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ニューモデル 2019.11.5

メルセデス・ベンツの防弾車両が世界で一番安全な民間装甲車である理由

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“メルセデス・ベンツ ガード”という存在

メルセデス・ベンツが初めて作った特別防弾仕様車は、1928年の「ニュルブルク 460 プルマン(W 08)」だった。このクルマと、日本の皇室よりオーダーされた2台の770“グローサー・メルセデス(グランド・メルセデス)”プルマン サルーンこそが、同社の防弾仕様車の歴史のルーツといえる。

    メルセデス・ベンツの防弾車両が世界で一番安全な民間装甲車である理由

それから90年以上にわたり、各国政府や国王、企業などの安全を守り続けてきた同社の防弾仕様車を「メルセデス・ベンツ ガード」と呼ぶ。政府による公式歓迎レセプションやサミット、重要会議などのシーンで活躍する姿は恒例だ。

現行は3台をラインナップしており、その装甲は防弾車両ガイドライン「BRV」の定めるVR9、もしくは最高クラスのVR10に適合している。もちろん、ガード車両の製造工場は膨大なバリエーションにおよぶカスタマイズにも対応する。

車両価格に含まれる“トレーニング代”

ドアや後壁、サイドコンポーネンツ、ルーフ、バルクヘッドなどに使用する保護部材は、ベースの完成車に後付けするのではなく、別の生産工程で最初からボディシェルに組み込んでいる。このため、ガードシリーズの開発にあたっては、ベース車両ありきで入念に進めることになる。広範囲な試験を実施したうえで潜在的な弱点を洗い出し、専門家によって検証が行われる。

また、顧客やショーファー向けに、ガード車両のハンドリングを理解してもらうための安全運転トレーニングも実施。特別な技術的特徴やシステムなどについての指導も行う。ちなみに、このトレーニング代は車両価格に含まれているという。

ガラスはポリカーボネートでコーティング

メルセデス・ベンツ ガードの防弾車両には、90年以上という長い実績を重ねてきたからこその知見とノウハウを活かし、あらゆる処置が施されている。ボディシェルと外皮の間には特殊鋼や高強度材で出来た補強部材を挿入。この作業はボディの生産工程中に行なうことで、基本構造そのものから鍛え上げている。素材同士の継ぎ目部分は重なり合うように最新の注意を払って設計しているという。もちろんボディ下部も、それぞれの車両のために専用に開発した装甲により徹底して保護している。

防弾車両にとってガラスは非常に重要なパートのひとつ。素材と厚みは高度な安全要件を満たしていなければならない。ガラスの内面は熱可塑性樹脂のポリカーボネートでコーティングすることで、割れを防いでいる。かつ、防護性能をすべからく満たしていたとしても、十分な視認性を確保することも必要だ。

「速さ」と「快適さ」も必須要件

あらゆる面で乗員を徹底的に保護しながらも、いわゆる装甲車のように無機質であってもいけない。車内にはあくまでもメルセデス・ベンツのフルサイズサルーンとしての快適性が求められる。当然ノーマル車両よりも重量がかさむため、サスペンションやブレーキ、スプリングや制御システムは専用設計。ハンドリングの特性はもとより、申し分のない安心感をドライバーをはじめとした乗員全員にもたらさねばならない。

保護性能のみならず、危険な場所から速やかに避難できることも使命のひとつ。最高出力530hpを誇り、1900rpmで最大トルクの830Nmを叩き出すV12を積むのはそのためだ。

メルセデス・ベンツ ガードの主な特別装備には、たとえば以下のようなものが含まれる。

・煙や刺激性ガスから乗員を守るための、非常換気システム

・自動作動式消火システム

・サイレン、回転灯、トランシーバーなど

・緊急スターター用バッテリー

・パニックアラーム

・外部コミュニケーションシステム(拡声器、マイク)

メルセデス・ベンツ ガードの防弾車両は、政府や企業、各組織など各方面からの細かい声を聞き、それぞれの希望や需要を盛り込みながら各要件を満たし、顧客からの特殊なオーダーに対してはそれぞれの解決策を提示していくという。

