現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 通勤に使えるオートマ軽自動車でF1と同じコースのレースに参戦してみた! 面白すぎるその中身とは

ここから本文です

通勤に使えるオートマ軽自動車でF1と同じコースのレースに参戦してみた! 面白すぎるその中身とは

掲載 更新 12
通勤に使えるオートマ軽自動車でF1と同じコースのレースに参戦してみた! 面白すぎるその中身とは

あまりコストをかけずとも楽しめる イコールコンディションレース

 恐れ多くもこうやって伝える側の人間として仕事をさせてもらっているからには、いつかは経験せねばならないと思っていた、JAF公式レースへの参戦。

なんと「自民党」も参戦! 軽自動車だらけの10時間耐久レース「K4GP」衝撃の中身

 公式レースとは、日本国内ではJAFが定めた競技規則や車両規則に従って行われるレースのこと。その頂点がスーパーフォーミュラやスーパーGTになるのだが、ヒエラルキーの最も底辺を支えているのが、ナンバープレート付きのワンメイクレース。

 さらにそのなかで1番身近な入門レースが軽自動車のレース。そう、なんとなくお察しのとおり、ホンダN-ONEによるワンメイクレース「N-ONE OWNER’S CUP」だ。

 N-ONEのワンメイクレースは年間14~15大会が開催されているが、毎年シーズンの頭に、チームで戦う耐久レース“N耐”が開催されている。これなら公式戦が初めてでも仲間と一緒なので心強い。

 というワケで、ついに念願叶って、そのN耐に出場。ここでは、実際に参加したことで見えてきたワンメイクレースの魅力をレポートしていく。

あらためて「N-ONE OWNER’S CUP」ってどんなレース?

 公式レースとして開催されているナンバープレート付き車両によるワンメイクレースは、ヴィッツや86/BRZが超有名。毎戦大盛り上がりを見せている両ワンメイクレースだが、N-ONEも引けを取らないばかりかそれ以上に賑わっていて、参加者を多く集める鈴鹿サーキットや富士スピードウェイのラウンドには、なんと50台を超えるエントリーがあるほどなのだ。

 「N-ONE OWNER’S CUP」とは、2014年からスタートしたホンダのN-ONEだけが走るナンバー付きのワンメイクレースのこと。軽カーの草レース(レース形式の走行会)は各地のサーキットでたくさん開催されているが、現在はN-ONE OWNER’S CUPが軽自動車で開催される唯一のワンメイクレースになっている。

 通常はスプリントレースとなりドライバーは1人だが、“N耐”は3~5人のドライバーでチームを組んで、交代しながら4時間後のゴールを目指す耐久レース。N耐用の特別規則は追加されるものの、基本的な運用ルールは同様で車両規則もすべて同じ。

 1月26日に開催されたN耐は鈴鹿サーキットが舞台となり、通常のラウンドも鈴鹿、富士、SUGO、岡山国際といった、国際レーシングコースが主に使われている。

 軽自動車で大きなコースを思いっきり走れるだけでもかなり魅力的だが、スーパーフォーミュラやスーパーGTと併催されることも多く、憧れのレーシングドライバーやマシンとも距離感が近いこともN-ONEレースの人気を後押ししていると言っていいだろう。

 また、著名なモータージャーナリストや有名なレーシングドライバーなんかも しれっと 出場していたりもする。しかし、だからと言って簡単には優勝できないのも面白い点。N-ONEレースに出場しているほとんどが、名もなきアマチュアレーサーなのだが……。そのへんの奥深さは後ほど。

Aライセンスの取得はとても勉強になる!?

 JAF公式レースというからには、JAFのモータースポーツライセンスが必要になる。N-ONE OWNER’S CUPに出場するにはまずは国内Aライセンスを取得するところから。「Aライ」がいる時点で敷居が高いとおっしゃる方もいるだろうが、講習を受け、筆記試験と実技試験に合格するまでに学ぶ内容は、本当にためになることばかり。

 カーレースは危険を伴うものなので、やはりナメてかかると痛い目にあうのは自分自身であり、相手や仲間を傷つけてしまうことになりかねない。「モータースポーツは紳士のスポーツである」と言われるように、安全への意識、マナーが高められてこそ成立することは分かっていても、ついつい…… ということはよくある。

 走っているドライバーが主人公のように思ってしまうが、オーガナイザーがいて、サーキットがあってこそのモータースポーツ。フラッグの意味だけじゃなく、彼ら(主催者やサーキット施設、審判やマーシャル)に敬意を払わねばならないことも含め、たとえ草レースでも知っていると知らないのでは大違いなことが、Aライセンスを取得すれば分かるのだ。

 運転テクニック以上に必要なことが何なのかを気づくことこそ、JAFのモータースポーツライセンスを取得する大きな意味だと言えるかもしれない。まさに格式ある公式戦たる所以だ。

「N-ONE OWNER’S CUP」はホントにお金がかからないの?

