものか判断には悩んだ。正確性や直進性に疑問の余地はない。加速感と同じくらい、ステアリングホイールの操作に合わせて、フロントノーズは間髪なく向きを変える。
重み付けも良い。フィードバックも感じ取れる。しかし、クルマとの一体感が充分ではないように思える。ポルシェのスポーツカーとして、本来なら輝くべき部分だと思う。
チャレンジングなコーナーを攻め込んでも、タイカン4Sはほとんどボディロールしない。オプションの電子制御されるPDCCアンチロールバーの効能だろう。グリップ限界は非常に高く、それ以上の領域に迫ることは一般道でははばかれる。
純EVというエクスキューズが最も不要
ブレイマーの街では、もう一度急速充電器のお世話になった。この場所で充電しなくても、スタート地点まで戻れる航続距離は残っていた。でも、さらにポルシェの英国本社までクルマを返すのに、有利な状況には保っておきたい。
充電を済ませる1時間を過ごすのに、ブレイマーの街は丁度いい。テスラの何台かが、ランチ目当てで訪ねてきた。タイカンはまだ珍しい存在だが、今後数年間で大きく道路の景色は変化するだろう。
整備の進まない充電インフラへの不平に触れることなく、純EVとの楽しい思い出を記せることは喜ばしい。スコットランドのハイランド地方は、人口密度の高い南部ほど充電器の整備は進んでいない。それでも、今回のタイカン4Sとの旅には充分足りていた。
タイカンのインテリアは、もう少し興奮度を高めても良いと思うし、ステアリングの感触はもっと豊かになれば理想的だろう。人工のエンジン音は354ポンド(5万3000円)のオプションらしいが、必要性を感じなかった。筆者はずっとオフにしていた。
充電の心配を抜きにすれば、ポルシェ・タイカンは純EVへ否定的な意見を覆すほど素晴らしく走る。価格は安くないものの、ポルシェの作ったクルマらしく設計や技術の水準は高い。
下から2番目のタイカン4Sですら、現実的な環境では極めて速い。少なくとも、純EVだから、というエクスキューズが最も不要なモデルであることは間違いないだろう。
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