ランボ初のEVに向けたコンセプト「ランザドール」試乗。4名乗り1400馬力を目指す!
掲載 carview! 8
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毎年8月中旬にペブルビーチ・クラシックカー・コンテストを始めクルマに関する様々なイベントが開催されるモントレー・カー・ウィークの中で、「クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」はここ数年で特に注目されている。
その理由はプレミアムメーカーがニューモデルの発表の場として利用しているからだ。特にランボルギーニは新型「クンタッチ(カウンタック)」、あるいは「ウルス ペルフォマンテなどほぼ毎年注目のワールドプレミアを披露している。
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そして今年は同社の60年の歴史で最も重要な市販を前提としたフル電動化モデルのコンセプト「ランザドール」を発表した。ランザドールとは1993年にマドリッドの闘牛場で華々しいデビューを飾った雄牛の事だが、同時にロケットの発射台(ランチャー)を意味する。まさに同社初のBEVに相応しい名称である。
ランボルギーニの社長シュテファン・ヴィンケルマンは2年前に私とのインタビューで「我々が最初に市場に送り込むBEVは実用性の高いクルマになるだろう…」と語った。そしてBEVコンセプトの「ランザドール」は、まさに彼の言葉通り4シーターであった。
チーフデザイナーのミィティア・ボルケルトがスペースシップ(宇宙船)からインスピレーションを得たというデザインは、確かに大気圏に再突入するカプセルのようなワンモーションシェイプでY字や六角形が多用されており、どこから見てもランボルギーニだ。
ブリッジ状のコンソールがアイキャッチとなるインテリアは各パーツがほぼリサイクル素材と3Dプリンターで制作されているが、ごく一部に環境に優しいなめし工程で仕上げられたレザーが残されている。リアシートのヘッドレストはルーフに固定されているがこれは量産化されることはないだろう。
このランザドールは5年後の量産に向けたスタディモデルだが走行可能で、我々限られたジャーナリストは特別にコンクールが行われているペブルビーチの北に位置する観光道路の「17マイルドライブ」で試乗する機会が与えられた。
全長約5m×全高約1.5m、ホイールベース3m弱の2ドア4シーターは乗用車とSUVの中間という感じで、大きく開くドアのおかげでリアパッセンジャーの乗降性も悪くない。試乗では助手席に開発担当のルーヴェン・モール、そしてチーフデザイナーのミィティア・ボルケルトがリアキャビンに収まる。
キャビンは広く高いルーフには3分割のグラスルーフが備わり、大人4人が乗っても窮屈な感じは全くしない。こうしたレイアウトを与えられたランボルギーニの4番目のシリーズを、社長のヴィンケルマンは「ウルトラGT」と名付けているが、まさに適切な表現である。
<写真:ランボルギーニのチーフデザイナー、ミィティア・ボルケルト>
スターターボタンを押してドライブペダルを慎重に踏み込む。世界に一台しか存在しないプロトタイプ故に残念ながら30km/hの徐行運転で我慢しなければならない。けれどもちょっと踏み込むと軽く40km/hを超えてしまった。
チーフエンジニアのモール氏が電動化は制約ではなく可能性を広げると言っているように、このランザドールにはユニークなドライビングダイナミクスが搭載されている。たとえばステアリングホイールのパドルで各車輪の個々のホイールのスリップまで可能にする制御システム、さらにコンソールのダイアルには4つのモードをもつインテリジェントパイロットが備わっている。
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ドライブトレインは前後の電気モーターでそれぞれ800馬力、システム出力はおよそ1400馬力と言われており、量産車では0-100km/hの加速時間は3秒台、最高速度は250km/hを超えるはずだ。
しかし当然のことながらコンセプト・モデルはほぼ無音で滑走する。これはV12 やV10に親しんでいるランボルギーニのドライバーには物足りないのではないかと思う。同乗のモール氏によればこのハイパフォーマンスに応じた人工サウンドを考えているが、とにかくランボルギーニらしいエモーションを喚起する演出が期待される。
一方床下に搭載されるバッテリーはおよそ100kWhで、自重2.2トン、さらにダイナミック性能重視にも関わらず次世代バッテリーの採用で航続距離は500kmに達すると言われる。しかも充電時間の短縮についてはポルシェから技術供与を受けた800Vのアーキテクチャーを採用することで解決されるはずだ。
僅かな時間内でのテストであったがランボルギーニの4番目のシリーズ「ランザドール」の個性的なデザイン、4シーターではあるが敢えてSUVやセダンと決別したニューGTコンセプトなどは我々を納得させるものだった。このスタディモデルに近い形で5年後に市販モデルが登場することを大いに期待したい。
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試乗:T・ガイガー/キムラ・オフィス
解説:キムラ・オフィス/木村好宏
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