もくじ
ー ちまたのショップ 現状は?
ー アウディのスペシャルショップ
ー BMWのスペシャルショップ
ー ジャガーのスペシャルショップ
ー ポルシェのスペシャルショップ
ー 番外編1 あなたのスペシャリストは…
ー 番外編2 リスクに見合う価値あり?
ホンダ、ベビーNSXの真相 ミドエンジン新型、パテント情報 S2000後継ではない?
ちまたのショップ 現状は?
「諦めないでください。こういったトラブルは思ったよりも簡単に治すことができます」。とウェブサイトで訴えるのは、複雑なシステムを持つ最新モデルのメンテナンスと修理を専門とするショップだ。
30年前に比べてクルマの耐久性は著しく向上し、錆のせいで廃車などということはほとんど起こらない。現代のクラッシュテストで磨き上げられた強固なボディは、かつてのフォード・エスコートやローバー800などよりもはるかに長期に渡ってその頑丈さを感じさせてくれる。
いくつか例外はあるものの、現代のクルマの信頼性は素晴らしく高い。それでも保証期間が切れたV10のアウディRS6やジャガーXKR-S、距離を重ねたポルシェ、それに例え状態の素晴らしいルノー・メガーヌRSであっても、こういったモデルを所有しようと考えるのは悩ましい問題でもある。
そこで、われわれは素晴らしい走りが魅力的な最新モデルを得意とする英国のいくつかのショップを訪ねてみることにした。
彼らはこういったコンピュータ制御の車両を診断するのに必要な装置を持っているのだろうか? こういったモデルは実際信頼に足るのだろうか? そして、そのメンテナンスコストはどうなっているのだろうか?
なお、AUTOCAR JAPANでも、日本国内のショップニュースを毎日約10本ほどお届けしている。くわしくは「スペシャルショップ 新着ニュース一覧」を参照いただきたい。
それでは早速、英国のショップ事情を見ていこう。
アウディのスペシャルショップ
バッキンガムシャーにあるフォンテイン・モータースはアウディのスペシャリストとしてよく知られている。ここではSやRSといった高性能モデルの販売、メンテナンスや修理を行っているが、サービス・マネージャーのサニー・バームラによれば、アウディであればどのモデルにも対応するとのことだ。
フォンテインでは、主要なメンテナンスコストが670ポンド(10万3100円)にも上るV10のRS6のようなクルマも含め、アウディ全モデルに対応したメンテナンス価格表を準備している。
その5.2ℓエンジンも「メンテナンスさえ適切に行っていれば問題ありません」とバームラは言うが、このRS6は標準の560psに替えて710psを発揮するようにエンジン・マッピングが書き換えられており、ギアボックスに掛かる負担は相当なものであることに注意する必要がある。
「より新しいRS6は非常に信頼性が高いモデルです」と彼は付け加える。「走行距離64,000kmから97,000kmの車両を診てきましたが全く問題ありませんでした」
より魅力的なRS4もほとんどトラブルフリーだと言うが、カーボン詰りの原因となるクランクケース・ブリーザーへのオイル溜まりを防止するため、定期的な走行が必要となる。
V8のR8の主要なメンテナンスに掛かるコストは649ポンド(9万8600円)、B7世代のRS4の場合には549ポンド(8万3360円)である。フォンテインでは全ての作業でフォルクスワーゲン・グループの全ブランドに対応したウェブ・ベースの診断システムを使用している。
このシステムの使用料金は安いものでは無く、デジタルサービス用PCであるタフブックの価格が4000ポンド(60万7360円)、システム接続料金は1日あたり22ポンド(3340円)となっている。
つまり、フォンテインでのメンテナンスがディーラーよりも大幅に安いということはないが、常に最新のソフトウェアと診断ツールを使用することで、信頼性が高く、よりそれぞれの車両に合わせたサービスを提供することができるとバームラは言う。
BMWのスペシャルショップ
ゲリー・ウーラットは既に25年間も彼ひとりでアウトバーン・サービスを運営しており、その前の14年間はBMWのサービス工場で働いていた。
