アルファロメオ ステルヴィオの非SUV的な味はブランド定義を明確にするか
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:篠原 晃一
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走りの第一印象は鮮烈の一言。何しろクルマの動きが軽快で、それこそ交差点ひとつ曲がるだけでも俊敏さに頬が緩む。それを可能にしているのは、ひとつには12:1というクイックなステアリングギア比があるが、これまでもアルファ・ロメオは決して、それだけを走りの個性としてきたわけではない。吟味されたジオメトリーによって接地性や乗り心地を犠牲にすることなくロールを抑え込み、まるでノーズが平行移動するかのようにスッとインを向いていくハンドリングこそが、アルファ・ロメオの真骨頂である。
このステルヴィオも、単に操舵応答がクイックなだけではなく、前述した通りの凝ったサスペンション、更にはジュリアと同様のダイヤゴナルなロール姿勢などによって、SUVらしからぬ“意のままになる感覚”を身に着けているのだ。
もちろん前後50:50に限りなく近い重量配分、そして必要な時以外はFR車として走るQ4システムも、この走りに貢献しているのは間違いない。ワインディングロードでの身のこなしは、まさにSUVであることを忘れさせるほどで、タイトな切り返しでも大げさなアクションは不要だし、コーナー立ち上がりでアクセルペダルを踏み込めば、リアから押し出されるような心地よいトラクションを感じることができる。まさにFR車の感覚である。
動力性能も十分、活発と評することができる。400Nmの最大トルクと、トルクバンドを外さない8速ATの組み合わせは日常域から瞬発力抜群だし、アクセルを深々と踏み込めば、回転上昇とともに心地よいパワーの伸びも味わえる。155や156のツインスパークユニットのような弾けるキャラクター性のようなものこそ乏しいけれど、今の時代にそれを求めるのは、きっと酷というものなのだろう。
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