【批判の嵐!】電動キックボード法改正は天下の愚策? より安全なタイプも存在
掲載 carview! 文:山本 晋也 121
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2023年7月、モビリティ界隈における最大の話題は「特定小型原動機付自転車」(※いわゆる電動キックボードのこと)という新カテゴリーの乗り物が街を走れるようになったことでしょう。
16歳以上であれば免許不要で乗れる超小型モビリティとして、移動権の確保やビジネス拡大の点から期待を集めています。
一方、自動車やバイクなど従来型モビリティのユーザーからは「無免許で公道を走るなんてとんでもない!」だとか「あんな不安定な乗り物をノーヘルで乗るなんて自殺行為だ」などといった批判が噴出しているのも事実です。
ヘルメット着用については自転車同様の“努力”義務となっているのですが、ノーヘルで乗れる! という認識が広まってしまっているのも事実。タイヤの小さな電動キックボードは、物理的に段差が苦手で転倒しやすく、生身で乗るのは危険という指摘はごもっともといえるでしょう。
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この電動キックボードの規格を整理すると、駆動モーターの定格出力は0.6kW以で、これは原付一種相当(50cc以下)。ボディサイズも全長1.9m以下、全幅0.6m以下とかなりコンパクトで、車道を走る際の最高速度は20km/hに制限されます。
自転車との違いは、原動機付自転車なので自賠責保険への加入が必須なこと。ウインカーやヘッドライトなどの装備も定められています。
さて、今回の電動キックボード規格の特徴といえるのが、“歩道走行モード”を装備できること。最高速度が6km/hの歩道モードでは「“特例”特定小型原動機付自転車」(“”は、わかりやすいように編集側で振ったもの)として扱われ、認められた歩道であれば走ることが可能です。
歩道走行モードになっていることを周囲に示すために、緑色のランプを備えているのも特定小型原動機付自転車の特徴です。
・緑ランプが点灯:最高速度20km/hの特定小型原付モード
・緑ランプが点滅:最高速度6km/hの特例特定小型原付モード
「歩道を走って大丈夫?」という根本的な問題はありますが、周囲を走るドライバーやライダー(それに歩行者も?)は、無用なインシデントを避けるためにも特定小型原動機付自転車における緑ランプの点灯と点滅の状態を確認したほうが良さそうです。
ここまで書きて来たように、電動キックボードの保安基準適合や走行安全性については各所で批判が巻き起こっていますが、政府もそうした声を無視しているわけではなく、「特定小型原動機付自転車の保安基準適合性等を確認する制度」が創設され、「公益財団法人日本自動車輸送技術協会(略称JATA)」が認定機関となっています。
そんなJATAによる性能確認を受けた最初のモデルである、ストリーモ社の「ストリーモS01J」を試乗する機会がありました。ちなみに電動キックボードではなく、前1輪・後2輪の立ち乗りモビリティです。
<写真:ストリーモS01>
30万円と高価なものの、バランスを取る機能が備わっているため足をつくことなく停止でき、コーナリング時の安定性もこのサイズからすると高いものとなっています。
インホイールモーターを内蔵したフロント駆動で坂道発進もこなせるほどパワフル。ディスクブレーキも備えるなど“走る・曲がる・止まる”のバランスのとれた特定小型原動機付自転車という印象を受けるものでした。
7月より第二次予約の始まっているストリーモS01Jですが、同社に一次予約におけるユーザーの反応を聞いてみると、たとえば僧侶のユーザーから「お盆の法要などで一日中移動するときには、是非とも活用したい」という声があったり、高齢ドライバーからは「これなら買い物など近距離移動がカバーできるので運転免許を返納できる」という話もあったといいます。
たしかに特定小型原動機付自転車は免許不要で乗れます。そして、高齢ドライバーによる交通事故対応は社会課題となっています。運転免許を返納したあとの移動権を確保するモビリティとして特定小型原動機付自転車が誕生したのは時代の必然なのかもしれません。
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