インテルラゴス・サーキットを舞台にF1サンパウロGPの決勝レースが行なわれ、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが優勝した。アルファタウリの角田裕毅は9位だった。
決勝レース時スタート時の気温は21度、路面温度は47度というコンディション。上空には青空が広がった。
【ランキング】角田裕毅は14番手に浮上:F1ドライバーズランキング(サンパウロGP終了時点)
スタート前からレースは波乱の展開となった。2番グリッドからスタートする予定だったフェラーリのシャルル・ルクレールは、フォーメーションラップのターン7でクラッシュ。スタートを迎えられぬまま、サンパウロGPを終えることになった。なお彼は後の取材に対し、エンジントラブルがクラッシュのきっかけになったと答えている。
19台がグリッドに並び、一斉にスタート。ほとんどのマシンがソフトタイヤを履く中、ウイリアムズのローガン・サージェントだけがミディアムタイヤを選んだ。
ただスタート直後にクラッシュが発生。ハースのニコ・ヒュルケンベルグと接触し、バランスを崩したウイリアムズのアレクサンダー・アルボンが、もう1台のハースであるケビン・マグヌッセンと激しくクラッシュ。アルボンとマグヌッセンのマシンは大破し、ターン1にマシンを止めた。
またクラッシュしたマグヌッセンは、マクラーレンのオスカー・ピアストリに追突。ピアストリのマシンも大きなダメージを負った。またアルファタウリのダニエル・リカルドは、クラッシュしたマシンから外れたタイヤが当たり、リヤウイングを破損した。
このクラッシュによりレースは赤旗中断。各車はピットレーンに戻り、再開の時を待った。
中断時の順位は、ポールポジションスタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が首位をキープ。2番手には6番グリッドから素晴らしいスタートを決めていたランド・ノリス(マクラーレン)、3番手にはメルセデスのルイス・ハミルトンが続いていた。
また角田裕毅は16番グリッドからのスタートだったものの、混乱に乗じて10番手までポジションを上げることができた。
なお赤旗中断中にピアストリとリカルドのマシンの修復が完了。レース再開の隊列に並ぶことができた。
20分以上の長い中断を経て、現地時間14時21分にレース再開。複数のマシンがこの間にタイヤを交換した。
レース再開はスタンディングスタート。15台が一斉にスタートを切った。ハミルトンはノリスに並びかけたが、ノリスが2番手をキープ。ハミルトンは逆に一瞬の隙を突かれてアストンマーチンのフェルナンド・アロンソに先行を許してしまった。
角田裕毅はアルピーヌ勢と激しいバトルを展開。再スタート直後にはピエール・ガスリーとサイド・バイ・サイドとなったが、最終セクターで一瞬タイヤをダートに落とした隙に、エステバン・オコンに先行され11番手に落ちてしまった。
先頭を行くフェルスタッペンと2番手ノリスは異次元のペース。3番手アロンソ以下を引き離していく。ノリスはフェルスタッペンに並びかけるが、そう簡単には抜かせないとペースアップ。8周目の1コーナーでは0.1秒まで接近したものの、その周を終えた段階で一気に1.5秒差まで開いた。
13周目、角田はメインストレートでオコンをオーバーテイク。10番手入賞圏内に入った。続く14周目にはセルジオ・ペレス(レッドブル)がジョージ・ラッセル(メルセデス)を抜き、5番手に上がった。角田に抜かれたオコンは、14周目を終えた時点で早々にピットイン。ミディアムタイヤに履き替えた。
17周目、角田がターン10で左側のタイヤをコース外に落としてしまうミス。アルファロメオのバルテリ・ボッタスに先行を許してしまい、11番手に落ちてしまった。
ラッセルを抜いた後、ペレスは前を行くハミルトンを攻めた。そして18周目にこれを攻略。4番手に浮上した。ペレスに抜かれた直後、ハミルトンがピットイン。その1周後にはラッセルもピットに入った。このメルセデスの動きに反応する形で、ペレスもピットイン。結局ペレスは、ピットストップのタイミングの差により、ハミルトンに再び前に出られてしまった。ペレスはメルセデスのピットストップに反応したことに、無線で不満を訴えたが、23周目にハミルトンを難なく攻略することができた。
