レンジローバー試乗、SCとNAの走りチェック
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:菊池 貴之
さてこの4代目レンジローバー、試乗会は横浜郊外のヨットクラブがベースだったから、オフロードの走行はなし。これはもう優れているということを前提に、オンロードでの印象をお届けしよう。最初に乗ったのはNAのVOGUEで、ボディは全長5m、全幅2m弱というかなりの大きさだが、形状がスクエアであるのに加えて、一般的なSUVよりさらに高いドライビングポジションゆえ、四隅は比較的掴み易い。インテリアはレザーとウッドに満たされた上質な空間だが、素材のわりにビジネスライクな印象をうけるのは、オフロードでのドライビングし易さを根底に意識したデザインゆえだろうか。
走り出して感じるのは、ステアリングのタッチが優しく、しかも脚が柔らかいことで、先代より明らかにコンフォート寄りに仕立てられたクルマという印象をうける。試乗車はオプションの22インチタイヤを履いていたから、鋭い突起を越える際にはそれなりにバネ下の重さを感じたが、ボディの動き自体はあくまでゆったりとしている。ダンパーはアダプティブタイプだから、例えば高速道路に乗ってスピードを上げれば脚はそれなりに締まってくるが、乗り心地がゆったりとソフトな印象は基本的に変わらなかった。375psのNAエンジンでもパフォーマンスは充分ではあるが、軽くなったとはいえ車重は2350kgあるから、瞬発力を求めると若干物足りない場面があるかもしれない。
続いてSCエンジンのSUPERCHARGED VOGUEに乗り移る。パフォーマンスに関していえば、510psのパワーというより63.8kgmのトルクが効いて、発進の瞬間からNAモデルより力強い印象をうける。このSCユニット、踏み始めの反応がリニアリティに欠けることがあったが、8段ATとの相性は基本的に良好で、スムーズかつ活発にスピードを上げていく。その際、前方から微かに届いてくるエンジンのサウンドも、耳に心地よい。
SCモデルはハンドリングの印象もNAとは少々異なる。SC系にのみダイナミック・レスポンス・2チャンネル・アクティブ・リーン・コントロール・システムという長い名前のサスペンション制御が備わり、前後アクスルに備わるスタビライザーを前と後ろそれぞれ独立して制御するので、コーナリング時のロールがNAモデルより明らかに減少するのに加えて、ステアリングの手応えやレスポンスも一段と確実なものになる印象をうけた。
つまり、あくまで走る道を選ばぬ快適至極なSUVを求めるのならNAモデルで充分だが、そこにダイナミックな走りも要求するとなると、SCモデルの出番になるはずだ。今どきレンジで豚を運ぼうという御仁はいないと思うが、ラゲッジルームもしくはキャビンに愛犬を乗せて走るのが似合うカジュアルさを持った高級車なのは間違いなさそうだ。
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