英国のライトウェイトスポーツカー「ケータハム セブン」に、日本のスズキ製660ccターボエンジンを搭載した軽セブンが復活を果たした。
新型車「セブン170」は、初期セブンの精神を受け継ぎ、「簡素化と軽量化」を重視して開発されており、究極のピュアライトウェイトスポーツカーが目指された。従来型との違いを含め、新型セブンの特徴をお伝えしよう。
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文/大音 安弘、写真/ケータハムカーズ・ジャパン
【画像ギャラリー】バージョンアップした軽セブン!ケータハムセブン170を見よ
■バージョンアップされた軽セブン
ケータハムカーズ・ジャパンは2021年9月23日、ケータハムの新型車「セブン170」を発表し、同日より販売を開始した。価格は、539万~561万円となる。
復活を果たした軽セブンの新シリーズ「セブン170」が日本上陸
新型車を紹介する前に、先代モデルに相当する「セブン160」について簡単に紹介したい。2013年12月1日にセブンのエントリーモデルとして発売された「セブン130」は、スズキ製660ccエンジンと初期型のロータス セブンと同等のボディが大きな特徴であった。
登場間もない2014年3月10日には、性能向上を図った「セブン160」へと切り替えられている。英国では、当初よりスズキ製660ccエンジン搭載のセブンにはいくつかのスペックが設定されていた。
しかし、日本では軽自動車登録を前提としていたため、軽自動車のボディサイズとエンジンの性能を国内メーカーの自主規制と合わせた64ps仕様としていた。が、少量生産の輸入車はこれに該当しないことから、セブン130は市販前にセブン160に統合されている。
スズキ製660ccエンジンを積んだセブン160は大いに人気を呼んだ。当時の発表会には、ケータハムF1チームに加入した小林可夢偉選手も登壇
新車のケータハムとしては安価で、セブンとしては扱いやすく、しかもライトウェイトスポーツカーの魅力満載だったセブン160は日本でも大好評に。欧州でも高い評価を得たと聞く。
しかし、2018年には生産終了を発表され、その後の展開が注目されていた。その復活となるのが、今回の主役、セブン170というわけだ。
■原点回帰となる簡素化と軽量化を尊重
軽セブンは、ロータス・セブンの初期型の精神を受け継いでおり、ライトウェイトスポーツカーの魂である「簡素化と軽量化」に重きを置いている。新型となるセブン170では、それを忠実に再現するために、最軽量仕様の乾燥重量は、わずか440kgしかない。このため、パワートゥウェイトレシオは、193ps/tにもなる。
まずは簡単なスペックを紹介しよう。ボディサイズは、軽自動車規格内に収まる全長3100×全幅1470×全高1090mmで、ホイールベースは2225mmを確保。最低地上高は、100mmと低い。
エンジンは、スズキ製660cc3気筒ターボエンジンで、最高出力85ps/6500rpm、最大トルク116Nm/4000~4500rpmを発揮。最高速度は168km/hで、0-100km/h加速は、6.9秒と公表されている。ちなみに燃料のオクタン価は95なので、日本ではハイオク指定となる。
トランスミッションは5速MTのみ。足回りは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクライブアクスルを採用。ブレーキは、フロントがソリッドディスク、リアがドラムブレーキとなる。タイヤサイズは、前後とも155/65R14を装着している。
セブン160の経験を反映し、改良が加えれた部分もあるとみられるが、アナウンスされた改良点は新しいアロイホイール、リアLEDテールランプ、新ストライプデザインの3点と、Rグレードの新設定が挙げられている。
最もオリジナルに近いセブンが、この軽セブン。エントリーモデルのシグマ1600ユニット搭載車であっても、軽量なセブンだとかなり高性能なのだ
■ロードとサーキットの2タイプを用意
セブン170は、基本スペックは共通となるが、ロード志向の「S」とサーキット指向の「R」の2グレードを設定している。
セブン170Sは、ロードサスペンションパック、フルウィンドウスクリーンソフトトップ及びドア、ブラックレザーシート、MOMOステアリングホイールを標準とし、公道走行を主体とした標準的な仕様となる。
おなじみのセブンスタイルを踏襲するのが、セブン170S
対するセブン170Rは、スポーツサスペンションパック、コンポジットレースシート、4点式レースハーネス、LSD、MOMOステアリングホイール、カーボンダッシュボードが標準。
フロントガラスの代わりにエアロスクリーンとなり、レースロールケージもオプションで用意される。S仕様に標準となるヒーターも非装着となるスパルタンぶりだ。
レーシーでスパルタンな見た目となるのが、セブン170R
ケータハムカーズは、セブン170では従来型となるセブン160よりも多くのオプションを追加。さらに以前はなかったR仕様を加えたことで、新旧モデル両方のユーザーから喜ばれることを確信しているとコメント。また簡素化と軽量化はCO2排出量の削減にも貢献しており、同車がULEZとEURO 6の両方に適合していることも公表している。
価格については、従来型となるセブン160の400万円代から大きく上昇してしまったのは残念。今の時代の背景を考えると、ケータハムに生き残ってもらうための応援価格と受け取るべきかもしれない。
ただ日本独自の軽自動車のエンジンが、伝統的な英国ライトウェイトスポーツカーの環境性能向上に貢献することは、日本のクルマ好きにとっても誇れることだ。現在のケータハムカーズは、2021年4月より、日本のVTホールディングスの子会社となっており、日本とも縁の深い自動車メーカーでもある。
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