この経験によって彼にはBMWに関する膨大なノウハウが蓄積され、オーナーたちを保証期間中にもかかわらず自分のクルマを彼のショップへと持ち込ませる。
「全てのモデルに同じ電子制御が使われるようになっています」と彼は言う。「そして多くが些細な問題で何度もディーラーへ入庫しているんです」
ウーラットは、こういった問題に対していきなり結論に飛び付くのではなく、最初から最後まで順番に調べ上げていく。彼もBMWの診断システムを導入しており、「同じモデルだからと言って、常に同じ問題を抱えている訳ではないのです」とも言う。
部品の値引きが少なくなったせいで、最近ではショップとディーラーでの価格差が余りなくなっていると彼は認める。「15年前には35~40%程度の値引きがありましたが、いまでは10%です」しかし、ウーラットに頼めば、彼の39年に渡る経験に基づく車両状態に合わせたメンテナンスを受けることができる。
「最近ではレストアに興味があります」と彼は言う。E30のM3をベースに6気筒エンジンを積んだアルピナがリフトに載っていた。
「問題を抱えたV10のM5を修理するのに3000~4000ポンド(45万5520円~60万7360円)を掛けるのと比べても、新たな価値が見つけられるんです」
ジャガーのスペシャルショップ
ケビン・ブラックレーはボービントンにあるジャガー専門店のチルターンでアフターサービスの責任者をしている。
チルターンでは長年に渡ってユーズド・ジャガーの販売とメンテナンス、それに修理を行っており、ブラックレーはそこから幅広い知識を得て来た。
「2006年頃のモデルから、中古の電気部品を使うのが非常に難しくなりました。それぞれが専用設計になっているからです」と彼は言う。「新しいモジュールにプログラムを入力したものを組み込むと、VINナンバーがロックされてしまうんです」
メモリーを消去する専門家もいるが、これにより基本的には中古部品は使用できなくなった。それにモジュールには走行距離データも記録されているため、彼が知る一般的な修理工場で中古モジュールを使ったところ、それだけで「その車両のオドメーターには64,400kmが加算されてしまった」のだそうだ。
こういった理由から、チルターンでは新品部品だけを使用しており、同社のメカニックたちはメーカーのトレーニング・コースにも参加している。
メーカーや正規ディーラーによる専用診断装置の独占を禁じた新たな規制が導入されて以来、彼らはこういった専門サービスを提供できるようになった。
「こうした専用診断装置無しにできる事はほとんどありません」とブラックレーは言う。つまり、今回訪問した他のショップと同じく、チルターンでもメーカーのメンテナンス用有料サイトを利用しており、ジャガーの場合、そのコストは1500ポンド(22万7760円)になる。
「アップデートのために毎年約500ポンド(7万5920円)を支払っています」とブラッドレーは話す。「今ではプログラミングによって多くの故障を直すことができます」
例えば、2004年式のXKで見られる1速から2速への変速不具合は、新しいプログラムで改善することができた。
ポルシェのスペシャルショップ
ロバート・ピッカーリングによれば、ソフトウェアからは走行距離だけでなく、オーバーレブの有無(下取り価格への影響だけでなく、非常に重要な点だ)や操作ミスの履歴も確認する事ができると知っているのは役立つ知識だと言う。
このポルシェのショップは911 GT3を中心とした最も魅力的なユーズド・モデルの販売だけでなく、その工場では数十年に及ぶ経験に基づいたメンテナンスサービスも提供している。
英国でディーラー以外にポルシェ・インテグレーテッド・ワークショップ・インフォメーション・システムを備えているのはJZMだけだという。さらには過去のものまで含めた正規のポルシェ診断ツールを保有しており、外部ネットワークからポルシェ・ファクトリーに直接リンクすることで、最新の再プログラミングのアップデートも可能となっている。
シニア・メカニックのアンディ・デヴィッドはJZMで15年間働いており、エンジンのオーバーホールを専門にしている。その守備範囲は広く、スタンダードなフラット・シックスから、RSR用エンジン、さらに直近では1968年製2.2ℓにまで対応している。
