軽い気持ちでDIYしたら痛い目にあった自動車カスタムのエピソード集
世の中「お金が全て」とはいわないが、お金はあるに越したことはない。その良い例がクルマのDIYだ。本来なら整備士の資格を持つメカニックや板金塗装のプロにお願するべきことを「お金が無い」という理由で知識や経験の無い素人が行った結果、大失敗を招いてしまうことも少なくない。個人的な話で恐縮ではあるが、ここで紹介する『失敗談』は自分自身、またはボクの周囲で実際に起こった実例である。
一歩間違えば大事故に発展! DIYメンテナンス&カスタムで注意すべき「NG行為」7つ
DIYやっちまったエピソード01/ハンドル交換で顔面を強打して…鼻血ブー
今から数十年前、昔々の遠い記憶のお話しである。当時はエアバッグなどは存在せず、クルマを手に入れたらステアリングを交換するのがドレスアップの基本であった。街道沿いのカーショップでモモのジャッキー・スチュワートを手に入れたボクは、純正の巨大なハンドルを外すために固定しているナットを外し始めた。
しかし、中古で購入したトヨタ・セリカのハンドルは固着しており、ナットを緩めてもステアリングがコラムから取り外せない……。本当なら数千円程度で手に入る「ステアリングプーラー」と呼ばれる専用工具を購入するべきだったのだろうが、ステアリングとボスを購入したお財布の中に工具を買うほどの資金は残っていなかった。
そうなると若気の至りは実力行使あるのみ。純正のステアリングが曲がるほど引っ張ってみたり、裏側から叩いてみたり…。最終手段として両腕でステアリングをつかみ、体重を掛けて「ガンガン」と引っ張った結果、固着したステアリングが急に外れ、勢い余ったステアリングで顔面を強打。
見事に鼻血ブー状態となりシャツが鮮血で染まっていったのである。工具さえあれば、またはシャフトに軽くボルトを噛ませておくという知識さえあれば鼻血ブーの悲劇は起こらなかったに違いない。
DIYやっちまったエピソード02/フル加速の瞬間…天井が見えたという悲劇
これはボクの先輩であるIさんのお話し。とある日曜日、愛車のスカイラインを乗り回すI先輩に連れられ、バケットシートを物色するためにカーショップへと連行された。当時、バケットシートは高嶺の花であり、街の兄ちゃんがおいそれと手を出せるシロモノではなかったのだが、唯一「TRD」のフルバケットシートは無理をすれば手が届く存在であった。
そこで、カーショップでバケットシートを見ていると、TRDのフルバケットシートと同じ(ような)デザイン、同じ(ような)シート生地でできた「コピー品」を発見。その金額はTRD製の約1/3とリーズナブルということもあり、I先輩のターゲットはコピー品へと変更されたのである。
コピー品とはいえ純白のゲルコート加工が施されたFRPが背面に覗き、水色のシート生地が張られたシートは輝いて見えた。先輩宅のガレージへと戻り、装着作業を終えたシートは輝いて見えたのだが、その1週間後、電話で呼び出されたボクが見たものは腰の部分からバッキリと折れた無残なバケットシートであった。
先輩曰く「フル加速した瞬間、天井が見えたぜ」とのこと。危うく事故は免れたが、死ぬかと思ったそうだ。折れたシートを見るとFRP部分が薄く、素人のボクから見ても強度が無いことは一目瞭然。I先輩の大失敗は若き日のボクにとって「コピー品はヤバイ」という良き教訓になったことは言うまでもない。
DIYやっちまったエピソード03/ジャッキアップをするなら必ず「馬」を使え!