現行ラインナップは3モデル

2015年に登場した「メルセデス-マイバッハ S 650 ガード」は防護レベルVR10に適合。民間車両としては現在最高の弾道保護水準を確保している。全長は5462mm、ホイーベースが3365mmと、Sクラスのロングホイールベースモデルよりも200mm長い。延長分は後席乗員のためのスペースに供され、左右席ともにエグゼクティブシートを標準で装備する。

「メルセデス-マイバッハ S 650 プルマン ガード」は2018年にデビュー。このセグメントで最も広い後部足元空間を実現するロングホイールベースモデルで、防護レベルはVR9を満たしている。やはり後席左右にエグゼクティブシートを備えるとともに、プルマンならではのレイアウトとして、電動格納式パーティション裏に後ろ向きの補助シートを設けている。

伝説的なメルセデス・ベンツ 600 プルマン(W100)がそうであったように、S 650 プルマンもまた堂々たるボディサイズを有している。全長はSクラスを優に1053mmも上回る6500mm。ホイールベースは4418mmで、全高もSクラス比で100mmプラスの1598mmを確保し広大なヘッドルームを確保している。

「メルセデス・ベンツ S 600 ガード」は、VR9規格を完璧に実現した初の防弾車両として2014年に導入された。全長は5255mm、ホイールベースはSクラス ロングと同じ3165mm。もちろん運転支援システムや快適性を高めるアメニティ系装備など、SクラスのDNAといえる革新的な先進技術を完備する。

すべての車両は独ウルムの認証機関より公式証明書を発行されており、防弾性能のガイドライン「Bullet Resistant Vehicles(BRV 2009)」のバージョン2に適合している。このテストでは、ボディおよびウィンドウがアサルトライフルによる徹甲弾に耐える性能を有することが求められる。VR9に比較して、VR10はさらに20%上回る貫通力に耐えなければならないという。

また、すべてのモデルは乗員を爆発装置からも効果的に守る必要があるため、ルーフやフロア、ボディサイドは防爆ガイドラインERV 2010に準拠していなければならない。

1980年以降途絶えぬ需要

1928年のニュルブルク 460より、ダイムラー・ベンツ AGは特別なファクトリーモデルとして銃器や爆発物から乗員を守る特装車両を提供する初の自動車メーカーとなった。以降、メルセデス・ベンツは770 グローサー・メルセデスや500、540Kの防弾車両を開発してきた。日本では昭和天皇の御料車として防弾仕様のグローサー・メルセデスが採用された。1935年に納入されたこの個体は、現在シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ博物館が所蔵している。

その後、幾多の政治家や企業や国家のトップがメルセデス・ベンツの防弾車両に身の安全を委ねてきた。1963年9月には、伝説的モデル「600」が誕生。デビューから間もなく、ドイツ政府は国賓のために防弾仕様の製造をダイムラー・ベンツAGへ持ちかけた。シュトゥットガルトのエンジニア陣営にとっては、これは新世代の防弾車両を開発する機会であった。当時、ファクトリーモデルとして防弾仕様モデルを製造する自動車メーカーは国内に存在せず、メルセデス・ベンツのサルーンは世界中の各国政府より髙い評価を獲得することになった。特装車両の開発に際し、同社は新しい技術的アプローチを様々に試みた。今日、欧州の同分野における種々のクラス別基準の設定においては、メルセデス・ベンツのデータベースが多大に寄与している。

1970年にはラテンアメリカで防弾車両の需要が飛躍的に高まり、ダイムラー・ベンツAGは280 SEL 3.5の特装仕様を製造。また、8気筒を積んだW116シリーズの防弾仕様も欧州や諸外国の政府や機関へ供した。

1980年以降、メルセデス・ベンツは各世代のSクラスで例外なく(126、140、220、221、そして現行の222シリーズ)防弾仕様を製造し続けている。メルセデス・ベンツ ガードは、常に同社の歴史に寄り添い、いまも世界中で乗員の安全を守り続けている。今後もメルセデス・ベンツ ガードの開発と製造は続くだろう。いずれ、地球上にその存在が必要とされなくなるその日まで。

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