 公式ホームページをご覧いただくと分かると思うが、通年で本当にびっくりするほど多くの人がN-ONEレースに出場している。結論からいうと、多額の投資が必要なのであれば、そうはならないはず。

 最大の理由はベース車両がナンバープレート付きの軽自動車であること。普段の通勤、買い物にもそのまま使えるし、レースの日も自走でサーキットまで移動できる。逆を言うと、一般公道を走れて車検の通るクルマじゃないとN-ONE OWNER’S CUPには出られない車両規則になっているのだ。

 ベースのN-ONEは、FFのターボモデルであれば何でも(新車でも中古車でも)OK。これに、ロールケージ、牽引フック、バケットシート、4点式シートベルトの装着が義務付けられていて、最低限これらを装備すればレースには出場できる。

 あとは速く走らせるための、足まわりやブレーキを交換するぐらい。しかも、ホイールは14インチもしくは15インチで、リム幅4.5インチならインセットは39、5.0インチならインセット45の4サイズに定められていて、タイヤもいわゆるエコタイヤしか履けないという決まり。サイズは155/65R14または165/55R15。

 どうだろう、そこそこカスタマイズしているユーザーカーよりも、全然手がかかっていないレベルなのではないだろうか? 近くにチューニングショップがなくても、全国のホンダカーズ(ディーラー)でパーツの取り付けを任せることも可能だ。N-ONE OWNER’S CUPはとにかくコストが抑えられるようによく考えられていて、しっかりとイコールコンディションが保たれるようになっている。

 また、まれにN-ONE OWNER’S CUPに出場していた車両がコンプリート状態で売りに出されることがある。人気レースなので、頻繁にある話ではないが、さらにコストを抑えられるケースも多く、とてもアリな方法と言えるだろう。極論を言えば、レースカーをつくる手間を省いて即レース可能というワケだ。

実際に「N-ONE OWNER’S CUP」に出場してみて

 我々のチームは、ラッキーなことに昨年までN-ONE OWNER’S CUPに出場していた車両を購入する機会を得て、これがJAF公式のワンメイクレースに出場できる大きなきっかけとなった。分からないことは元オーナーに聞けるし、いろいろと参戦にあたってのアドバイスをもらえるという幸せも同時にゲット。

 未経験者にとってはJAF公式戦となると、分からないことだらけになるのだが、N-ONE OWNER’S CUPはそもそもが初心者向けに開催されているので、主催者からも「心配ごとはないですか?」と我々のような初出場チームには、わざわざ電話をかけてくれるぐらい親切。なるほど、これが「N-ONE OWNER’S CUPなんだ!!」と、主催関係者の方々の敷居を上げない努力を肌で感じることができた。

 さて最後に、実際に鈴鹿サーキットを走った感想を少々。当たり前だが、まわりは全部N-ONE。なのでピットやパドックの雰囲気は、仲間意識が強くとてもアットホーム。レース前もピリピリとした緊張感はさほど感じられず、「笑顔で楽しもう」というムードがとてもイイ。車両には各チームによって、どれも個性的なカラーリングが施されていて、それを見てまわるだけでも楽しい。

 N-ONEはノーマルパワーのCVT車両。いわゆるレーシングスペックとは違い、エアコンもついているし軽量化もされておらず普段街乗りしている状態と何ら変わりない。もちろんスピードリミッターも効いたままだ。「そんな軽自動車でF1が開催されるような鈴鹿サーキット走って楽しいの?」なんてよく聞かれるが、機会があれば本当に一度、走ってみてほしい。

 カタログ値で60馬力そこそこしかパワーはないけれど、グリップ力が低いエコタイヤとCVTのバランスがとにかく良くて、パワーとタイヤの性能をいかに巧く引き出して走るかという、クルマに頼らないドライビングが抜群に楽しい。

 それでも1コーナーや130Rを曲がるときには度胸もいるし、S字もデグナーもスプーンもすべてが想像以上にスリリング。レース中は「遅い」なんて感じることもまったくないぐらいだ。