友人Kから「タイヤ交換をするから手伝って」と連絡が入り駐車場へと急行すると、すでにホイールナットが緩められタイヤを取り外す状態まで作業は進んでいた。砂利が敷かれた場所で車載のパンタグラフ式のジャッキを使っていたこともあり、ボクが「ウマ(リジットラック)は?」と聞くと、Kは「そんなの買う金ねーし」と即答。
危険な予感はしたのだが、そのまま作業を続けていると「バコン」という轟音とともに急にクルマが傾いた。同時に「があぁぁぁ」という絶叫が駐車場に響き渡り、慌ててKを見ると頭を抱えて悶絶中。タイヤを外した瞬間にジャッキが倒れ、落ちてきたクルマのフェンダーがKの頭を強打したのである。
幸いにもタンコブ程度で済んだのだが、ジャッキを掛ける時には車体を固定する「ウマ」を使う必要性を思い知らされたKとボクであった。今思えばクルマの下敷きにならなかったのは奇跡であり、思い出しても鳥肌が立つ…。
DIYやっちまったエピソード04/ホイール交換の時にはナットやボルトを確認するべし!
友人がクルマを買い換えるため、不要になったタイヤ付きのホイールをもらった時のお話し。某国産車から取り外したホイールはP.C.Dが同じだったこともあり、ボクの愛車であるVWゴルフにジャストフィット。しかし、輸入車であるVWゴルフはホイールナットではなく球面形状のハブボルトで固定する方式なので、取り外した純正のハブボルトを使ってホイールを固定することにした。
純正のスチールホイールと比較するとかなりスポーティな印象になり悦に浸っていたのも束の間、走行中に「ガゴガゴガゴ」という異音と大地震に遭遇したような振動に襲われたのである。慌ててクルマを路肩に寄せて確認するとホイールを固定しているはずのボルトが2本も無くなっていた。
友人が勤める修理工場に電話をしてセルフローダーで迎えに来てもらったのだが、工場に運び込まれたクルマを見て「お前、ハブのハブリングも入ってねーし、もしかして純正のボルトを使っちゃった?」と聞かれたので「使ったよ」と回答。すると「バカじゃねーの、ボルトが2巻きくらいしかハブに噛んでねーぞ。専用ボルトとは長さも形状も違うんだよ」と怒られてしまった。
専用のボルトを買うのをケチり、純正のボルトを使ってしまったボクの大失態である。もしもあの時、スピードを出していたなら大惨事になっていた可能性は…限りなく大きい。大きな事故にならなくて本当に良かったと心から反省した出来事であった。
純正以外のホイールへと交換する場合、ハブの直径が異なるのならしっかりとハブリングを装着し、ホイール専用の長さと形状を持つボルトやナットを使って取り付けること。走行中にタイヤが外れる事故を防ぐためにも、頭に入れておくべき基礎知識である。
DIYやっちまったエピソード05/スピードを出すなら空気の力をナメたらあかん!
S15シルビアに乗っていた友人N。某中古パーツショップで手に入れたというフロントスポイラーを取り付けたのだが、格安で購入したこともありバンパースポイラー本体以外にステーなどの付属品はなかったという。
純正バンパーを取り外し、4本の鉄板ビスで固定して作業は終了。見た目のイカツさはかなりのもので、スポイラーを取り付けただけで100psはアップしたような印象へと変身さえることに成功した。ところがネジ止めしただけの取り付け作業では強度が足りるはずもなく走行中にスポイラーが脱落。
自らの下回りにスポイラーを巻き込んでしまったS15はコントロール不能に陥り、無残にも縁石に足まわりを強打してしまったのである。公の場で言うには憚られる速度域で走っていたNにも責任はあるが、ある程度の速度域を越えると空気抵抗は想像以上に大きくなり、たった4本のビスではスポイラーに掛かる力を支えることはできなかったのである。
「空気の力をナメたらあかん!」という良い勉強になったようだが、Nが支払った授業料(修理代)は決して安くはなかったらしい。
【まとめ】一歩間違えると大事故に…素人が軽いノリでDIYするのはとっても危険
ここで紹介した5つの失敗談はほんの一例に過ぎない。知識の無いDIYは失敗の元であり、お金が無いからといって、素人が作業を施すのは大きなリスクを伴う可能性が高い。自分だけが痛い目を合うのなら良いのだが、一歩間違えばクルマは凶器となり他人に危害を与える危険性を秘めている。「お前がいうな」との声が上がりそうだが、経験者は語る…ということで納得いただければ幸いである。
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みんなのコメント
若いころからDIYやってるし回りもプライベーターが結構いるけど
この記事のようになったやついないけど。ちょっとドンくさすぎるんじゃないの?