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【電動化フラッグシップ】 新型V12『レヴエルト』にランボルギーニのプライドを見た!

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【電動化フラッグシップ】 新型V12『レヴエルト』にランボルギーニのプライドを見た!

車名は内燃機とモーターの混成=ハイブリッドを意味

パワートレインの電動化、とりわけハイブリダイゼーションに前向きな姿勢をみせるランボルギーニ。その新世代のフラッグシップとなるのが、アヴェンタドールの後継に位置づけられるレヴエルトだ。名前は伝統に則って伝説的な闘牛の名から戴いているが、その意は”混合”となる。つまり内燃機とモーターの混成=ハイブリッドを意味しているわけだ。

【画像】ランボルギーニの新フラッグシップ、レヴエルト 全65枚

レヴエルトは厳密にカテゴライズすればPHEV、つまり外部充電やモーター単独による一定距離の走行が可能なプラグインハイブリッド車ということになる。センタートンネル部に搭載するバッテリーの容量は3.8kWhで、モーター走行時の航続可能距離は発表されていない。

しかし倍量のバッテリーを積むフェラーリ296GTBやマクラーレン・アルトゥーラの公表値から推すれば、ベストエフォートで15km程度、現実的には10km以下というところだろう。ちなみにモーター走行時に駆動するのは前軸に置かれた2つのモーターで、つまりその際のレヴエルトはFF状態ということになる。

と、一応そうやってPHEVの体を採りつつもレヴエルトの本懐はこの150ps/350Nmを発揮する2つに加えて、後軸側に配された150ps/150Nmと、合計3つのモーターを多様に駆使しながら、伝家の宝刀である12気筒を搭載するこのクルマの動力性能や運動性能を新次元に引き上げることだ。システムの合計出力は1015psと大台超えを果たし、0-100km/h加速は2.5秒、最高速は350km/hオーバーの高みに到達する。

アヴェンタドールのエンジンと中身は別物

主役となる6.5L V型12気筒には、”L545″というコードネームが与えられた。L539となるアヴェンタドールのそれとはボア、ストロークなど骨格的な共通項はあれど中身は別物で、エンジン単体の最高出力は825ps。これを9250rpmで発揮し、レッドゾーンは9500rpmに設定される。

エンジン本体もL539に対して17kg軽い218kg。センターモノコックのみならずフロントセクションにもカーボンを用いるなど、電動化に伴う重量増を出来る限り相殺しようと軽量化には相当力が入っているようだ。

前述した通り、センタートンネルには駆動用バッテリーが収まるため、レヴエルトはエンジンの背後に新設した後軸モーターと一体の横置き8速DCTを搭載。縦置きミッションをセンタートンネルに配するパオロ・スタンツァーニ発案の”カウンタック・レイアウト”は、アヴェンタドールをもって終了ということになった。

となるとホイールベースの大幅な延伸が見込まれるが、ミッション長の工夫などもあってアヴェンタドール比で80mm増に抑えられている。それでも全長は約4950mm、全幅は約2030mmと、もはやハイパーカーの側に片足を突っ込んだような寸法だ。

ドライブコンフィギュレーションは従来の『ANIMA』とは別に、モーター側パワートレインのマネジメントを選択するモードが加わっている。選択肢は走行時充電に対応するリチャージ、エンジンとモーターをバランスよく御するハイブリッド、そしてモーターの能力を最大限に発揮するパフォーマンスの3つだ。

加えてANIMAには従来のストラーダ、スポーツ、コルサの他、新たにチッタが加わった。イタリア語で市街を意味するそれはモーター駆動固定のモードで、住宅地のガレージから最寄りの市街路へ走る際などに重宝しそうだ。

日常域でのマナーは劇的に改善

まずは市街地モードで早朝の都心を撮影現場へと向かう。音もなく走るレヴエルトの車室空間は、エクステリアの印象を覆すように異世界的だ。スイッチ類も一新され、よりバイク的になったところで、普通にDシェイプのステアリング形状がむしろ物足りなくみえてしまう。

アヴェンタドールから干支ひと回りは設計年次が若いと考えれば当たり前の話かもしれないが、日常域でのマナーは劇的に改善されている。乗り心地の良さはダンピングやマウント類の適性に加えて、タイヤ銘柄の縦バネ特性も好作用しているように窺えた。

そしてエンジン音のないモーター走行時に伝わってくるのは、どうやら凹凸の突き上げや小石の巻き上げにまつわるロードノイズにさえ配慮がなされているのではないかということだ。単に速いというだけではなく、快適性にも一定の配慮がなされているというところに、レヴエルトがランボルギーニのシグネチャーたる所以が垣間見える。

速度域が高まれどGT的な柔軟性が削がれていくことはない。稼働するエンジンはしずしずと回り、変速も当然ながら滑らかだ。フロントセクションもカーボン化されたシャシーは不快な共振もなく、むしろしなやかにも感じさせてくれる。ランボルギーニの強面なイメージを支持する向きに対して、この洗練ぶりには物足りなさを覚えるのではと、ちょっと心配になるほどだ。

そのぶん、ということだろう。ANIMAの設定による性格の違いは従来以上にメリハリがつけられている。エンジンも積極的に稼働するスポーツモードでは足回りが明確に引き締まり、変速も積極的に高回転側を捕まえるなど、パドルを使わずともアグレッシブな走りに充分応えてくれる。

コルサ&パフォーマンスモードの全開は強烈

スポーツモードで印象的なのは前軸の差動によるベクタリング効果で、たとえば高速に出入りするループでもはっきりと体感出来るほどの旋回力が加えられていることだ。峠道をオンザレールでキビキビと駆け抜けるような場面を想定してのセットアップなのだろう。

実際、首都高のような幅狭な屈曲路でもぐんぐんとアペックスに巻き付いていくような挙動によって、車体の大きさや車重が気にならない。逆にコルサでは積極的なベクタリング効果よりも全輪駆動的なスタビリティが優先され、ニュートラル指向の運動性になることは先のサーキット試乗で確認できた。このハンドリングにまつわる考え方は、ホンダNSXや、フェラーリSF90ストラダーレといった前軸2モーターのモデルとも共通している。

コルサ&パフォーマンスモードでの全開は思わず息を呑む強烈なものだ。スペックに疑いの余地はない。もはや公道での使用は憚られる領域だが、加速中でも多少の凹凸をものともせずサスがしっかり追従してくれるので、しっかり接地しているという安心感がある。エンジンはL539世代に対して回転フィールも一段と滑らかになっただけでなく、9000rpmオーバーまでパワーをしっかり乗せつつ、整った高音を聴かせてくれる。

レヴエルトの完成度はかなりのもので、この先のリファインの余地が想像できないほど隙がない。これぞフラッグシップのプライドということか、前例のないメカニズムを搭載しながら、品質においても走りにおいても相当に詰めた仕上がりであることが伝わってくる。ランボルギーニの新章は、晴れ晴れしい幕開けになったといっていいだろう。

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