大幅改良で走りにも期待 新型ランクル300
text:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
【画像】ラリーで磨かれた走り【新型ランクル300とGRヤリスを比較】 全114枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
トヨタから新型ランドクルーザーが発売された。
新しいランドクルーザーの特徴の1つは、TNGAに基づいたGA-Fプラットフォームと、それがもたらす走りの良さだ。
GA-Fプラットフォームは、ラダーフレームという方式は踏襲しつつも、剛性を従来比120%にアップしている。
さらに新型ランドクルーザーは、高張力鋼板の採用拡大やボンネット、ルーフ、ドアパネルのアルミ化などにより、車両として約200kgもの軽量化と低重心化、前後重量配分の改善を実現している。
そして前後のサスペンションは新開発されたモノを採用。
パワートレインにも最高出力415psの3.5L V6ツインターボガソリンエンジンと、最高出力309ps、最大トルク71.4kg-mの3.3L V6ツインターボディーゼルエンジンを採用。
組みあわせられるトランスミッションは最新の10速AT。
強く、軽い車体に強力なエンジンを積み、足まわりも刷新するなど、その走りは、オンロードでもオフロードでも高い次元の走りを見せることだろう。
価格は、ガソリンエンジン車が770万円、ディーゼルが800万円となる。
GRスポーツ設定 GRヤリスに近いスタンス
そんな新型ランドクルーザーの走りを、さらに磨き上げたのが新グレード「GRスポーツ」だ。
新型ランドクルーザーの走りの良さを象徴する存在となることだろう。
「GRスポーツというグレードは、『モータースポーツ起点のもっといいクルマづくり』を具現化したグレードです」と、新型ランドクルーザーの開発を担当した横尾貴己氏は説明する。
実のところランドクルーザーは、世界一過酷と称されるダカールラリーの市販車部門に1995年から25年以上にわたって出場しているのだ。
同じGRシリーズでも、すでに先行して発売されている「GRヤリス」と近いスタンスのモデルといえるかもしれない。
ラリードライバーによって磨かれた「走り」
「今回、GRスポーツの開発にあたっては、ダカールラリー・ドライバーからの知見やフィードバックと、社内における凄腕、匠といったプロドライバーを中心とした走りのチューニングを融合しています」
「オンロードでの意のままの操縦安定性、オフロードでの四輪接地性の高さとスタック時の脱出性能。また、あらゆる路面を長時間、楽に走れること。この実現を目指しました」と横尾氏は説明する。
具体的に、ダカールラリー参戦ドライバーからの求められた改善要望は「起伏の続く、中高速走行時でのジャンプ着地後の接地性アップ」、「スタック時の脱出タイムロス低減」、「荷重移動操作に対する応答性」、「悪路走行時のバンパー破損のしにくさ」、「車体の揺れ低減」、「高速ブレーキング時の安定した姿勢」などがあったという。
それらの改善が、すべてGRスポーツには反映されているというのだ。
具体的なGRスポーツだけの装備は足まわりとフロントの電動デフロック、専用エクステリアと専用インテリア装備類だ。
足まわりは電子制御でスタビライザーの効き目を変化させる「E-KDSS(Electronic-Kinetic Dynamic Suspension System)」を採用。
前後のスタビライザーを、オンロードやオフロードなどの路面状況の変化にあわせて電子制御し、路面への接地性と揺れ防止などを高めている。
また、サスペンションのスプリングやダンパーの最適化とともに、サスペンション・ストロークもアップ。
ランドクルーザー史上、最長のホイールアーティキュレーション(タイヤが路面から浮きづらさ)を実現。
悪路での路面との接地性をたしかなものとしているというのだ。
GR専用装備が多数 見た目も「走り」志向
また、リアだけでなくフロントにも電動デフロックを採用。
ランドクルーザーのステーションワゴンにフロントデフロックが採用されるのは24年ぶり。これで悪路での走破性は確実に向上することになったのだ。
エクステリアの専用装備は13にもおよぶ。
専用ラジエーターグリルにはじまり、専用フロントバンパー、専用リアバンパー、専用ホイールアーチモール(ブラック)、リアトヨタエンブレム(アクリル+ブラック)、専用リアマッドガード、18インチアルミホイール(マットグレー塗装)、専用エンブレム、専用バックドア下端デカール、専用ロッカーモール(ブラック)、専用車名エンブレム(ブラック塗装)、アウトサイドドアハンドル(ブラック塗装)、ドアミラー(ブラック塗装)といったものだ。
また、インテリアの専用装備は6つ。
専用本革巻きステアリングホイール、専用オープニング画面(Tコネクトナビ装着時)、専用フロントシート、インテリア加飾(切削カーボン調パネル)、内装色(GR専用ブラック/GR専用ブラック&ダークレッド)、専用スマートキーだ。
そして、このGRスポーツは2023年以降、ダカールラリーへの参戦が予定されている。
チーム・ランドクルーザー・トヨタ・オート・ボディ(トヨタ車体のチームランドクルーザー)が、GRスポーツをベースにした車両で参戦するという。
「ラリーの現場で得られた知見を市販車へつなぐ取り組みを、これからも続けていきます」と横尾氏。
つまり、マイナーチェンジや年次改良などの機会で、モータースポーツのフィードバックが量産車に反映される。
発売して終わりではなく、将来的にも、さらにGRスポーツが磨きこまれるということだ。ランドクルーザーGRスポーツの進化に期待したい。
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みんなのコメント
GRに限らず全ての300に具現化して!
生産能力、売り方(買占め価格吊り上げ屋へは売らない等)で、メーカーの姿勢が分かる。半年後には中東のテロリスが日本仕様のランクル300を乗り回していますよ。