2024年スーパー耐久開幕戦が行なわれるスポーツランドSUGOで記者会見が実施され、新法人の“スーパー耐久未来機構”の発足が発表された。
スーパー耐久はこれまで、スーパー耐久機構(STO)によって運営されてきた。同組織で長らく運営を担ってきた桑山充氏が亡くなってからは妻の桑山晴美氏が事務局長職を引き継ぎ、様々な困難を乗り越えシリーズを存続させて今日に至る。
■HRC、2024年スーパー耐久開幕戦は大津弘樹、武藤英紀、野尻智紀の豪華布陣で参戦。車両カラーはRA271オマージュ……ドライバーは毎戦変更へ
そんなスーパー耐久は近年、開発車両クラスであるST-Qクラスを通し、水素エンジンカローラを始めとするカーボンニュートラルを目指した車両が多く参戦するなど、注目度も高まっている。ただ桑山事務局長は「ST-Qクラスの盛り上がりで、単に楽しいレースではなく、自動車産業の一員として果たす役割も見えている」中で、「次の段階を考える上で私個人の小さい会社で運営していく体制でいいのか」という悩みもあったという。
そこで桑山事務局長が相談したのが、トヨタ自動車の会長であり、“モリゾウ”の名でレーシングドライバーとしても活動する豊田章男氏だった。シリーズの発展、成長を願う桑山事務局長の思いにモリゾウも共鳴し、STOはスーパー耐久未来機構、STMOとして生まれ変わることになった。そして同団体の理事長にモリゾウが就任することとなった。
ただモリゾウも、この新体制によってシリーズが大きく変わるようなことはないと語る。モリゾウはスーパー耐久を“村祭り”の雰囲気を持つレースで、多くのドライバーがひとつのチームで長距離を走る“割り勘レース”だと表現。メーカーだけでなく、チューナーなど様々なクルマ好きたちが気軽に参加できる風土を崩さないよう、融通の効くオープンな体制は継続していきたいとした。
“豊田章男”として、トヨタ自動車会長など様々な立場を持ち多忙を極めるモリゾウは、スーパー耐久の現場に来られないこともあるだろうとしつつ、桑山氏にはSTMOの副理事長として変わらず現場の指揮をしてもらいたいとした。曰く、「旅館で言えば僕が総支配人。桑山さんが女将、加藤さん(加藤俊行専務理事)が支配人」というイメージの体制とのことだ。
また記者会見では、「STMOにモリゾウ個人として関わるのか、トヨタ自動車として関わるのか」という質問も飛んだが、「今日もその辺を意識してモリゾウ、モリゾウと言っていますが、確かにトヨタ自動車の会長も同じ人間がやっているわけで。逃げ言葉として『あれ(豊田章男)は双子の兄です。弟の私が理事長のモリゾウです』などと言い出したら、答えづらいと思ってください(笑)。時期が来たらハッキリと分かる、ということで共感いただけますと……」と明言を避けつつ会見場の笑いを誘った。
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