 これでライバルはすべてN-ONE。しかも改造範囲が制限されたイコールコンディション。車両の性能差はほぼないので、差が出るとしたら運転中のちょっとした躊躇やミスによるもの。そういうドライバー勝負みたいなところがじつに面白い。

 これを突き詰めた先輩N-ONEレーサーたちが、しれっとスポット参戦した有名なレーシングドライバーよりも僅差ではあるが速いのも納得。

 たとえノーマルパワーでも、CVTでもこれほど楽しめるレースはほかにないだろう。これぞワンメイクレースの醍醐味。まだまだ多くを語れるほど熟知したわけではないが、「N-ONE OWNER’S CUP」はとても奥が深く、本当に面白いレースだとオススメしたい。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
motorsport.com 日本版
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
AUTOSPORT web
フィアット新型「600e」と暮らしてみたら「500L」との2台体制を夢見てしまい…ファミリーカーとしてオススメの1台です【週刊チンクエチェントVol.47】
フィアット新型「600e」と暮らしてみたら「500L」との2台体制を夢見てしまい…ファミリーカーとしてオススメの1台です【週刊チンクエチェントVol.47】
Auto Messe Web
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
なんとも物騒な「煤殺し」ってなんだ!? トラックドライバー御用達アイテムの正体とは
WEB CARTOP
東京海上日動、顧客連絡先不明の代理店を新たに2社確認 合計124社に
東京海上日動、顧客連絡先不明の代理店を新たに2社確認 合計124社に
日刊自動車新聞
WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
WRC最終戦「ラリージャパン2024」開幕! 日本勢の「TGRチーム」活躍に期待! 会場はすごい熱気に! 高橋プレジデントや太田実行委員長が語る! 今大会の「見どころ」は?
くるまのニュース
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
アストンマーティン、技術責任者ファロウズ更迭は今季の不振が理由と説明「彼は2023年のマシン開発に大きな影響を与えたが……」
motorsport.com 日本版
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
ブルーインパルスがラリージャパン2024開幕を祝う航空ショー。6機が豊田スタジアム上空で華麗なスモーク
AUTOSPORT web
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
[15秒でニュース]首都高速八重洲線通行止め…10カ年計画の新環状線プロジェクト
レスポンス
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
GMのF1計画に新たな動き。アンドレッティの設備引き継ぎ、2026年からキャデラックブランドで参戦か?
motorsport.com 日本版
約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
くるまのニュース
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
レスポンス
タナク総合首位。勝田貴元はステージ優勝2回で総合3番手まで0.1秒差|WRCラリージャパンDAY2午後
タナク総合首位。勝田貴元はステージ優勝2回で総合3番手まで0.1秒差|WRCラリージャパンDAY2午後
motorsport.com 日本版
<新連載>[失敗しない初めてのスピーカー交換]ツイーターだけを“追加 or 交換”するのは、アリ!?
<新連載>[失敗しない初めてのスピーカー交換]ツイーターだけを“追加 or 交換”するのは、アリ!?
レスポンス
レッドブル、リヤウイングのスペック選定でミス?「空気抵抗が大きすぎる上に、この1スペックしかない」
レッドブル、リヤウイングのスペック選定でミス?「空気抵抗が大きすぎる上に、この1スペックしかない」
motorsport.com 日本版
約270万円! ホンダ新型「“4.8m級”セダン」登場に反響多数! 斬新「光るボンネット」採用の「“迫力”顔マシン」に「近未来的」の声! 天井はほぼガラスな“超開放感”内装もスゴイ「L」中国で発売し話題に
約270万円! ホンダ新型「“4.8m級”セダン」登場に反響多数! 斬新「光るボンネット」採用の「“迫力”顔マシン」に「近未来的」の声! 天井はほぼガラスな“超開放感”内装もスゴイ「L」中国で発売し話題に
くるまのニュース
ドーナツターン追加や坂の角度が緩やかに。ラリージャパン2024豊田スタジアム特設コースの変更点をチェック
ドーナツターン追加や坂の角度が緩やかに。ラリージャパン2024豊田スタジアム特設コースの変更点をチェック
AUTOSPORT web

みんなのコメント

12件
  • オートマだのマニュアルだのは別として、楽しもうと思えば軽でも楽しめる。
    新車のスポーツカー高くて買えないみたいなコメント見るが、車種に拘るから買えないのであって、極論中古のミラアルトのバンでも楽しめるわけで。
  • こりゃ楽しそうですな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村