「ひとつのエンジンをオーバーホールするにはだいたい40時間から50時間掛かります」と彼は言う。「わたしの場合、2週間で1台のペースでオーバーホールを進めていて、現時点では3台か4台の作業中です」
デヴィッドは長年に渡ってポルシェのメンテナンスに携わってきたことで、空冷時代の911の品質の高さと頑丈さ、996における品質劣化や、その後に続く997と991での復活も目の当たりにしてきた。
996のインターミディエイトシャフト(IMS)のベアリング不具合について、彼の同僚のリッキー・ナッシュは「ほとんどがスクラップになったか、修理済み」だと言う。そしてもちろんいまやこの不具合に対する解決策も用意されている。
シリンダー・ボアの摩耗は依然として997が抱える問題だが、最新のエンジンにはなんら問題はない。しかし、「そう断定するには時期尚早ですが」とナッシュは付け加える。
番外編1 あなたのスペシャリストは…
愛されるクルマには、個人経営から、多くのスタッフが働く巨大なガレージのようなところまで、様々なかたちでショップが存在する。
ドーセットにあるKTRは元々チューニング・ショップだったが、今ではルノーのスポーツ・モデルの販売、メンテナンスや修理まで行っており、英国を代表するスペシャリストだと言う。専用の診断装置にメーカーでのトレーニングを受けたメカニックたちとローラー台まで備えたこのショップでは、ユーズドのRSモデルの販売も行っている。
メガーヌRSでは走行距離は問題ではないが、時折些細な不具合も見られる。そのひとつがフロント・サスペンションからの異音である。ルノー・ディーラーではハブ・ユニット交換となり1000ポンド(15万1840円)掛かるこの修理も、ダービーにあるアーロン・オートでは175ポンド(2万6572円)で対応可能だ。
一方、スマート愛好家にはワトフォードにあるS2スマートがある。ここでは最新の診断技術と長年にわたる経験、さらには99ポンド(1万5032円)から始まる定額のメンテナンスメニューが準備されており、フォーツーとロードスターのクラッチ調整には無料で対応している。
スマートでは冷却水漏れが定番の不具合となっているが、フットウェルへと至る水漏れ経路のチェックを25ポンド(3796円)で行っており、カブリオレ・モデルの屋根の調整は30ポンド(4555円)、弱点のひとつであるドアハンドルの交換は55ポンド(8351円)となっている。
さらにS2ではわずか150ポンド(2万2776円)からエンジン出力アップのプログラム変更を行っており、ロードスターを115psへと引き上げる最も高価なメニューでも245ポンド(3万7201円)である。
番外編2 リスクに見合う価値あり?
アウディRS4 B7 2006年~2008年
信頼性は高いが、日常的に使用していないとクランクケース・ブリーザーにオイルが溜まり、ヘッド詰まりの原因となる。クアトロ・システムとトランスミッションの耐久性は高いが、DRCダンパーが弱点だ。
BMW M5 V10 2005年~2010年
残念ながら、ギャンブル好きでもなければ避けた方が賢明だろう。「エンジンがブローした場合、完全に修理するのは不可能です。」とゲリー・ウーラットは話す。「偉大なモデルですが、問題が多すぎます」
ジャガーXK 2006年~2014年
アルミニウム・ボディのXKでは塗装の下からふくらみが発生する事があるが、穴にまで至ることはない。「素晴らしい、信頼性の高いクルマです」と言うのはチルターンのケビン・ブラックレーである。
ポルシェ911 1994年~1998年
JZMメカニックのアンディ・デヴィッドは、全体的に993世代の911は非常に頑丈で素晴らしいエンジニアリングで作られたモデルだと言う。しかし、バルブ・ガイドの不具合はよく見られる症状である。
ルノー・メガーヌRS 2008年~2016年
1990年代後半のルノー製モデルに比べ遥かに耐久性は高い。サスペンションの異音への対応は、そのショップが安価な修理を行えるかどうかの試金石だ。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?