職人たちの手作りで生まれたレーシングカーは、無残にも黒い金属の塊となってしまった。
つちやエンジニアリングの25号車HOPPY Schatz GR Supra GTが、スーパーGT第4戦富士のレース中に出火。燃料に引火したことで大きな火災となり、“ホピ子”の愛称で知られる車両は大きなダメージを負った。
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実はその数十周前、同じくGRスープラをベースとした車両で、昨年までつちやエンジニアリングがメンテナンスを担当していた244号車HACHI-ICHI GR Supra GTも火災に見舞われていた。244号車に関しては、エキゾーストパイプの先端が脱落する様子が映像でも捉えられていたが、つちやエンジニアリングの土屋武士監督によると火災後ピットに帰ってきた25号車もエキゾーストパイプがなくなっており、2台で同じ症状が発生していた可能性が高いという。
「まずは今回、レースを止めてしまい、皆さんに迷惑をかけてしまったことは、本当に申し訳なく思います」と土屋監督は言う。
「エキゾースト(パイプ)のエンドが落ちたことで、エキゾーストの熱でクルマを燃やしてしまい、火がついてしまい、うちの場合はそれでフューエルラインを燃やしてしまい、炎上した……というのが最も可能性が高いと思われます」
「整備ミスはなかったし、本当に2台が同じ原因なのであれば、構造上のウィークポイントだったのかもしれません」
車両は広範囲に燃えてしまったように見えるが、ダメージの状況について土屋監督に尋ねると、25号車はフレームまで燃えてしまったため「使えない状況」とのこと。平たく言えば、全焼により廃車ということになってしまった。
「プライベーターが手作りでやっているものなので(車体を)買ってくることもできないし、これ(現行車両)にお金を使ってしまっているので、パーツを買うお金もない。正直次のレースと言われても、クルマもないしお金もないという状況です」
「ただ、ホッピーさんをはじめとするスポンサーさんはいなくなるわけではない。(野中)誠太も無事戻ってきてくれた。誰もいなくなっていません。とはいえ今の段階では、いつ、どうやって、というのが見えない状況ですが、必ず戻ってきたいと思っています。プライベーターの灯は消したくないです」
「もしかすると何年もかかっちゃうかもしれませんが、しっかりクルマを準備して戻ってきたい。今はその思いしかありません」
火災時にマシンに乗っていた野中誠太は、念のため病院に向かったものの異常はなかったという。沈痛な雰囲気のピット前では、病院から戻ってきた野中を土屋監督が抱き締める一幕があった。
燃え盛る車両が13コーナーの坂を下ろうとした時、身を挺して車両を守ろうとした野中。土屋監督には、野中に対する申し訳なさと感謝、様々な感情が去来したようだ。
野中とどんな言葉を交わしたのかと尋ねると、土屋監督は涙を流しながらこう語った。
「ありがとう、ごめんな、と。クルマを守ってくれて……。あの情景が脳裏に焼き付いています」
「だから、辞めるわけにはいかないんで」
これまでも様々な逆境を乗り越えてきたつちやエンジニアリング。またも大きな試練が襲い掛かることとなる。土屋監督の心情も察するに余りあるが、それでも彼は諦めていない。
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