9月13日、ヤマハ発動機は、フロント2輪のモーターサイクル、「NIKEN(ナイケン)」の国内販売を開始しました。販売計画は国内で年間400台。価格は178万2000円(消費税込)で、全国のNIKEN取扱店にて予約を受け付けた上で、受注生産となります。
ナイケンの先輩(?)にあたる、同じくフロント2輪の「トリシティ」は、街中を軽快に走る“小型シティコミューター”ですが、ナイケンは水冷並列3気筒845ccエンジンを搭載する本格的な“大型スポーツバイク”というポジショニングで、より走行性能に振ったメカニズムを驕って登場しました。
ヤマハでは、ナイケンやトリシティのように、フロントに2つの車輪を備えて、バイクのように車体を“リーン(傾け)”してコーナーを旋回する車両を「LMW(Leaning Multi Wheel)」と総称して、世の中に広めようとしています。
LMWの機構は写真で見ていただくとわかりやすいのですが、フロント2輪から伸びる左右2本ずつの青いフロントフォークの上側を、上下2本の水平アームの左右の端にジョイント。車体が傾くと、上下水平アームは地面に対して水平を保ったまま、お互い逆方向にスライドし、フロントフォークも傾くことになります。尚、路面の凹凸は、それぞれのフロントフォークのサスペンションのストロークで吸収されるのは、通常のバイクと同様です。
トリシティで左右のホイールの内側にあったフロントフォークは、ホイールの外側に設置され、スタイリング上のハイライトになっていますが、もちろん見た目だけではなく、より深く車体を寝かせた際に、フロントフォーク同士が干渉しないためであり、これにより45度という最大バンク角が実現した、というわけです。
ちなみに、自動車では一般的な機構であるフロント左右輪の内外輪差を補正する「アッカーマン・ジオメトリー」を応用し、車体を傾けても機能するようにしたヤマハ独自の「LMWアッカーマン・ジオメトリー」を採用したのも、45度という深いバンク角でのステア特性を重視した結果、とのこと。
外側に張り出した青いフォークに支えられたフロント2輪が、見た目的にも安定感を感じさせるナイケンですが、自立する機能はないので、停止してスタンドを立てなければ、そのままパタリと転倒してしまいます。また、当然ですが、コーナーリングで物理限界を超えても、バイクのように転倒してしまいます。
しかし、滑りやすい路面や、低速での切り返し、二人乗り、段差の乗り越え、急ブレーキング、横風など、バイクが不安定で転びやすい状況において、フロント1輪のバイクよりも、フロント2輪のLMWのほうが、より安定している乗り物ではあることは間違いありません。
LMWテクノロジーについて、ヤマハは「めざせ、ころばないバイク。」というスローガン(略して「めざころ」と言うそう)を掲げていますが、これは転びにくさを追求することで、バイクに乗る裾野を広げていきたいという意図を表現しているそう。
ナイケンの乗り手となるのは、そういう意味で、あくまで普通のバイクに乗れることが前提であり、その上で、公道で大型バイクを操るのが不安なライダーや、もっと気軽に2人乗りのロングツーリングを楽しみたいという高齢者ライダー、家族にバイクを反対されているライダーなどに、バイク以上の安心を提供し、背中を押すことのできるのが、LMW=“フロント2輪のバイク”なのでしょう。
しかし、もし、ナイケンを「バイクのようだけど、安定を目指したつまらなそうな乗り物」と、穿った見方をするベテランライダーがいるとしたら、それこそもったいないことかもしれません。ナイケンの安心感は、逆に言えば、ヤマハのMT-09ゆずりの動力性能を、より安定したコーナーリングで思う存分発揮できるということであり、バイクを操ることに長けたベテランライダーこそが、一番美味しいところを味わえることは、想像に難くないのですから。
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