タイヤを交換したメルセデス勢のペースはまったく上がらない。まだタイヤを変えていない角田と同等のペースだっただけでなく、アストンマーチンのランス・ストロールに立て続けにオーバーテイクを許してしまうことになった。
26周を終えた段階で、3番手を走っていたカルロス・サインツJr.(フェラーリ)がピットイン。このタイミングでガスリーと角田もピットに入った。その1周後には先頭のフェルスタッペンとノリスもピットインした。
サインツJr.はコース復帰後すぐにメルセデスのランデブーに追いつき、35周目にラッセルをオーバーテイク。37周目にはハミルトンも仕留めた。メルセデスの厳しい状況はさらに続き、今度はガスリーのプレッシャーにさらされてしまう。そして43周目のターン1で、ガスリーがラッセルをオーバーテイク。さらに角田に迫られたところで、ラッセルはたまらずピットストップし、ソフトタイヤに履き替えた。
47周目を終えた段階で、ペレス、ハミルトン、ガスリーが実質的に2回目のピットストップを行なう。角田はこれに反応せず、周回を続けた。3番手を走っていたアロンソもペレスの1周後にピットへ入り、ペレスの前でコースに復帰した。
2回目のタイヤ交換を終えたガスリーのペースは素晴らしく、同じタイミングでピットインしたハミルトンをオーバーテイクし、8番手に上がった。52周を終えた段階でサインツJr.がピットへ。ガスリーの2秒前でコースに復帰した。その前を行っていたストロールもサインツJr.の動きに反応し、53周を終えてピットに戻った。
角田は55周を走り終えた段階でピットへ。ソフトタイヤに履き替え、メルセデス勢の後方10番手でコースに復帰した。ただピットストップを遅らせたことで、メルセデス勢との間には大きな差ができていた。首位フェルスタッペンは、56周を走り終えた段階でピットへ。ノリスはピットストップを遅らせる戦略に出た。
57周目にラッセルがスローダウン。ピットに戻り、リタイアすることになった。これで角田は労せず9番手に上がった。
ノリスは59周目に最後のピットストップを消化することになった。2番手でのコース復帰とはなったが、先頭のフェルスタッペンとの差は13秒以上まで広がってしまうことになった。
コースに復帰したノリスはフェルスタッペンを全力で追った。しかし最終的には届かず、フェルスタッペンが優勝。1シーズンの最多勝記録を更新する、今季17勝目を挙げた。ノリスは2位だった。
3位に入ったのはアロンソだった。アロンソはペレスに厳しいプレッシャーをかけられ続けていた。そして全71周レースの70周目に、ペレスがオーバーテイクに成功し、勝負は決したかと思われた。しかしアロンソは諦めず、最終ラップにペレスを抜き返し、そのままチェッカーまで逃げ切ってみせた。最終的なふたりの差は0.053秒だった。
5位にはもう1台のアストンマーチンであるストロール。最近は苦しいレースが続いていたアストンマーチンが、ここに来てダブル入賞を果たした。
6位サインツJr.は、レース終盤にシフトの不具合を訴えるシーンもあったが、なんとかチェッカーまで走り切った。
7位ガスリーを挟んで、8位ハミルトン。メルセデス勢は今回まったくペースがなく、アルピーヌ勢にも太刀打ちできなかった。
角田は最終的には9位だった。おそらくチームは、ガスリーやハミルトンのペースが終盤大きく落ち込むと踏んで、最後のピットストップを遅らせたのだろう。しかしガスリーとハミルトンのペースは思ったほど落ちず……角田も懸命に前を追ったが、結果的にハミルトンに7秒届かなかった。最後のピットストップ前にはガスリーを追う展開だっただけに、ピットストップを遅らせたことでアンダーカットを許し、それを取り戻すことができなかった、悔やまれる結果と言えよう。
それでも9位に入り、2ポイントを加算。スプリントでの3ポイントと合わせ、角田は今回のグランプリで5ポイントを稼いだ。
10位にはオコンが入り、アルピーヌもダブル入賞を果たした。
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