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ジャガーXFRはスポーツとエレガンスを、華麗に表現していた【10年ひと昔の新車】

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ジャガーXFRはスポーツとエレガンスを、華麗に表現していた【10年ひと昔の新車】

2009年、ジャガーXFに5L V8スーパーチャージドエンジンを搭載する「XFR」が追加設定された。従来の「SV8」に代わるハイパフォーマンスサルーンはどんな個性を持っていたのか。Motor Magazine誌では上陸したばかりのXFRにさっそく試乗している。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年9月号より)

優雅なXFに加えられた「R」らしい演出とパフォーマンス
ニューXFのフラッグシップモデルとして、新たに設定された「XFR」。そのフロントマスクには、クロームに輝くメッシュのアッパーグリルと黒メッシュに仕上げられたロワーグリル、その左右下側のクロームの枠を備えたやはり黒メッシュ仕上げのエアインテークが採用された。

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そして、ボンネット上部にはXKRと同様に大型のルーバーが左右に配され、さらに20インチサイズという大径のツイン形状7本スポークホイール、専用のサイドシルエクステンション、トランクリッド後端の小ぶりなスポイラーや4本出しマフラーを包み込むリアバンパーデザインなどで、優雅なXFのデザインに「R」らしい演出が加えられている。

室内へ乗り込んでみると、「R」ロゴが入れられた新デザインの前後シートに目を奪われる。メーターパネルでは、速度計と回転計の指針が赤いものとなっていることに気が付く。ハンドルのスポーク部にも「R」のロゴが入る。

エンジンスタートボタンを押し、5.0L V8スーパーチャージドエンジンを始動させる。アイドリング時のサウンドは室内では静かだが、アクセルペダルを踏み込んでスタートさせると、力強くいかにもV8エンジンらしい音を響かせながら走り出した。

そのハンドリングはしっとりとした感触で、とてもいい。XFRにはクイックレシオのステアリングラックが装着されていることの効果でもあるのだろうが、ハンドルの操作に対してクルマの動きがごく自然なものに感じられる。ワインディング路に入っても、ハンドルを操作する手のひらの動かし方に沿った挙動が感じられて、何だかとても気持ちいい。

トルクコンバーターがアップグレードされ、クラッチプレートが追加されるなどの改良が施されたZF製の6HP28型6速ATは、最大トルク625Nm、最高出力510psのエンジンパワーをスムーズにリアタイヤへと伝える。パドルシフトも備わるが、Sモードの賢さは相変わらず素晴らしく、ちょっとスポーティに走りたいといったレベルであれば、ATに変速操作を任せたままの走りで十分な適応ぶりを示してくれる。

ハイパフォーマンスなのに、どうしてこんなに快適なんだろう
XFRには、路面状況や運転スタイルに合わせてダンパーの設定を細かく連続可変させるアダプティブダイナミクスと、リアタイヤのトルク配分を適正化するアクティブデファレンシャルコントロールが標準で装備される。今回の試乗ではその効果をフルに実感することはなかったが、それでも日常的な走行シーンにおける快適性が犠牲にされていないことには驚かされた。

一般路でもワインディング路でも、旧来のハイパフォーマンスモデルに対する固定観念をあっさりと捨て去ってくれる。それでいてアクセルペダルを踏み込めば、エンジンの力強さとしてだけでなく、ダイナミクス性能の全体として、強烈なパフォーマンスを発揮してみせる。

このクラスのモデルには、どれだけ独自の乗り味や満足感を味わわせてくれるのかということが大事だ。どれだけパワーがあるとか、最高速度がこんなに高いとか、加速タイムが素晴らしいとか、サーキットのラップタイムが優れているとかという数字で表現されるものは、備えているのが当然のこと。それを実現した上で、内外装のデザインも含めて、さらにどれだけそのモデルでなければ味わえないものを備えているのかということが、高価で高性能であることの奥深さとして必要だと思う。

ジャガーには、乗っている人間の気持ちを豊かにしてくれるようなしなやかなパフォーマンスと、高い性能を両立させるクルマづくりのノウハウがあり、このXFRからはそれが存分に感じられる。ドイツのプレミアムブランドにも、もちろんそれぞれの個性があるが、それらを知っていればいるほど、ジャガーでなければ味わえないこの特質を理解できるのではないか。

親会社の国がどこになろうとも、その下でしたたかに自分たちが考える道を貫く術を備えたジャガーの人々。XFRを走らせていると、そんな彼らの「どうだ、悪くないだろ?」という言葉と、会心の笑い声が聞こえてきた気がした。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁/写真:堀越 剛)

ジャガー XFR 主要諸元
●全長×全幅×全高:4970×1875×1460mm
●ホイールベース:2910mm
●車両重量:1960kg
●エンジン:V8DOHCスーパーチャージャー
●排気量:4999cc
●最高出力:375kW(510ps)/6000-6500rpm
●最大トルク:625Nm/2500-5500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:前255/35R20、後285/30R20
●JC08モード燃費:6.6km/L
●車両価格:1200万円(2009年当時)

[ アルバム : ジャガー XFR はオリジナルサイトでご覧ください ]

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